リアルができること -モノから感情へ-
■101%達成
2020年8月に54期を終え、期首に立てた売上目標に対して101%でギリギリ達成することができました。12ヵ月のうち6ヵ月がコロナ禍で、印刷物がドラッグストアのように特需があったわけでないことを考えると、例年の達成とは意味合いが全く違ってきます。
7月末まで達成不可能と本気で思っていたぐらい目標との乖離がありましたが、最終月で営業に現場が呼応して、勢いが生まれ、最後まで落ちることなく走り切ることができました。
達成ができたのは、紛れもなく社員と日々支えていただいているお客様と協力会社様のおかげです。
■本当の修羅場はこれから
家にいる時間が増えたことで、本の売上は増えたのでは?と言われることがありますが、全く違います。
Amazonは社内リソースを生活必要物資である日用品に割くことを4月早々に宣言したので、補充したくても在庫を補充することができない時期がありました。リアル書店においても街に人がいない状況なので、厳しく苦しい日々は今もまだ継続しています。おそらく本気で消費が落ちるのはこれからでしょう。
さらには、ニューノーマルとか言葉はどうでもいいんですが、生活の変化により、これまで紙の本を読んでいた人も電子書籍へ移行しています。コロナが終息した後も今のままで紙に戻らない人が沢山出てくるはずです。
そもそも出版業界も印刷業界も成熟産業で年々市場が小さくなっていますが、さらにキツい環境になるのは間違いないです。
■リアルの変化
ジタバタしてもはじまりません。昨日今日で出来ることが急に変わることはありません。藤原印刷は65年ずーっと印刷やってきましたし、これからも印刷を続けていきます。
外的環境に変化があっても、目先のうまそうな光に飛びつかず、自分たちがどこに立っているかだけは忘れてはいけないと思っています。
そして今、求められているリアルに変化を感じています。これまでリアルと呼ばれたものは普通となり、これまで以上にリアルを感じるものしかリアルとして成り立たないのではないかと思います。
私たち印刷業で言い換えれば、モノをつくって納めておしまい。ではダメです。重要なのは納める過程と納めた後です。
■物質の提供から感情の提供へ
人に会う価値。打合せをする価値。モノをつくる意味や意義や納得感。つくっている実感。納品した時の喜び。その後の満足感。そのすべてを満たしてこそリアルの価値、印刷の価値だと思います。
行きつくところ、印刷を通して喜んでもらう。幸せを感じてもらう。
やっていること(印刷)は変えずに、目指すことを変える(納品から喜びへ)。物質を提供してきた会社から、感情を提供する会社へと変容していきたいと思っています。(もちろん良いものを納めることは大前提として)
■紙の違いから驚きを
そして感情を提供する展示会を開催します。
テーマは「体験行為としての読書」です。
洋服は綿やウールや化学繊維など着心地を意識して素材を選ぶことができます。もしそれが本でできたなら、受けとる感覚はどう変化するだろうか。
中身もぺージ数も同じ。でも紙が違う。厚み、重さ、手触りの違う6種類の紙を使用した本を用意して、読み比べができる機会です。あなたにフィットする本とはどんな本かを見つけることができます。
デジタルでは絶対にできない。リアルであるから実現できることにこだわりました。
▽「紙のさわりごこち、めくりごこち」展 概要
会期:2020年10月3日(土) ~10月20日(火)
平日10:00 ~ 20:00、土曜日 9:30~20:00、日曜日・祝日9:30~18:00
※入場無料、どなたでもOK
▽場所
〒399-0736 長野県塩尻市大門一番町12番2号 塩尻市市民交流センター内
電車:JR塩尻駅下車。東口(正面口)から徒歩約8分。
車:長野自動車道 塩尻ICから約10分。
※駐車場は、市営大門駐車場をご利用ください。その際は3・4階に駐車していただき、3階連絡通路をご利用いただくと便利です。なお、駐車券を1階図書館カウンターまたは、2階総合受付にお持ち下さい。駐車料金の割引があります。
■スペシャルサンクス
今回の展示にあたって、たくさんの方々に力添えをいただきました。カバーのイラストはやまなかれなさんです。ニュアンスあるやわらかなイラストが大好きな方です。ありがとうございました。
会場を提供いただいたのは塩尻市立図書館さんです。本への愛が溢れているすばらしい空間ですし、担当いただいた藤牧さんはとても誠実な方です。
最後に、制作物すべてを一手に引き受けてもらった弊社の仲川、印刷製本で遅くまで頑張ってくれた大石と山田に最大限の感謝を送ります。
みなさん!ぜひ来てください!
(藤原隆充)
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