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なぜ、約9割の男性は育休を取得しないのか?
育休を取得する男性12.65%、女性81.6%。
男性約9割は育休を取得していません。
男性本人が育休取得したくないと考えているから、ほとんど取得する男性がいないのでしょうか。
育休を取得したい男性は意外と少ない
「平成29年度仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)」を見てみました。
育休を取得したいと思っている男性は43.5%。
男性に育休を取得してもらいたいと思っている女性は、実際に取得した場合を含めて23.8%。
育休を取得したいと考えている男性は意外と少ない印象です。
また、男性に育休を取得してほしいと思っている女性もかなり少ない印象です。
なぜ、育休を取得したい男性、男性に取得してほしいと思う女性は少ないのでしょうか。
育休を取得することで、家庭にもたらされる弊害があるのでしょうか。
育休制度を利用したいと思わなかった理由
同じ報告書の「休暇・休業の取得希望別にみた、育児休業を取得しなかった理由(複数回答)」を詳しく見てみました。
「育休制度があったが、利用しておらず、制度を利用したいとも思わなかった」と答えた男性が、育休を取得しなかった理由
①「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」27.9%
②「自分にしかできない仕事や担当している仕事があった」22.2%
③「育休を取得しづらい雰囲気だった」20.8%
④「収入を減らしたくなかった」20.4%
⑤「配偶者や祖父母等、自分以外に育児を担う人がいた」14.0%
「育休制度がなく、制度を利用したいと思わなかった」と答えた男性が、育休を取得しなかった理由
①「会社で育休制度が整備されていなかった」33.5%
②「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」19.7%
③「育休を取得しづらい雰囲気だった」15.8%
④「自分にしかできない仕事や担当している仕事があった」15.6%
⑤「収入を減らしたくなかった」11.2%
⑥「配偶者や祖父母等、自分以外に育児を担う人がいた」10.9%
「平成29年度仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」
これらの回答は、職場に関係するものと家庭に関係するものに分けられます。
会社に関係するものは、「会社で育休制度が整備されていなかった」「育休を取得しづらい雰囲気だった」「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」「自分にしかできない仕事や担当している仕事があった」。
家庭に関係するものは、「収入を減らしたくなかった」「配偶者や祖父母等、自分以外に育児を担う人がいた」になります。
この調査結果からすると、会社の育休制度が整備され、取得しやすい雰囲気があり、仕事が忙しくなく人手が確保され、他の人に仕事が任せられる状況がないと、多くの男性は「育休制度を利用したい」と思うようにはならない、となります。
本当は利用したかったってこと?!
会社に制度が整備されていない、取得しづらい雰囲気だった、忙しくて人手が不足していた、人に任せられる仕事ではないなどの職場に関することは、「育休制度を利用したいと思わなかった」理由として、適切な回答ではない印象を受けます。
例えば、「制度を利用したいと思ったけど、会社に制度が整備されてなかった」と言えば、意味が理解できます。
でも「制度を利用したいと思わなかったのは、会社に制度が整備されてなかったから」と言われると、もっと詳しく説明を聞かないと、何を言っているのか理解できません。
「制度を利用したいと思ったけど、会社に制度が整備されてなくて、利用できなかった」のなら、理解できます。
つまり、利用したいと思わなければ、職場に関することを気にかけることはありません。
「利用したいと思ったけど、職場は取りづらい雰囲気で、人手も不足していし、仕事を人に任せられそうにくて・・・」ならば、聞いてしっくりきます。
「利用したいと思わなかったのは、職場に育休取りづらい雰囲気があって、人手が足らなくて、仕事を任せることもできなくて」と聞くと、「本当は利用したかったってこと?」と聞き返したくなります。
このような話の流れに多くの方が納得できるのであれば、やはり「育休制度を利用したいと思わなかった」理由に職場に関することを挙げることは適切でないことになります。
利用したいか、したいと思わないかは、自分自身や家庭に関わることであり、職場の様子には関わらず、思うことができるからです。
育休による収入減少の心配がなく、父親育児の重要性が理解される社会
「制度を利用したいと思わなかった」男性が育休を取得しなかった理由として挙げていることのうち、取り上げるべき理由は家庭に関することだと分かってきました。
家庭に関する理由で回答率の高いのは、「収入を減らしたくなかった」「配偶者や祖父母等、自分以外に育児を担う人がいた」になります。
ほとんどの男性は、収入の減少を心配したために育休を取れなかった、育児を担う重要性を理解できなかったために育休を取らなかったことになります。
つまり、育休での収入減少の心配がない社会、父親育児の重要性が理解される社会にすれば、男性も育休を取得するようになると考えられます。
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