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「たたき上げ」はパンケーキより人事がお好き

この記事の続きになります。

菅さんの特徴は「たたき上げ」であることにあり、それは、ひょっとすると、安倍政権よりも怖いかも知れない、というようなことを書きました。

それが端的に現れるのが人事に関する官邸の動きで、官房長官時代の側近をそっくり官邸に持ってきたことで、より強化されるだろう、という趣旨でした。

その辺りを指摘したツイートがあったので挙げておきます。

これは、パンケーキ記者懇談会の話をさしているようです。

時事通信の首相動静によると、菅氏は、東京・神宮前のレストラン「Eggs'n Things原宿店」で約1時間半にわたって、番記者と食事を取りながら懇談した。メディアの報道などでは、数十人が参加してオフレコで行われたという。10月10日にも、2回目の懇談会が開かれる予定で、内閣記者会の全員が参加できるようにした異例の形だそうだ。

そのパンケーキ代金は誰が払うのか、というのも気になるんですが、場所は松田公太さんのお店というのもなんとも芳しいいい匂いがしそうです。

エッグスンシングスという店の背景を説明した記事はこれくらいだったでしょうか。

いろんな声があるでしょうが、私が疑問なのは、パンケーキ食べながらじゃないと話せないことってなんでしょう?てのと、今更、オフレコ懇談会ですか、ってことでしょうかね。

参加するも地獄、せぬも地獄という感じもしますし、菅総理による踏み絵という感じもしないでありません。

懇談会に出ても取り込まれない、という気概あるジャーナリストばかりならば良いのですが、美味しいパンケーキならぬ話を食べさせられて、後で膨らし粉だらけだったなどということにならないといいのですが。

などという戯言がすぐに浮かぶようなシチュエーションを、なぜ官邸は公にしたのか、ということも考えないといけませんよね。

実際、菅総理への取材経験のある記者によれば、議員だけでなく、記者に対する電話やメールへの反応が早くてマメで、“サシ懇”(記者との1対1の懇談会)も分け隔てなくやるので、皆が“自分は特別だ”と思ってしまうのだという。

これを、記者に対する人事(対応の是非)の布石だと考えるのは考えすぎでしょうか。

菅さんというのは、人事を握ることが自分を優位にすることを知っている人だということは、冒頭の記事の中でも書きました。

それを、内田先生は「マウンティング好き」と称したわけです。

敵と味方、優位と劣位、その基準が自分のなかに存在し、それに絶対の自信を持っているのが「たたき上げ」の強みだと思います。そこを見過たず、感覚を研ぎ澄まして人と当たるのが世過ぎ身過ぎというものだからです。

政治エリートは、自分が中心にいることに違和感を持ちません。父親の関係で人に対して優位に立つことを小さい頃から覚えているから、劣位になっていることに気がついていないことすらあるでしょう。その点は鷹揚です。

しかし、プライドが高いので、ちょっとでもいい負けたり、貶められたりするのは嫌いです。安倍さんの答弁を見ていれば分かりますよね。

でも、たたき上げは、人間関係を一つ一つ覆しながら、相手との距離や優劣を明確に積み重ねて上がっていきます。そのための情報合戦もソツがありません。いわゆる脇が甘いと、そこを突かれるからです。もし突かれたとして、それを知らぬ存ぜぬで逃げ切るのは、相当な鈍感さが必要だと思います。本当に知らないのかも知れないと相手に思わせるくらい、自分の身に覚えがないなら、実際には起こったことでも逃げ切れるかも知れませんからね。たたき上げは、そこでシラを切れない。でも、エリートはシラを切れます。本当に誰かがやったことで、本人は知らないからです。勝手に世の中が、自分のために動いてくれても、それになんの違和感も持たないのがエリートというものです。

話がそれました。

菅さんは、今、自分の感覚(人の見方とか判断力とか)に自信を持っていることでしょう。その感覚が彼を総理にしたわけですから。

それが今後、どういう影響を生むのかをよく見ていく必要があると思います。

それにしても、人生における問題は、全て人間関係であると言い切った、アドラーの凄さよなあ。

なぜ、人は「人事」が好きか、なぜ、菅さんは「人事にこだわるのか」。

それは、人は、人と人の間にある関係に左右されるからでしょう。

その極端な例が、人事なのです。

順位付だったり、評価だったり、左遷だったり、日本人がそういったことが好きなのは、「半沢直樹」の視聴率を見れば分かります。

そういったことを踏まえた上で、だから、たたき上げは怖いのです。




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