19.働いてもお金が増えないファーム
初日に稼げた金額はなんと30ドルだったのだが、次の日も、その次の日も30ドルから、よくて50ドルぐらいしか稼げなかった。
ちなみにストロベリーファームはほとんど休みがないため、週7で仕事がある。
今の1日の平均の給料が40ドル、週7で280ドルとして、
・レント代 120ドル
・1週間分の食費と水 100ドル
を差し引くと、よくても40ドルほどしか手元に残らない。
これでは、どんなに働いてもこのファームから移動することが難しくなる。
『これはまずいな』と思った。
ここのファームは日本人と韓国人がほとんどなのだが、性別でいうと、日本人は女の子がほとんど、韓国人は全員男の子という偏った比率となっていた。
なんかおかしいな、と思っていたのだが、2、3日もすれば謎が解ける。
日本人女子と韓国人男子は、全員ではないがほとんどがカップルだったのだ。
ファーム内はほとんどカップルの巣窟となっており、僕とその他のシングルのワーカーは、どうも居心地が悪かった。
そういえば、スタンソープのファームで働いている知り合いの女の子はどこにいるのだろう?
と思い、連絡を取ってみた。
『今スタンソープのストロベリーファームで働いてるけど、同じファームじゃない?』僕
『私はスタンソープだけど、コットンベールという場所ですよ。コントラクターはサンですよね?』女子
『サンだよ』僕
『サンはスタンソープで2つのファームでコントラクターをしてて、私はそのもう1つのファームなんです!』女子
『そうなんだ!なんかこっち全然稼げなくてさあ・・・そっちのファームはどんな感じなの?』僕
『こっちは普通に稼げていますよ!ファームも大きいし、人も多いです』女子
『ええー、いいじゃん!そっち行きたいなあ』僕
『人はいつでも募集してるから、サンに聞いてみたらどうですか?』女子
『そうしてみる、ありがとう!』僕
コントラクターのサンは、スタンソープに2つファームを持っていて、今僕がいるファームと、コットンベールというここから車で10分ほどのファーム2つを管理しているということだった。
そして僕はこの稼げないファームに連れてこられたということだ。
一緒にここにきたシンにこのことを話した。
当然、シンももう一つのファームに移動したいと言ったので、サンにファームを移動できないか交渉してみた。
すると、サンは少し考えてから、他のワーカーに移動することを絶対に言わないなら特別に移動してもいい。と言ってくれた。
もう一つ、最初に支払ったボンド(家を借りるときの保証金)は返却できない。この2つの条件で、僕とシンは次の週に移動できることになった。
他のワーカーに秘密にしておいて欲しいというのは、おそらくこのことを知ったらみんな移動したいと言い出すからだろう。
そりゃ稼げるファームに移動したいのは当然だ。
僕とシンは、所持金がかなり少なくなっており、次のファームに賭けるしかなかった。
他のワーカーには、ファームを辞めてブリスベンに戻ると嘘をついた。
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