男性不妊なのかもという不安
不妊と聞くと、どんなイメージを抱きますか?
不妊症に悩む夫婦の約半数は、男性不妊が原因だそうです。
不妊治療を始めると、もしかすると男性も不安になるかもしれません。
私も不安を抱いた一人です。
初通院でメンズルーム
入籍から3カ月。
不妊治療専門クリニックでへの初通院。
緊張気味の私。
妻も同じ気持ちだったかも。
妻は血液検査と超音波検査。
私は血液検査と精液検査。
クリニックは、ビルの高層階に入っている。
エレベータのドアが開くと、目の前に自動ドア。
自動ドアから中に入ると、ゆったりとした音楽の流れる静かな空間。
私の行ったことのある、どの病院とも雰囲気が違う。
受付機に診察券を通し、予約してあった内容を確認。
番号札が発券される。
モニターに番号が表示されるまで、200席近くある広い待合室のソファに座って待つ。
私と妻の番号が表示され、採血をする。
採血が終わると、大きな試験管のようなものを渡され、私はそのまま採精。
クリニックの出入り口付近にあるメンズルームに入る。
メンズルームは3畳分ほどの広さ。
ゆったりできそうな高級感のあるソファ、モニター、手洗い場など設置されている。
U-NEXTが観られるようになっている。
つまり「好みの動画観ながら自分で出してください」ということだ。
ここで緊張は最大に。
初めてのクリニックで、初めての通院、今まで経験したことのない検査。
時間をかけて、何とか採精を終える。
メンズルームを出て、試験管スタンドにそっと立てておく。
他の患者やクリニックのスタッフと顔を合わせることはない。
妻の待つ待合室に戻り、ソファに座る。
採精検査の結果
待つこと数時間。
ようやく番号が表示される。
妻と一緒に入室。
結果が説明される。
渡された用紙に結果が印刷されている。
顕微鏡で拡大された自分の精子の画像付き。
精子の直線速度:最高直進A 28.2%、前進B 12.5%、非前進C 1.3%、不動D 58.1%(WHO基準:A+B>50%またはA>25%)
精液量:4.5ml(WHO基準:1.5ml以上)
正常形態精子率:38%(WHO基準:15%以上)
精子濃度:120百万/ml(WHO基準:15百万/ml以上)
総精子数:538百万(WHO基準:39百万以上)
精子運動率:42%(WHO基準:40%以上)
運動精子濃度:50百万/ml(WHO基準:10百万/ml以上)
総運動精子数226百万(WHO基準:10百万以上)
どの検査項目も基準値をクリアしている。
大きな異常はないとの診断。
検査結果を聞いて、正直ホッとした。
なぜなら、自分が男性不妊なのかもと思っていたからだ。
その疑念が自分の中で解消され、緊張も大きく和らいだ。
伝えなくてもよかったのかも
不妊治療と聞くと、女性が受診するものというイメージが根強い。
でも実際は違う。
不妊症に悩む夫婦の約半数に男性不妊が見られるそうだ。
男性不妊に関する情報がネットやメディアで伝えられている。
そんな情報に触れていると、自分が不妊なのかもと不安を抱くようになった。
初通院の夜、自宅に帰ってから妻に伝えた。
私が不妊症かもしれないと思っていたことを。
妻は驚いている様子だった。
私は、妻に伝えることで満足した。
今思い返すと、妻に伝えなくてもよかったのかもしれない。
なぜなら、妻に原因があると強く確認し合ったことになってしまうからだ。
妻に、自分のせいで子どもができないかもと強く思わせてしまったかもしれない。
原因を突き止めることは大切なことだ。
原因が分からなければ治療ができない。
でも、妻が悪いわけでない。
仕方のないことなのだ。
加齢とともに起こる体の変化。
これから始まる、長い不妊治療の幕開けは、こんな感じだった。
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