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こんなところにも「Fujitsu Kozuchi」が!?豊かな社会の実現に向けて、研究員が描く未来像。

こんにちは。富士通 広報の鈴木です。
富士通は、振ると望むものを何でも生み出すことができる「打ち出の小槌」に由来する「Fujitsu Kozuchi」という名称でAIサービスを展開しています。それらの社会実装が進むと、近い将来、私たちの生活はどのように変わるでしょうか?
 
今回は、AIサービス「Fujitsu Kozuchi」のうち、昨今社会実装が進みつつある画像認識について、4つのAIコアエンジンを最新動向や研究員の技術に込めた思いなどを交えてご紹介します。
 
まずは、街中でよく目にするカメラに関連した技術について、見ていきましょう。
オフィスビルや工場、商業施設、自宅などのいたるところにカメラが設置されており、業務改善や混雑状況の把握、子供やペットの見守りなど、その活用は広がっています。
富士通のマルチカメラトラッキングは、複数のカメラ映像から物陰の多い場所や混雑した場所でも同一人物をリアルタイムに追跡できる技術です。
 
ー 担当研究員が思い描く本技術の将来的な利用シーンを聞きました。
手のひら静脈認証をはじめとした生体認証に関する長年の研究開発で培った照合技術を人物再同定※に応用することで、マルチカメラトラッキングの技術が誕生しました。人物追跡の分野での世界的なベンチマーク(MOT-17、20)においては、精度面で1位を獲得するなど、さらなる技術の向上を図っています。
本技術を応用し、例えば、ショッピングセンターで、クーポンやおすすめ商品の情報提供を希望する来場者に本人同意を得て移動経路を解析することで、サイネージディスプレイなどでタイムリーに情報表示したり、また、工場では、作業者の動作や動線を解析することで、作業や備品配置の改善を提案し業務効率化を支援したりするなどの活用を検討しています。
今後も、マルチカメラトラッキングの技術により、幅広い分野で価値訴求を模索し、安心安全に加えて、ひとり一人に便利で最適な社会を実現したいと考えています。
 
※人物再同定:Person Re-Identification。一つのカメラに映った人物が、別のカメラに映った場合に、その人物同士を同一人物として結びつけること。
 
次に、私たちの生活に欠かせない交通インフラの安心安全を支える技術を紹介します。
日々、一般道や高速道路などには多くの車両やバイク、自転車などが走行し、人々の移動や様々な物の運送などが行われています。安心安全で滞りのない交通を実現するには、刻々と変化する交通状況に対して安全通行を妨げる車両の逆走や落下物などの事象をいち早く検知することがとても重要です。富士通の交通映像監視は、定点カメラを利用して24時間適切に道路における様々な事象を検知する技術になります。
 
ー 担当研究員に本技術を詳しく解説してもらいました。
交通管制・管理の現場では、24時間365日、交通を妨げる異常事態の発生有無や交通状況、気象状況などの情報収集を行い、安心安全な道路を守るための対応が行われています。
富士通の交通映像監視は、定点カメラの映像から、雨や雪、台風などの悪天候や夜間の暗い時間帯などの変化する屋外環境に合わせて視認性測定や暗所補正などができるセンシング機能により、自動で画像補正することで検出精度を高めています。また、夜間の安心安全な道路を守るための車両検出などの新たなアルゴリズムを開発し、現在、夜間の交通量計測において90%以上の精度を達成しています。
今後は、マルチモーダル大規模モデルや大規模ビジョンモデルといったAIモデルの活用により、継続的に既存システムを最適化し認識精度の向上を図るとともに、交通特性の異なる海外も視野に大都市の交通安全を支えるための機能拡充を検討していきます。
 
続いては、画像認識AIを誤認識させる攻撃を対処する技術の研究開発の裏側に迫ります。
画像認識するAIの高精度化が進む一方で、それを誤認識させる攻撃が今後活発になっていくと予想されています。
画像や映像から車両番号および車種、道路標識を認識するAI、食料品などをはじめとする多種多様な商品を認識するAIへの攻撃など、様々なユースケースを想定した実証実験が行われています。
富士通の敵対的サンプル攻撃検知は、画像認識AIの誤認識を引き起こす攻撃をリアルタイムに検知する技術です。
 
ー 本技術の研究開発の現状について、担当研究員に教えてもらいました。
AIの活用が進むにつれ、AIが脅迫、金銭の搾取、抗議、嫌がらせなど様々な動機を持つ攻撃者の標的になることが考えられます。富士通はAIを安心して利用できる社会の実現を目指し、そのような攻撃を対策する技術研究開発に取り組んでいます。
AIの攻撃への対策技術の開発は、攻撃できてしまうということをまず研究者自身が実証するところから始まります。敵対的サンプル攻撃検知の技術開発においては、お手製のスマートショッピングカートやセルフレジを作成して攻撃の検証を行いました。
例えば、画像認識AIを用いてスーパーのセルフレジで商品を清算したかどうかを監視する場合に、特殊な模様(攻撃パッチ)が貼付された商品を“認識結果なし(商品なし)”と誤認識すると、商品をレジに通さなくても不正と判断されずに見逃され、結果として売上損失が発生します。本技術は、攻撃されている物体について、既存の画像認識AIの認識結果と一致しない場合、画像認識AIの正しい認識を阻害する攻撃が発生したと検知するため、このような不正をリアルタイムで検知でき、早期に必要な対策を取ることができるようになります。
今後も、チーム一丸となって様々な攻撃を想定した実証実験を積み重ね、敵対的サンプル攻撃検知の技術向上を図り、あらゆる攻撃からAIを守ることができる環境の実現を目指します。
 
最後に、AIを開発する人間の手助けをするAI技術が実現する未来についてのお話です。
画像認識AIを一から開発するには、大量の学習データの準備、大規模な計算リソース、そしてAIに関する専門知識が必要です。
「Fujitsu AutoML for Vision」は、画像認識AIをはじめとするAIの開発自体を上位のAI(以下、メタAI)で効率化することで、それぞれの事例ごとに最適化されたAIを短期間で提供できるようにする技術です。
 
ー 本技術の研究開発の狙いや今後の展望を担当研究員に語ってもらいました。
近年AIへの注目が高まっていますが、これからの時代は「AIをつくるAI」こそがより重要になると考えています。研究者が時間と労力を費やしてAIを開発しているプロセスをメタAIで自動化することで、多様なお客様の要望ごとにカスタマイズされたAIを短期間で提供することが可能になります。
そのために私たち研究者は、自分自身がどのような仕事をしていて、それをどうすればメタAIに任せることができるかといった、より高い視点での内省的思考が求められます。そこが一般的なAI研究にはない、「Fujitsu AutoML for Vision」ならではの面白い点だと感じます。
現在、ザトウクジラが付近を回遊することでも知られる東京都の八丈島で、「Fujitsu AutoML for Vision」を活用したシステム開発を進めています。ホエールウォッチングに訪れた観光客や生態調査を行う研究者にとって、いつどこの海岸にザトウクジラが現れるかわからないという課題がありました。そこで、クジラを検知するよう学習したAIモデルで、海岸沿いに取り付けたカメラの映像を分析することにより、クジラが現れた場所と時間をリアルタイムに把握する検証を行っています。これまでは研究員が試行錯誤して最適なAIモデルの設計や学習を行っていましたが、「Fujitsu AutoML for Vision」でそのような作業を自動化することで、短い準備期間で実証実験をスタートできました。
今後、一連のシステム開発で得られた知見から「Fujitsu AutoML for Vision」をさらに改善し、AIモデルの開発や学習などの作業を効率化することで、ほかのプロジェクトへの横展開をスムーズかつ迅速に実施していきます。
 
社会や利用者にとってより使いやすいAIサービスにしていくため「Fujitsu Kozuchi」の研究開発が着実に進められていますね。
「Fujitsu Kozuchi」が身近な存在になる日も案外近いかも..!?
 
今回の記事ではご紹介しきれなかった先進技術がほかにもたくさんあります。それらAIを中心に富士通の研究戦略をメディアや投資家、アナリスト向けに説明する会を6月4日(火)午前中に予定しています。
参加をご希望の方は、5月31日(金)までにご連絡ください。

※ご利用環境により、上記ボタンが反応しない場合は、恐れ入りますが、<fj-prir-note@dl.jp.fujitsu.com>までご連絡お願いいたします。

※先着順での受け付けとなります。お申し込みいただいた方に個別にご連絡させていただきます。開催場所の関係上、一定人数に達した場合は、ご参加いただけないこともございますので、ご承知おきください。

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