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チームビルディングで必殺技を考える話

はじめまして、fujitakuです。よろしくお願いします。

この記事は、 NTT Communications Advent Calendar 2021 6日目の記事です。今回は、チームビルディングで必殺技を考える話をしようと思います。

なぜ、チームビルディングを題材にしたのかというと、コロナウィルスの影響で、多くの企業での働き方がリモートワークにシフトしつつあり、チーム内外でのコミュニケーションの在り方が変わってきていることがあります。それに伴って、働く上での課題や悩みを抱いている方も多いのではないでしょうか?

想定される一例として、リモートワーク下で、日々の業務に追われながらもチームの人の出入りが激しかったりして、気づけばお互いのことをよく知らずに一緒に仕事しているなんてこともあるのではないでしょうか?実は、私もそのうちの1人でした。

そこで、この記事を通じて、チームメンバーとの関係性に悩んでいる方やチームで一致団結して、士気を高めたいと思っている方等のチームビルディング実施の敷居を下げられればなと思っております。(※会社の公式な記事ではないです)

私の場合、ちょっとした技術検証を行う立場ですが、デザインやプロダクトマネジメントを学んでおります。幸せなことに、弊社には、「プロダクトマネジメントのすべて」の著者でもある及川卓也さんをはじめとして、技術顧問へ気軽に相談できる環境やデザイン思考を全社的に布教するカタリストを担うCoE(Center of Excellence)組織として、デザイン部門KOELの存在があり、デザインやプロダクトマネジメントを学ぶ機会が転がってたりします。私個人としては、KOEL 荒砂さんのDesigner's HYGGEというコミュニティにも最近、顔を出させてもらったりして、刺激を受けていたりします。

デザインやプロダクトマネジメントの経験が無いなりに、チームメンバーをはじめとした皆様に支えられながら実践していく中で、最終的には組織づくりに繋がってくることに気づけて、リモートワーク下でのチームプレーの在り方を問題視するようになりました。具体的には、リモートワーク下におけるチームの朝会は、毎日30分実施しているので、コミュニケーション頻度が高く、お互いをよく理解している気になっていたのですが、実は事務連絡ばかりが話のトピックになっており、個人の価値観を話せるような、お互いを深く知る機会がないという状況でした。チーム全員で5人という少人数チームなのに、上記の状況になっていることに気づけていなかったのかと少し反省しました。

このような経緯から、各人の過去の経験によって、内側に形成されてきた価値観を知るためのヒストリーマップを描くことを出発点とした、チームビルディングを構想していくことになりました。

ここで、皆さんは疑問に思うかもしれません。それは、ここまで一度も『必殺技』というワードが出てきていないからです。安心してください。これから、その話をします。

私は、昔から言われたことを効率的に淡々とこなすのが苦手なタイプでして、どこか遊び心を持ちながら、物事をアレンジすることが好きな自由人だったんです。出来が悪いなりにも、6歳から続けてきた剣道の守破離という考え方が染みついているということにしておきます(笑)。剣道だけでなく、他の競技も含めて、何かとチームが盛り上がる瞬間を観察してきて、それを試合でうまく表現するみたいなことに良さを感じていました。

チームが盛り上がる瞬間って、会社で働くうえでも、もしあったら物凄く楽しめるようになるのではないかなと思うんです。そして、チームが盛り上がる瞬間の裏側には、上達するまでの一連の泥臭いプロセスを全員で体感することで生まれる、信じる力があるような気がしています。ある特定のシーンでプレーして、上手くいかないならしょうがないと潔くもなれてしまうくらいの覚悟を持っているとも言えるかもしれません。

例として挙げるなら、2015年の東福岡vs國學院久我山のインターハイ決勝戦での、トリックプレーを覚えている方も多いのではないでしょうか?

こちらのトリックプレーは試合前日にチームで練習・意識合わせしてきたことを本番にてプレーすべきタイミングにプレーすることで、得点に繋がった事例のようです。サッカーに詳しいわけでもないのですが、ある日、何気なくテレビの電源を入れた私は東福岡の異様なフリーキックの光景に魅了されていた記憶があります。

上の例のような、大一番で頼りになる『必殺技』がもし、自分の所属するチームにもあったら、この『必殺技』こそが、チームメンバーの日々の業務におけるモチベーションの起点となるのではないかと考えたことが、3日間にわたるチームビルディングのコンセプトを『必殺技』とした経緯になります。

チームに誰もが信じられる『必殺技』が重要なのはわかったけど、会社の所属チームで作るべき『必殺技』って何だよ?そう思った方は多いと思います。様々な経緯がありますが、私にとって、職場のチームでまず作るべき『必殺技』は、『チームのMission / Vision / Value』 だと考えております。ここでは、トップダウンで会社のMission / Vision / Value を当てはめていくのではなく、敢えてボトムアップなアプローチで『チームのMission / Vision / Value』 を作っていくことに意味があると考えています。

経営学の観点から、野中郁次郎氏によって提唱された『知識創造理論』という考え方が一般的に知られているかと思います。この理論では、組織における知識の在り方として形式知暗黙知という概念がキーポイントになってます。組織のMission / Vision / Value は長い年月の間、文字という形で残ってはいるものの、創業者がいなくなって以降、なぜ、そのMission / Vision / Value を作ったのかという創業者の意図や着想が暗黙的に知られていない状況になってしまうことがあるそうです。このような状況下では、自分自身がステートメントの作成に携わった訳でもないため、組織のMission / Vision / Value を自分事化するのに失敗してしまい、文字として形骸化してしまうことが容易に考えられます。そこで、ピュアに個人の視点から大切にしていきたいことを考えていき、組織のMission / Vision / Value は制約条件として捉え、個人やチームの視点と擦り合わせる営みを通じて、自分なりの解釈をすることが重要ではないかと考えました。

そのため、今回のチームビルディングでは、個人の価値観や大切にしていることを出発点として、『チームのMission / Vision』 を導くことをゴールとしました。実は、チームのValueは一度、作ることに失敗したこともあり、今回はまず、Mission / Vision を考える運びとなりました。何が失敗だったかはこの後、お話しします。

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上の画像は、チームビルディング実施資料の表紙スライドになります。『Special Move』=『必殺技』(Google検索で調べただけでして、必殺技の英訳として、より適切な表現があれば、教えていただきたいです。)という意味でして、複数形にしているのは、『チームのMission / Vision / Value』 から派生されるプロダクトも『必殺技』の一部として見立てるのであれば、複数あっても良いじゃないか、むしろどんどん生み出していく必要があると考えたからです。

このように、普通にチームビルディングをしてもつまらないだろうと思い、チームビルディングのコンセプトを自分なりに作ったことは、チームメンバーの皆様に実施意義を理解し、共感していただくことだったり、ワークの内容をつまらない作業だったと振り返ることなく、やってよかったなと楽しんでいただくためにも、良かったのではないかと思っていたりします。

ここまでで、『必殺技』=『チームのMission / Vision / Value』 として話を進めてきましたが、この『必殺技』を機能させるために必要なある2つのポイントがあると考えています。1つは、『合言葉化』だと考えています。なぜなら、『必殺技』は内側にしまっておくモノではなく、どんどん使ってこそ価値があるモノだと考えており、『チームのMission / Vision / Value』 はワードやセンテンスだからです。先ほど、チームのValueを作ることに失敗したと言いましたが、それはチームのMission / Visionという根底を成す部分を先に作ることなく、チームのValueを作ったことによって、チーム内での『合言葉化』に失敗したという意味でした。

ここで、KOEL 武田さんのNeWork™のリニューアルで本当に必要だった、たった1つの視点という記事がまさに、『合言葉化』が重要であることを示していると思いましたので、引用させていただきます。

コンセプトドキュメント完成後は、合言葉のようにメンバーが判断の軸として使えるようになり、一気にリニューアルの方向性が固まっていきました

この場合、コンセプトドキュメントが出来上がる前までは、チームの中でも多様な自分のNeWorkがある状態で、チームで共通認識を持てていないという課題感から、「何がNeWorkらしさだったのか」に向き合うことで、数あるNeWorkの理想の姿を収集し、それぞれがどのタイミングで発生したのかを整理し、抽象度を上げたキーコンセプトを抽出したり、第三者にも伝わるように再構築するというステップを経て、プロダクトのコンセプトをチームで『合言葉化』することに成功したようです。その結果、チーム全体でプロダクトのリニューアルに関する意思決定を迷うことなく、納得感を持ちながら1つの方向性に向かって行けたのではないかと想像しています。

必殺技』を機能させるために必要となるもう1つのポイントは、チームビルディングを継続的に実施するといった、『仕組化』だと考えています。『仕組化』は、『必殺技』を『合言葉化』するために重要なことでもあると思いますし、コンスタントに1 on 1等で相談・雑談したり、チェックイン・チェックアウトといった機会を設けることで、今まで見えていなかった個人の価値観を何気ない話の中から知ることができるのでおススメだったりします。また、今後チームメンバーとして新卒入社・中途入社・異動してこられる可能性もあるので、アジャイル開発のように新しい血を取り入れて『必殺技』をアップデートする営みは重要だと考えています。

私の所属するチームでは3daysワークショップ後からチェックアウトを始めたのですが、ポケモンに詳しいメンバーからチームメンバーをポケモンに例えていただきました。私は、カプ・レヒレというポケモンに似ているそうで、フィールド上にいるチームメンバーの強みを最大化するミストメイカーという特徴があるそうです。とても気に入っております。

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少し脱線した内容にはなりますが、実は、ポケモンに例えることで他者から見た自分を知ることにもつながりますし、1度チェックアウトにワクワクした経験から、「次はどんなチェックアウトになるだろう?」と思いながら、毎日のスタートをポジティブに迎えられるきっかけにもなっているのかなと感じています。また、以前は中々、相手を否定するように思えてしまうことから、ネガティブフィードバックを頂けないこともありましたが、ポケモンを介することでフィードバックする側もされる側も受け容れやすくなるという効果もあったかと思います。プロダクト開発において、n=1の違いを見極め、しっかりしたペルソナを作っておくと、ペルソナを介して客観視したり、感情移入して自分事化できたりすることで議論が活発になるのと似たような効果なのかもしれません。

以上、2つのポイントから今後は、チーム全員で納得して決めた『必殺技』(チームのMission / Vision / Value)をより一層『合言葉化』するために、チームビルディングの営みを『仕組化』していくことで、チーム全体や個人の取るべき意思決定の方向性を示し、良いプロダクトづくりの土台を固めていければなと思います。

最後に、チームビルディングの在り方に関しては、様々な観点から賛否両論あるかと思います。ここまで自由にチームビルディングやアイディア創出等のワークショップの実施を温かく見守ってくださる周囲の方や一緒に取り組んでくれているチームメンバーにはいつも感謝しております。「入社3年目であるにも関わらず、生意気なことしているな」と笑いながらも、泥臭い組織づくりを楽しんでいくきっかけになっていただけたら、幸いです!

明日の記事もお楽しみに!

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