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「タンポポ綿毛」のマイクロノベル 他3篇 #42

 いいかい、ちょっと難しいがね。タンポポ綿毛の影にあんたの影をうまくあわせて、ふっと吹くんだ。すると、綿毛の影だけが飛んでいって影のできない綿毛が残る。これを高値で買う奴がいる。誰かは知らない方がいい。

 天空に御座す神の住まいのベランダから、玩具がこぼれ落ち地面へと散らばった。畏れおおいと、街の一角に天の落とし物は寄せられたが神は取りに来られず、その後祠が建てられて、ご神体として祀られるようになった。

 それでは、もっと干したまえ。あなたはそう言って、今度は鉄塔を貸してくれた。長い電線にタオルと靴下を干せば、きっと気持ちいい。でも、鉄塔本体はちょっと寒々しいので、マフラーを編んであげようと思っている。

 ビルの壁修繕にあわせて、南極へと通じる窓ができるはずだったのに、テーピングだけで、あれから二年が経つ。夏に南極の冷風が吹き抜けるのを期待してたのにな。予算不足でも南アルプスぐらいにつなげて欲しかった。

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