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異分子が交じって、気づく価値〜複業×地方創生“サーカス型”プロジェクト振り返り

■“サーカス型”プロジェクトを終えて
都心の複業メンバーがチームになり、大口酒造の“伊佐錦”をリブランディングするプロジェクトに、演劇家として参加していました。
全6回の体験レポートも今回で最終回。
この複業プロジェクトで発見したことを、振り返りながらまとめてみたいと思います。

ー都心に住む様々なバックグラウンドの人が集い、アイデアを携えて遠く鹿児島の地へ赴くー
それはまるで、異ジャンルのパフォーマーが集ったサーカス団が、遠くの街へ巡業するようだ、と思い、「サーカス型」と称したこのプロジェクト。

・ チームは、全員複業メンバー
・ 東京チームと、鹿児島の大口酒造

“異分子”の掛け合わせ、というのが今回のキーワードでした。

■どんな“異分子”か、に気づいていった
集まったメンバーは、職種もキャリアも年齢も、てんでバラバラの人たち。唯一の共通点は、このプロジェクトに惹かれた、ということぐらい。
最初の頃のミーティングは、チームメンバーそれぞれが、お互いに対して(この人は、何を考えているんだろう……)と、探っているような空気がありました。

「焼酎をリブランディングすることと、演劇の頭は、一体どこで交われるものか……」

わたしも、始まったばかりの頃は何ができるか全く未知の状態。最初は不安もありました。
しかし、ミーティングの日はやってくるし、プロジェクトはどんどん進んでいく。

「この女性は、お酒に何を求めているのか」
「鹿児島取材で何を持ち帰るべきか」
「企画コンセプトをどこに絞るか」

次から次へと立ち現れる問いに対して、異分子メンバーそれぞれ、四種四様の角度から意見が飛び交います。
どんどん自分の考えをアウトプットしていくうちに、だんだん、自分ならではの視点、というものに気づいてきました。

「どうやら自分は、企画を体感で考えるのが癖らしいぞ……」

個人的な性質もあるとは思いますが、演劇の脚本を書くときも演出をするときも、人物がどういう体感の状態か想像することが日常でした。

「そしてどうやらこの性質は、新しい視点を提案できるらしい!」

議論を重ねていくなかでだんだんとそれが自信になっていきました。
“体感から考える”
普段自分には当たり前なことが、“ならでは”なことだとも、“強み”になるとも、それまで意識をしたことがなかったのです。


■“異分子”が掛け算されていく

若宮ーアイディアが豊富、複業起業家
川股ーフットワークの軽い、鹿児島フリーク
藤原ー体感で考える、演劇家
関口ー企画の核心をつく、まとめのリーダー

振り返ると、こんな異分子4人が集まったチームでした。
しかしこれも、異分子同士ぶつかりながら生まれた役割分担。
問い、に対するそのリアクションに、その人“ならでは”が見えてきて、見えてくるごとにお互いの強みをリスペクトしながら進んでいったように思います。

メンバーの若宮さんは“社員全員複業”という変わった会社を経営しています。“チーム全員複業”という今回の企画を進めていくうえで、“ならでは”を軸に置くことや、これまでの成功や失敗を踏まえたうえで、肝になるような提案をいくつも出してくれました。

建設会社の広報で働く川股さんは、鹿児島に年に何回もいくほどのフリーク。川股さんなしでは、鹿児島の情報や、取材させていただいたお店とつながることはできませんでした。普段の仕事だけでなく、「九州が好きだ!」というプライベートの熱量が活かされるたのも、複業の魅力だと思います。

ここに、体感で考えていく藤原の提案が混じり、

最終的にいつも、リーダーの関口さんが、シンプルで芯の通った言葉にまとめていってくれました。

こうしたバラバラ異分子4人のアイディアが掛合わさって、企画は進むごとに面白い方向へ転がっていきました。

■ 鹿児島×東京
今回、東京チーム×鹿児島県の大口酒造のプロジェクト、というのも異分子同士といえると思います。
最初は、東京の消費者の声と鹿児島現地の声について、意見を交換したところから始まりました。

外からの目線だからこそ、見えてくる良さ、外からだからこそ、分からないところ。

一番白伊佐錦を知っているからこそ、実感している良さ、でも自分たちのことだからこそ、気づいていないところ。

この2つの異分子の見解が交わるとき、なかなかすんなり融合はしません。
異分子同士、どちらにも当たり前があるし、どちらからも、見える景色は違います。

それでも、「新しい焼酎文化を作りたい」と、同じ目的を共有して、意見の擦れを繰り返しながらも、これまでに考えたことないことを一緒に考えていくことで、到達できる点があるのでは、と思いました。

■“異分子”複業プロジェクトで働いてみて

全員が複業のチーム。
3ヶ月のプロジェクトの中で大半の時間は皆別の仕事をしています。
会えるのは、月に数回、2時間ずつ。
そしてその時間のすり合わせも難しいので、ときには休みの日に会議なんていうこともありました。

異分子同士ゆえに、ときには、意見が衝突することはありましたし、
いつも一緒にいるメンバーだったらツーカーで済むことも、分かりやすく言葉を尽くさないと伝わらなくてイライラする、ということもありました。

それでも、月数回のミーティングに前のめりになれたのは、
複業で時間が限られてるからこそ、集中する、という環境だったことと、
“異分子”同士の集いには、変な忖度や、不必要な遠慮がなかったからだと思います。
プロジェクトが面白い方に転がるため、という大前提のもと、違った意見がぶつかったとしても、とても風通しのいい会議でした。

複業チームでプロジェクト!ときくと、
なんだかすごいバリバリの武器を持った豪傑達が集わねばならないようなイメージも浮かびます。

でも、今回気づいたのは、参加してアウトプットして初めて気づく“強み”があるのだな、ということ。そして、自分への自信も、相手へのリスペクトも、後からどんどん追加されるものだと知りました。

今回、異分子で共同して“働く”ということは、純粋にとても楽しかった。
こんな機会が、これからもっと増える時代になりそうだし、
是非いろんな異分子同士が混じることで生まれた面白いプロダクト、場を、もっと体験してみたいと思います。

今回、大口酒造さんとタッグを組み、このプロジェクトを統括していた一般社団法人SIDELINEは、複業のメンバー登録を始めたそうです。
【コチラ↓】
https://event.sideline.or.jp/?fbclid=IwAR01nFVtdMhpIh5Ep1ZZp-GNKwKauqFUcwW8o7kWkdgXE0Tplmfu3aZZCaQ

もし、興味がある方は是非ページを覗いてみてくださいね。

全6回お読みいただいた方、ありがとうございました。

まだお読みでない方、過去の記事はこちらから↓

https://comemo.io/user/13336



引き続き、「演劇×◯◯」について気づいたことを書いていきますので、
どうぞよろしくお願いいたします。


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