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不朽の名作BL2022への思い

不朽の名作BL」は、実は2015年からスタートした企画で今年で8回目を迎えています。
なにげに歴史のある企画なのです。

この企画を私は思いついた2010年代初頭のBL界隈の状況、BLは単発勝負!シリーズ化を念頭に作品が作られることは少なかったのです。
ですので評価は高かったけれど、時間の経過とともに忘れらてしまう名作BLがあるのではないか?という思いがありました。

「不朽の名作BL」のような企画があることで継続的に過去の名作も露出を続けることができるのでは?という茫洋とした思いの中で「不朽の名作BL」は始まりました。

「不朽の名作BL」のスタート当時は、発売から3年経過した作品から、直近1年間のちるちるのユーザーポイント上位BLから選ばれる、という選定方法でした。

しかし回数を経ることでわかったことなのですが、何年経っても常に同じ作品が支持され続けるという現象でした。この8年で1位を獲得したコミックはなんと「どうしても触れたくない」と「エスケープジャーニー」のニ作のみなのです。

確かに、「不朽の名作BL」なので年ごとにクルクルと目まぐるしく変わっても「どこが不朽なの?」ということになります。
しかし1位以下の順位も大きな変動はなく安定していたので、
時間とともに名作が忘れられないようにしたい
という当初の目論見がうまくいっていないな感じました。

そうした理由から今回「不朽の名作BL」をBLアワードの投票と同じくノミネート制として、ユーザーからの投稿でもう一度、後世に伝えたい名作を選出してもらおうと考えました。

ノミネートされる対象作品は、発売から5年経過した作品から、直近1年間のちるちるのユーザーポイント上位BLです。

こうと書きますと、シリーズ化されていて最近の作品のほうが有利ではないか、と思われる方もいるかと思います。
ところが、実際はまったくそんなことはなく、連載が終わって数年経過している作品、シリーズが思った以上に強いのです。
先程も書きましたが、スタート依頼1位を独占した2作「どうしても触れたくない」と「エスケープジャーニー」はすでに連載が終了して数年経った状態でも、レビューが書かれ続け、コンスタントにポイントを獲得していました。

終了して数年経った作品を、なんのきっかけもなく読むことがいかに難易度が高いか、読書好きの方ならよく分かると思います。ふとしたきっかけで、昔のBLを読書するまでは偶然ありそうです。しかしその作品をレビューして高評価する、ということは相当な熱意がないとできないことだと思います。
こう考えると、「どうしても触れたくない」と「エスケープジャーニー」は相当な偉業を達成していると言わざるを得ません。

ところで8年前に「不朽の名作BL」を企画したときの思いがもう一つ有りました。
それは次のようなものでした。

作品発売当時は画期的といえるが、その時代の記憶や思い出補正だけでなく、時間が経過した現在でも読み返して相変わらずおもしろい、新しい発見がある、ということでした。
どうしても「名作」という作品は、現在読んでみると、「言われているほどおもしろくないなぁ」という感想を持つことが多いのではないでしょうか。
それは「歴史的」「教科書的」な価値に重きがどんどん置かれる「名作」の宿命ゆえ仕方がないかもしれません。
しかし特に私がそうなのですが、「名作」=「今読むと歴史的な価値しかない」というイメージがついているタイプの人間はかえってそのイメージのおかげで「名作」を敬遠してしまうことがあるのです。
「名作」=「今読むと歴史的、教科書的な価値しかない」
というイメージが自分の中に醸成されてしまったので、過去できるだけ名作を避けておりずいぶん損をしていたように感じます。
そんなわけで楽しめる作品を選出できる仕組みにしたいという気持ちが強くありました。

今読んでもすごく興奮するし、感動する「名作」であってほしいという期待が「不朽の名作BL」を創設する大きな要因になっています。

数あるBLコミックス・小説の中から、特に評価の高い作品をランキング形式で発表してきたこの企画。発売から年数が経過した作品たち。あらためて過去の名作を振り返れる絶好の機会であり、新しい出会いの絶好の機会です。
このノミネート投票期間に、名作コミックス・小説それぞれ60作品の中から自分のお気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。

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