本当にいい先生だと思う。
「みなさんは、何に熱中してきましたか。」
仙台市のとある高校で、開校当初に発行された卒業文集の中の一文である。
全く縁もゆかりもない高校の知らない先生が書いた1つの文であるが、読んだ時「未来を考える時、何に熱中したかが道標になる。」というニュアンスを含んでいると私は読み取った。
きっとのこの先生は趣味が豊富で、様々なことに興味を持ち取り組む人なのだと、私はこの文だけで様々な人生背景を想像してしまう。普通、事務的に話すのであれば「努力すればどうにかなる。若いのだから。」という内容に収束しがちで、どこか生徒任せなところがあり、案外信用出来ないものである。なぜなら本当に努力をして挫折を経験した人であれば努力の天井を知っていることから、軽々しく「努力でどうにでもなる」とは言えないはずだという考えがあるからである。現にそんな先生や大人ばかりでうんざりしている人も多いのではないだろうか。しかしこの先生は事務的な話をする人達の中で、「あなたは何に熱中しましたか」という際立った言葉を放つ。このセリフは努力と挫折を繰り返した戦士の吐息、そして思春期の苦しみや据を解き放つ魔法の言葉に聞こえた。この人生観は努力や結果で評価するのではなく、熱中したことを評価し、それが人生の道標になると解いているという点で、人間向き不向きはあるけど、自分が何も無いと思っている学生が、自分の強みを見つけだす魔法の言葉だと思う。そして自分の行動一つ一つに誇りと責任を持てる元気が貰える言葉だと思う。社会では当然結果を求められるし、学校もそれを目指しがちだけど、学校生活で本当に必要なことは自分の強みをいち早く見つけて取りくむことだと思うんだよね。そういう意味でこの先生は本当にいい先生だと思う。
成功体験ばかりの日記に、失敗を添えて、失敗が糧になるという文脈の同じような内容の記事がこのインターネットの海では肯定される。しかしそもそもの立ち上がり方を努力に委ねるというのは理にかなっていない。こんなネットの海をただよっていた知らない学校の知らない先生の言葉が就活のモチベーションを変える奇跡と目先のことよりもまずは自分の周りを見わたすことの大切さに気づかせてくれたことに僕は感謝したい。
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