見出し画像

ぼくが #今年読んだ海外コミック 2023 (その1)

 ぼくもお世話になっているアメコミビブリオバトルではここ数年、【その年のベストコミック】が年末恒例のバトルテーマになっていまして、その2023年版が本日12月16日(土)、21時からオンライン開催されます。よかったら覗いてみてください。いくらなんでもギリギリすぎる告知ですが。参加お申し込みはこちらから

 で、それに並行して、XことTwitterでは #今年読んだ海外コミックと銘打ち、みんなで今年のコミック読書をシェアしましょうよ、というキャンペーンをやっております。

 今回で3年目。我こそは当企画の言い出しっぺなんですが、去年はたくさん読んだのに書くのをサボってしまい。
 なので今年こそはきちんと、と思っているのですけれども、今度はあんまり量を読めていないという有様で、たぶんほとんどX-MEN関連になってしまいそう……

 原書/翻訳問わず、今年読んだものであればいつの作品でもokですので、Xのアカウントを持っている海外コミック読者各位、こちらもどうぞお気軽にご参加ください。他の人と同じタイトルを挙げてもらって全然大丈夫ですから、クラコアンなX-MEN読みのみなさまもぜひぜひ。同じ作品でも、読者の数だけ違う読みがあるはず。

 さて、自分の書いた #今年読んだ海外コミック にちょこちょこと追記して、以下にまとめてみます。Kindle他デジタル版にアクセスできるリンクを併載しておくので、気になる作品があったらポチってみてくださいね。


HELLFIRE GALA (2023)

 こと事件性・インパクトにおいておそらく年内にこれをまくる作品は出てこないのでは。2023年マイベストイシューのひとつです。

 楽園クラコアの祝祭ヘルファイア・ガラにニムロッドが舞い降りる! 反ミュータント組織オーキスの謀略と急襲、生き延びた僅かなX-MANは〈RESIST〉を合言葉に、最後の戦いに臨む——。現行X-MENシリーズ最終章・FALL OF X開幕編、序破急の急にもかかわらず、激変・緊迫した状況には新規読者の入口としての魅力も横溢。不可逆的変化だけがX-MENシリーズのエンジンであることをもっとも過酷な形で再確認させてしまう悪魔的一冊であります。

「X-MEN、読もう読もうとは思ってるけど、結局クラコア編も読まないまま終わっちゃいそう…」みたいな按配の人は、来年の新展開のタイミングを待つんじゃなくて逆に思いきってここから入ってきてもいいと思いますよ。

 ようこそクラコアへ! 滅んでますけどごゆっくり……。


X-MEN UNLIMITED (MARVEL UNLIMITED) #100

 MARVEL UNLIMITED / INFINITY COMICSの毎週更新シリーズより、ヘルファイアガラで犠牲となる新X-MEN、メンバーそれぞれの悲劇前夜にスポットをあてたアークの一本です。

〝箇条書き〟でダウンロードされたこの数年のミュータントをめぐる激変に困惑し、復活を受け入れられずにいるジェフリーのため、プロディジーは島中を巡り、クラコアに暮らすミュータントたちの小さな記憶や想いを集める。セレブロには記録されないぐらいささやかで、しかしここに生きる人々の息吹に満ちた挿話の数々は、新たな住人を優しく迎え入れる——。

『要約からはこぼれ落ちてしまうような部分にこそ生は息づく』という、物語の本筋に大きく関係しない細かいエピソード群の中にフェイバリットを見つけがちな我々コミック読者も救われる話。特にクラコア期X-MENの全誌買いをしてきた身としては我が意を得たりといいますか、物語が多岐に広がるユニバース制コミック、もっともっというならば読むことそのものの醍醐味にも触れるような名編だとすら思いました。皮肉なもので、ヒーローコミックの修羅な面をつきつめた〈FALL OF X〉のタイインエピソードという位置付けにもあるわけですが……

(このシリーズ、実を言うとまあまあ積んでしまってるんですけど、FALL OF X以降重要度が激増していて、いよいよ見て見ぬふりができなくなってる…)


IMMORTAL X-MEN ♯9&10

 上述の2作と順番が前後しますけど、こちらは年頭のX-MEN系列イベント〈SINS OF SINISTER〉の序章にあたるエピソード。厳密には9号は去年読んだやつですが前後編につき併載。ミスター・シニスターの限りなきチャレンジ魂が、ついにクワイエット・カウンシルの中核を撃ち抜く! 読後「イヤァァーーッ!」と悲鳴が出ちゃう、戦慄のSoSプレリュードです。

 上の方では気安く「X-MEN、〈FALL OF X〉から読み始めてもええんやで!」なんて書いておりますが、もしあなたが「うるせえおれは現行X-MENをいきなり〈SINS OF SINISTER〉から読むんだそこをどけ」という英国SF的奇想・ブラックユーモア大好きな武闘派だった場合、それについてはこの身を投げ出してでも食い止めたい。
 ほんの2冊分だけでいいので、すぐに引き返してください。SINS OF SINISTERの前に、このエピソードから読みましょう。何故って、あなたの蛮勇が求めるのはこういうコミックのはずですから。


LEGION OF X / SINS OF SINISTER

 積読癖が災いして、新年度早々にLEGION OF XとSINS OF SINISTERを立て続けに一気読みする羽目になり、まあその節は脳がゆわんゆわんとしたものですが、でも今年いちばん楽しいアメコミ読書ではありました!

 LoXとSoSの詳しい感想については、以前👇こちらに書きました。

(無駄に自作した〈UNREAD X-MEN〉のロゴに注目されたい)

 SINS OF SINISTERのほうは、全話収録のTPBにリンク貼っておきます。3つのミニシリーズで構成されるイベントですが、実質1本の長編になっているのでTPBで一気に読んじゃいましょう!(前述のIMMORTAL X-MEN #9&10も必読ですよ)


LOVE UNLIMITED ♯43-48
"A Romancing of Gwendlyn Poole"

 MARVEL UNLIMITEDのロマンスコミックシリーズより、全6話のストーリーアーク「恋に恋するグウェンプール」を。前半はロマンスコミックに憧れるグウェンプールが巻き起こすスラップスティック。じつにグウェンらしい、メタをふんだんに盛り込んだラブコメディ——が、徐々に彼女のアセクシュアル/アロマンティックの自覚へスライドしていく見事な構成! 自らエースのアイコンと宣言できるグウェンに救われる人はきっと多いはずで、これからの展開にも期待しています(オンゴーイングシリーズをもたせてこそでは?)。

 脚本はわが偏愛の〈UNSTOPPABLE WASP〉、そして〈FUTURE FOUNDATION〉〈MARVEL ACTION: CHILLERS〉などでもお馴染みジェレミー・ウィットリー。

 いやー、ねえ。みなさん。見ました?

 うちのイチオシ作家の手腕! 見ました?!

 本作はフューチャーファウンデーション誌の後日談でもあり、また、アセクシュアリティを描く準備はワスプ誌の頃から進めていたはずなので、Web連載で多くのコミック読者に作品が届いたのは、氏のファンとしてめちゃくちゃ嬉しいです。嬉しいんだけれども、それはそれとしてプリント版もちゃんと出すべきだとも思う。贔屓目とか抜きで、ちゃんとフィジカルでアーカイヴしておくべき、コミック史上の重要な一作だと、そう思っています。

(上記リンクはLOVE UNLIMITED #43。以降#48までつづきます)

 MARVELはジェレミー・ウィットリーをもっともっと起用すべし、ということは何度でも言い続けたい。ここは騙されたと思ってさ、もう一回チャンピオンズを書いてもらってくださいよ(ウィットリーはモンスターズアンリーシュドのときにチャンピオンズを一本書いています)。あとクラコアにも呼ぶべきだったと思うんですよねえ(X-MENも、同じくモンスターズアンリーシュドの際に一作担当しています。主演はローラ・キニー&ガンビット!)。


WASP (2023)

 アル・ユーイングが昨年からひそかに進行中のアントマン&ワスプサーガの第2部にして、ジャネット最初の事件/ナディア出生秘話/ハンク・ピムオリジン TALES TO ASTONISH ♯44、六十年越しの続編です。あの件や例のアイツとの決着がつくので、ウィットリーのアンストッパブル・ワスプ誌読者も必読です。

 第1部 ANT-MAN(2022)、第3部 AVENGERS INC. (2023, 刊行中)もあわせてどうぞ。

 刊行中のAVENGERS INC誌、その縦軸を追うのなら絶対にナディアを出してよねと思う一方、出されたら出されたでなんか起きそうで怖い。なんというかその……入れ違いに……というか、父in/娘out……というか、そういうパターンはくれぐれもよしてくださいね@ユーイング


 書き留めておきたいコミック、もうちょっとあるので、年内にポツポツとポストしていきます。#今年読んだ海外コミック、みなさんもぜひ!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?