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「オトシブミ」のマイクロノベル 他3篇 #29
かつてこの村に大量の殺虫剤が散布された。機密文書の落し文を作るよう教育されたオトシブミがいるという莫迦げた噂が流れたせいだ。戦争が終わり、今日も器用に落し文を作り続けるのは、まだ動く機械のオトシブミだ。
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公園で蝉の抜け殻を一生懸命集めている人がいる。「蝉退」という漢方薬になるのだという。でも本当は、これを雪の降る寒い日に暖炉の火に焼べて、夏の声を聴きながら、麦酒を飲むために集めてるんだ。いいだろう。
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同心円を雲に描きながら、すーい、すーいと、空を泳ぐアメンボ。おーいアメンボ、それは本物の空だぞ。そう叫ぶと、公園にいる人もみんな空を見上げはじめた。夕方、巨大なアメンボが捕獲されたニュースを耳にした。
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まずキマダラカメムシの背中のツボを、爪楊枝の先で叩いて音を鳴らすところから初心者ははじめる。一度に数匹のキマダラカメムシを操って曲を奏でられるようになれば、たいしたものだ。めざせ、バイオリンムシ弾き!
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