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COP26を見ていると、科学・技術研究の継続こそが重要だという気になります。

こんな記事を書いたくらいにはCOP26に注目しています。

でも日本では、なんだかニュースが少ない気がします。岸田総理が弾丸出張ですぐに日本に帰ってきて、第101代総理になって組閣したりしたからでしょうか。

その点で言うと、今回はイギリスでの開催ということもあり、BBCの記事が読み応えがあります。

米中は共同宣言で、気候変動への国際的な取り組みを決めた2015年の「パリ協定」で設定した、気温上昇を摂氏1.5度に抑えるという目標を達成するため、両国が「共に取り組むという確固たるコミットメントを思い起こす」としている。

この「共同宣言」も誰に向けて、なんのために出されたのか意味不な宣言でした。目標を達成するために取り組むことを共同宣言するって、どんだけ言い訳がましいのかと言う気がしますが、そんなことないんでしょうか?

いろいろな声明が出ますが、今回の目玉の一つは、メタン削減に踏み込んだことだと思います。二酸化炭素よりも温室効果が高いことは昔から知られていましたし、削減しやすいとも考えられていたからです。一般的な犯人である二酸化炭素の裏でほくそ笑んでいるボスキャラという感じがします。

「グローバル・メタン・プレッジ」では、2030年までにメタンの排出量を2020年と比べて30%削減する目標が掲げられた。
メタンは温室効果ガスの中でも特に強力で、人間の活動による温暖化の原因の3割を占めるとされている。

しかし、これに中国は参加していません。永久凍土が溶けて自然にメタンが排出されているロシアや、牛のゲップからの排出量も多いインドも参加していません。本当に削減できるんでしょうか。

排出されるメタンの40%は、湿地帯などの自然環境から発生している。しかし、畜産業や穀物生産からごみ処理といった人間の活動による排出が大半を占める。

メタンは二酸化炭素以上に温暖化に影響しているのに、排出削減の方法が単に燃焼を抑えれば良いというものでもないからでしょう。

しかし、これ以外に見るべきものがないのも事実です。

池田信夫先生が指摘されるように、何にも決まんなかったし、大きな目標は反対のしようもないけど、やり方は勝手にさせてもらうと言う大国のエゴしか見えてきません。

 COP26では石炭火力を2040年代までに廃止するという共同声明に46カ国が署名し、2040年までに新車販売をすべてゼロエミッション車にするという共同声明に20カ国が署名したが、どちらも法的拘束力はなく、日本は参加しなかった。これは正解である。脱炭素バブルは、この会議で終わるからだ。

車とエネルギー分野ばかり先行しているように見えますが、それは、この分野が人間生活の全てに関わってくるからでしょうか。

でも、地道に削減するには科学の力がまだまだ必要なのに、マーケティング重視の偏った支援策が大きな目標の達成を阻むかもしれません。

 世界の石油開発投資の不足は米国のシェールオイルの大増産で原油価格が暴落した2015年頃から始まっていた。これにコロナ禍が重なり、昨年の投資額は3500億ドルと15年ぶりの低水準にまで落ち込んだ。5年以上続いた投資不足の状況は現在も変わらないどころか、「緑の圧力」でさらに悪化している有様だ。

石油にしろ石炭にしろ、現実にはまだまだ使わないと社会は動かないわけで、そのなかで二酸化炭素排出量を少なくするには、まだまだやれることはあるのに、石油業界にお金が行き渡らないと、古い仕組みをリプレースできず、二酸化炭素排出量が減らないまま時間ばかりが過ぎるわけです。本来あるべき姿は、新しい排出削減方法を取り入れた最新技術に積極的にシフトして、今の排出量を下げつつ、その先のゼロカーボンに備えて、産業全体を転換させていくという、複線型のイノベーションであるはずです。

ところが、未来の夢を語る先行投資に注目と資金が集まる陰で、既存の仕組みは何も変わらないまま、原油価格が上がり続けるという悪夢が起きているわけです。

Rivianが何を達成できるのかは、まだ証明されていない。投資家、顧客、業界関係者はすぐにそれを知ることになる。しかし、同社の将来計画は確かに野心的であり、消費者向けの最初の2つのモデル(ピックアップトラック「R1T」とSUV「R1S」)や、2024年までに10万台の電動商用配送バンを生産するというAmazon(アマゾン)との提携をはるかに超えるものだ。

こうした「期待感」がお金を集めている一方で、石油生産や原子力発電や石炭発電の技術的革新は見過ごされています。

しかし、石油や石炭を今すぐやめられるわけではないとすれば、そこでの技術革新が、直近の二酸化炭素排出量やメタン排出量の引き下げに重要であるということは、すぐにわかるはずです。ところが、そこに投資する人たちはあまりにも少ない。人気がないからです。

そんな状況で本当にメタン排出削減や、二酸化炭素濃度排出量の削減が達成できるのでしょうか。

さらに日本では、原子力発電には誰も新技術を投じようとせず、大学での研究も下火になっていますが、原子力技術の研究者がいなくなれば、廃炉にした原子力発電所の制御そのものを誰が担うのでしょうか。

科学研究と技術開発は、人気や気分に左右されずに継続されなければ、やはり人類に未来はないのです。投資家のマーケティングに左右されるわけにはいかないのです。

その意味では、資本主義に任せていたのでは地球環境問題は解決しないのではないか、SDGsは大衆のアヘンなのではないか、という気にもなります。一方で、では誰が技術開発をして、社会にイノベーションを起こすのかといえば、やはり企業と大学を中心とした研究者であり、それを産業にする力がある人たちでしょう。人間の行動原理から言って、脱成長ではなく、やはり成長がモチベーションになるのではないでしょうか。

COP26の報道から見えてくるのは、現在と未来の戦いであり、まだまだ成長したい人たちとすでにある程度成長したから成長を止めても困らない人たちの対立でした。成長か脱成長か、コミュニズムか資本主義か、そういう対立ではないのかもしれません。まだ考えている途中なのですが、何れにしても「科学を止めるな」という気だけはしています。


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