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「シャコバサボテン」のマイクロノベル 他3篇 #24

 デンマークカクタスなんて名前より、蝦蛄葉(シャコバ)サボテンって呼んだ方がなんとなく美味しそうじゃない。年の瀬に花屋の前を通るたび、酔っぱらってそんなことを言っていた人のことを思い出す。

 これが「バクダンの木」の実だ。そういう空想世界に紛れ込んで、本気で投げあって遊んだ小学生の日々。バクダンの実の生成過程も図解した。だが歳月はそれを無力化し、いま見るこの実は不発弾ですら無い。

 ビワの種には野望がある。食べたあと種を蒔きたくなるのは、そのためだ。そして発芽して大きくなって、また実を成らす。やがて、街をビワの木で埋めつくし、ビワシティへと変貌させるのだ。ほんのささやかな野望だ。

 タンポポは、一度石畳の上で咲いてみたかった。上空から見た石畳の模様が素敵だった。運よく石畳の上に着地し、根を張って花を咲かせることができた。ここから石畳の模様を見ることはできない。花のあと茎を伸ばし、少し模様が見える頃にはまた綿毛となって飛んでいくことだろう。

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