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100万分の1になり損なったなあという話

noteを読んでいたら、この記事が飛び込んできた。

さとなおさんについては、今更説明しませんが、この方と私の間には、いつも誰か一人挟まったくらいの距離感で、ところが全然会えない、という関係です。

さとなおさんが電通のクリエイターだった頃に、電通の子会社である電通テックなどから仕事を受けていた製作会社にいたり、ジバランという覆面レストランガイドに友人が参加していたり、「明日の広告」という本を出された頃にプランニングをやっていたり、パソコン通信時代からネットを見ていてSNSも初期参加していたりするので、きっとこの方が100分の1を達成した世界のそのほかの99人の側にいるんだろうなという感じなのです。

私も、広く浅い世界の中で、なんとか、100人に一人の人物のなりたいと活動していました。そして、SNSをやっていて、科学政策をウオッチしていて、編集の仕事をしているという中で、100人に一人が2回くらい掛け算になるかなというような時期に、水野俊哉さんという方のブログで取り上げられたこともありました。

この中のお得情報ゾーンに「若だんなの新宿通信」という私が当時書いていたブログ名が載っています。

この頃は、出版社の社長さんからツイッターが直で来たり、全国の同好の士を集めた会の運営に関わって、時間に融通がきく私が出展申し込みをしてサイエンスアゴラにブースを出したり、科学系ブロガー的な感じになっていました。

その後、科学プロジェクトのマネージャーに転職して、科学研究の中の人になって、そこでも民間の非研究者出身で広告の世界がわかる科学研究のアピールをする人になるという、100分の1の掛け算を目指しました。

2つ目のプロジェクトに転身することができたのは、そういう100分の1を目指したおかげなのですが、そこで心身を壊し、頓挫してしまいました。

本来ならば、広告がわかって、編集ができて、SNSもそこそこで、科学がわかる人、でキャラ立ちするはずだったんですが、どうも、そのいずれものシーンでも、努力が足らず、結局、自己崩壊した挙句、静かな暮らしをしております。

そういう意味で、チャンスはあったけれど、前髪を掴めなかった。こういうのを「かみひとえの差」とか言うんでしょうか(違う)。僕の方が髪はあるのに(さらに違う)

もちろん、さとなおさんは、100分の1の掛け算で100万分の1なのではなく、端から100万分の1の人だと思いますが、その努力というか全力での姿勢が、彼が捕まえに行ったあらゆるジャンルで100分の1を超える能力を身につけさせ、その能力の獲得過程で勝ち取ったさらなる能力が、関連分野での高いスタートを促し、100分の1になりやすくさせているのだと思います。

つまり、圧倒的に成長速度の速いおっさんなのです。

巨人の肩に乗って、次の世界を眺めて、100分の1を掴み、その掛け算をなし得ることができる人は、やすやすと1万分の1になり、100万分の1になっていくけども、100分の1の次の100分の1を一から登りに行く人は、100分の1どころか、10分の1までもたどり着かないかもしれない。

だって、歳をとると努力しようにも億劫だし、何か身に付けようとしても時間がかかるし、一からやり方を学ぶにはすれっからしだし、言い訳ばかりだし。そうやって、幸運の女神の前髪を掴み損なって、禿げた後ろ頭を見つつ、自分の頭を撫ぜているしかない。

だから、若いうちから(少なくとも35歳までには始めたい)努力の仕方を覚えて、正しい努力をした方が良いと思います。それには、闇雲な努力ではなく、周到な準備をすることです。どの分野で100分の1になるか、それに何を掛け算すると、自分が形作られた気になれるか。外から見た自分を客観的に評価して、感覚的な好き嫌いではなく、論理的に得意不得意や上手下手を選択の基準にすること。

そうして、自分がその分野で100分の1になれているかどうかの判断をきちんとすること。大抵甘く見て、えらい目に合うんです。そこまでの力がないのに、もう十分だと思いがちなのです。そこがシビアかどうか、つまり謙虚でいられるかどうかも分かれ目です。私は多分そこで失敗しました。

書いていてなんだか自己嫌悪に陥る話でありますが、そうして私は100万分の1どころか、100分の1にもなり損なったんだなあ、と思い返す次第です。

サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。