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「カラスウリ」のマイクロノベル 他3篇 #2

 投げ銭とともに拍手がおこり、カラスウリ弾きは沿道の観客におじぎをした。どうやって演奏していたのかわからないが、ふと目が合うとなぜか寂しそうな表情で手にしていたカラスウリをくれた。もちろん弾けなかった。

 野ぶどう占いでは、碧い実は幸運を呼ぶとされる。実にノブドウミタマバエが寄生することで、碧や紫に色づくそうだ。そこで碧い実を多量に成らせるため、この寄生蠅が高値で取引されている。どうだね、安くしとくよ。

 戦況を変えるため、王は野ぶどう占いに頼った。実はノブドウミタマバエの寄生により色を変える。占いを攪乱させようと隣国から大量の寄生蠅が放たれた。だが何色になろうと、王は自分の信じるようにしか見なかった。

 紅葉したエビヅルの葉を見ると思い出す。子どもの頃、この葉っぱをおでこに貼りつけて、みんなで神社まで踊りながら行列した。先頭がタロウくんで、ぼくが二番目。猫のタマもいっしょに踊っていた。楽しかったなぁ。

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