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PSYCHO-PASSで出てくる本を読む

こんにちは、ヒラタです。久々に本紹介やります。

サイコパスというアニメ


皆さんはPSYCHO-PASSを見たことがありますか?2012年に始まったTVアニメで、迫力あるアニメーションとは裏腹に非常に深いテーマを扱うことで絶大な人気を誇る作品です。

近未来の日本。「シビュラシステム」によって国民全員の精神状態が常に監視・数値化され、それに応じた職業やライフスタイルが与えられる世界。治安維持のため、犯罪係数が一定の水準を超えた潜在犯は公安局によって捕らえられて社会から隔離される。システムを守る者、壊す者。正義とは何か。


この作品は槙島と狡噛、2人の対決を中心に動いていきます。

えええ


実は2人共かなりの愛書家で、セリフの節々に哲学書・文学作品の引用が入ります。これがどうしようもなくカッコいい。カッケエよ槇島。

自分はすっかりPSYCHO-PASSにハマってしまい、作中で引用された作品を片っ端から読み漁りました。書いてある内容が難しすぎたり、絶版されてて手に入らなかったやつもありましたが、なるたけ読みました。今回はその中から3冊紹介します。


1.さらば映画よ(角川文庫)寺山修司


5話でタリスマンを操ってた男、御堂に槇島がオススメしていた本です。

これは小説ではなく戯曲、つまり演劇の台本。普通に生きてたらまず手に取らないジャンルですが、槇島が推してたのできっと面白い本だぞと思い手に取りました。

たんたんめん


いざ本を開くとこれが意外と読みやすい。そもそもが実際の演劇で使われたセリフなので、純文学みたいな回りくどい言い回しではなくて、文章がすらすら頭に入ってきます。


内容自体も結構シュールで、あの槇島がこれ読んでんのか・・・という感覚です。本自体は短編集の形式で、「さらば映画よ」の他にも幾つかの傑作が収められています。


2.アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(ハヤカワ文庫)フィリップ・K・ディック


15話で槙島がチェ・グソンにオススメしていた本です。「ブレードランナー」の名前で映画化もされました。

実は、PSYCHO-PASSの脚本もフィリップ・K・ディックの描く世界には少なくない影響を受けています。マイノリティ・リポートとか。

まきしま


本の内容の方はつまらなくはないですが、やや硬めの文体なので、SF慣れしていないとあまり楽しめないかもです。

近未来のサン・フランシスコ。賞金稼ぎのリックは火星から逃亡してきた「アンドロイド」を殺すよう命じられる。しかし、アンドロイドは人間にそっくりの外見をしており、すっかり社会に溶け込んでいる。どうすれば彼らを見分けることができるのだろうか…。


ちなみにライトノベル「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」、通称青ブタのタイトルはこの作品リスペクトです。

画像4

(推しラノベ)


3.大衆の反逆(ちくま文庫)オルテガ


16話で、厚生省ノナタワーの上で槙島と狡噛の2人が対峙したときに引用されました。

槙島「正義は議論の種になるが、力は非常にはっきりしている。そのため人は正義に力を与えることができなかった」
狡噛「悪いな。俺は、誰かがパスカルを引用したら用心すべきだと、かなり前に学んでいる。」
槙島「そうくると思ってたよ。オルテガだな。もしも君がパスカルを引用したら、やっぱり僕も同じ言葉を返しただろう。」





かっけえ、読もう。

かなり難しい本でしたが、「誰かがパスカルを引用したら用心すべきだ」の一節を見つけるために頑張って読みました。しかし、最後の頁まで読んでもその文が出てくることはありませんでした、、、悲しいですね。


どうやら現在売られてる本と初版とでは、内容が少し違っているらしいです。狡噛は初版を読んでいたのか...

それでもなかなか興味深い内容でした。

どれだけ優秀な人間が奮闘しても、民主主義の日本では平均的一般大衆の意見や考え方が優先される。では、大衆は敵か。いや、真なる敵は大衆的な人間の方である。凡庸な者が自分が凡庸であることの権利を要求する社会、そして自ら責任を負うことを避け、諸権利の主張ばかりする大衆的人間だ。

1930年代刊行の著作ですが、今の日本を痛烈に批判しているような内容でした。読解には相当の時間と労力が割かれますが、それに見合う価値のある一冊です。


おわりに


PSYCHO-PASSは読書嫌いの自分が本を読むきっかけにもなったアニメです。

アニメ本編ではスルーしがちな引用シーンですが、まとめサイト等で振り返ってみると新たな本との出逢いがあるかもしれません。



それでは良い読書ライフを。


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