半導体の何がすごい
こんにちは、ヒラタです。今回はデバイスの話をします。
はじめに
近年、半導体が業界で不足してるというニュースをよく聞きます。そのせいで家電やスマホの生産が滞っているとか。
現代の生産技術において、半導体がそんなに重宝されるのはどうしてなんでしょうか。半導体の凄さを調べてみましょう。
半導体 is 何
金属のような導体は電気を良く通し、ゴムのような絶縁体は電気をほぼ通さない。半導体はその中間の電気伝導性をもつ、的な説明がされがちです。
しかし、単に電気が中途半端に伝導するだけでは、こんなに重宝されないでしょう。実際、技術面で重要とされる半導体は純粋な状態のものではなく、適度に不純物の混じったものです。不純物の力を借りることで、半導体は独自の物性を獲得し、材料としての真価を発揮するわけです。
正孔多め=p型、電子多め=n型
半導体(+不純物)でモノづくり
こいつで一発、何かすごいものを作ってみたいですね。
とりま脳死でp型とn型の半導体をつなげてみます。
p=オレンジ、n=青
pよりnの方が電子過剰なので、電子はn→pの方に拡散していきます。
nよりpの方が正孔過剰なので、正孔はp→nの方に拡散していきます。
結果、伝導電子が系全体で感じるポテンシャルは下図のようになります。
pn間にポテンシャルの崖が生まれる
このとき、p→n(順方向)に電圧をかけると、障壁は低くなるので電子がpn間を移動しやすくなります。一方、n→p(逆方向)に電圧をかけると、障壁は高くなるので電子がなかなか移動できません。
つまり、このpn接合系はダイオードのような整流特性を持っているわけです。(通常の物質は電圧をかける方向によらず同じ抵抗値を示す)
この系に左からn型の半導体を追加すると、物性がさらに変化します。
中央にポテンシャルの山が生まれる
この系に下図のような電圧を加えると、やはり電子の拡散が起こります。
左右の電子の濃度差はpの電圧で制御可能
このとき、p(オレンジ)に加える電圧を少し増やすだけで大量の電子を左から右へと一気に移動させることができます。つまり、小さな力で大きな対象を動かせるわけです。(蛇口のノリに近い)
このような性質を持つ回路素子をトランジスタと呼びます。
ダイオードやトランジスタは基本的な論理回路を作る上で必須です。
NOT回路、AND回路と等価な電子回路
これらの論理回路の元でパソコンや自動車、身の回りの電化製品は機能しているわけですから、ダイオードやトランジスタが現代社会において不可欠といわれるのも納得です。
半導体じゃないとダメな理由
余談ですが、上で挙げたダイオード・トランジスタ等の素子は半導体を使わなくても作れます。例えば、下図のように真空管に電極を差し込んだ素子でも代替可能です。
等価な回路素子(上:ダイオード、下:トランジスタ)
しかし、世の中の大半の企業は半導体を材料として回路素子を作成しています。これは半導体の方が集積化を図りやすいからです。
実際、半導体の加工技術の進化は目覚ましく、その集積度は1年半に2倍のペースで増加を続けています。真空管ではこうはいきません。
縦軸=ICチップ1個あたりに含まれる素子の数
おわりに
いかがだったでしょうか。この記事を通して、半導体の有用性を皆さんがイメージとして実感できたのであれば本望です。
現在、世界最先端の科学技術では、ナノスケールでの半導体加工が可能になりました。これにより、将来の電子機器はよりコンパクトに、より高性能なものに姿を変えていくでしょう。
予算があれば、の話ですが。
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