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「ハキダメギク」のマイクロノベル 他3篇 #20

 路傍に咲く小さな勲章にも似た可憐な花、しかしハキダメギクとはひどい名前をつけられたものだ。そんなことを考えながら眺めていると、空からほんの小さな手が突然シュッと伸びてきて、一輪毟り取っていった。その日を境に、世界は変わってしまった。

 ヴェロニカ・ペルシア、ああ君はそんな学名だったんだ。もしかしたら、ペルシャ王キュロス2世の足元に咲いていたかも知れない。日本にまでたどり着いて、まさかオオイヌノフグリと呼ばれることになろうとは、誰の呪いだろうか。

 ドングリ見つけた。小さな帽子、かぶってみたい。そう思う小さな自分が飛び出して、その帽子を拾うとうれしそうに笑いながら走り去っていった。あとには、ドングリに興味を無くした自分が、ひとつ歳をとっていた。

 アロエとして渡り歩いてもう十年になる。北に火傷をしている子がいれば手当てし、南に胃腸が悪い人がいれば駆けつけ、東にヨーグルトがあれば行っていっしょに食べてもらう。西に行けばアロエの花の極楽浄土があるという。

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