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「ヤコウタケ」のマイクロノベル 他3篇 #51
森の土の中で眠りきれなかったエネルギーが、ヤコウタケを通して光子へと変換され秒速三十万キロの速度であなたの網膜へ到達する。そこで「あ、光ってる」と感じたあなたも、やがて森の土へと帰って眠りにつくはず。
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明日は特別な風が吹くから、紫陽花を持ってくるよう連絡網で回ってきた。どんな色にしようか迷っていたら、色分けの花を見つけた。これにしよう。翌朝、風とともに花の色は街へと流れだし、紫陽花色へ染まっていく。
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この花に会いたくて、今年もヘビウリを植える。受粉すると一気に生長し、蛇のような長い実を成らす。ヘビウリ弾きがこの花を奏でると実はうねりだし、白蛇の如く空へと昇って雨を降らす。そう伝え聞く、雨乞いの術。
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雨音が止んで明るくなると、足元に小さな花が無数に咲いていることに気づく。ハナヤエムグラ、花言葉は「抵抗」。その言葉を信じてタネを蒔いた奴らがいる。さて、この花を踏んで、その者たちに会いに行くとしよう。
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