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しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる。漫才がうまくなりたいなら, 台本に書いていない「相槌」の打ち方を学べ‼️

しゃべくり漫才がうまい漫才師はみんな,「相槌」の打ち方が本当にうまいです。例えば,「横山やすし・西川きよし」「太平サブロー・シロー」「オール阪神・巨人」「おぼん・こぼん」などは,「相槌」が天才的にうまい

比較的最近のコンビでは,「キングコング」のうまさはずば抜けていますが,他にも「タカアンドトシ」「品川庄司」「タイムマシーン3号」「トレンディエンジェル」「ギャロップ」「藤崎マーケット」などなど,「相槌」がうまい漫才師はたくさんいます


相槌の種類

漫才の「相槌」には種類があって,[1]「はいはい」「え〜え〜」「そうですね」といった誰にでもできる簡単なものや,[2]「相方のセリフをほぼそのまま繰り返す」という慣れれば普通にできるもの,[3]「相方の話に説明を加えたり質問したり」という少し技術が必要なものなどがあります

台本には書いていない「相槌」に
漫才師としての力量があらわれる

オール阪神・巨人のお二人を例に挙げます。例えば,こういう漫才台本があったとします

巨人:3か月ほど前に阪神くんが入院しまして。メニエルで。ず〜と「ムニエル」言うてましたこいつ
阪神:間違うてましたんや〜

実際にこういう台本だったのかは分かりませんが,オール阪神・巨人のお二人はこのように演じておられました

巨人:3か月ほど前
阪神:え〜え〜 [1]
巨人:阪神くん
阪神:わたしがね [3]
巨人:入院しまして
阪神:入院したんでございます [2]
巨人:メニエルで
阪神:あの…「メニエル」というのはね [2]
巨人:ず〜と「ムニエル」言うてましたこいつ
阪神:間違うてましたんや〜

「え〜え〜」とか「わたしがね」などの阪神さんの細かいセリフは,普通台本には書きませんが,このセリフがあるのとないのとでは大違いです。「メニエル」(メニエール病)を「ムニエル」と言い間違えるという比較的ベタなネタでも,「相槌」を入れることによって「二人の掛け合いの雰囲気自体がおもしろい」という状態になります

漫才台本に「相槌」を書かないほうがいい理由

「『相槌』にこれほど意味があるのであれば,最初から台本に書いてくれればいいいのに」と思われるかもしれませんが,台本にはあまり書かないほうがいいと思います。「相槌」の入れ方がまったく分からない場合は,細かい「相槌」も台本に書くという方法もありますが,「相槌」の感覚がつかめたのであれば,台本には書かないほうがいいです

例えば,先ほどの阪神さんの「相槌」

巨人:入院しまして
阪神:入院したんでございます

この日は,「入院したんでございます」と言っていますが,毎回これとまったく同じことを言うわけではありません。巨人さんの「入院しまして」に対して,阪神さんも「入院しまして」とまったく同じ言い方をしてみたり,他にも「入院したんですよ」「入院です。ほんまですよ」「これほんまの話なんですけどね」などなど,その日によって言い方は変わるはずです。これが,漫才のライブ感を生みます

もっといえば,巨人さんの「入院しまして」というセリフも毎回まったく同じ言い方をするとはかぎらず,「入院したんですよ」と言う日もあるかもしれません。そうなると,それに合わせて阪神さんも「相槌」を打つことになり,これがライブ感を生み出すわけですから,台本に「相槌」を書く意味はほとんどありません。むしろそれは,「邪魔なセリフ」と言っても過言ではありません

キングコングの「相槌」を分析すると
漫才のうまさの秘訣が分かる

8/17のENGEIグランドスラムのトップバッターで登場したキングコングの漫才は,とにかくうまかった!特に入りの掛け合いが。こんなかんじです

西野:普段は劇場でやらせていただいて
梶原:そうなんですよね [1]
西野:お客さんたくさんお越しいただける。これが一番うれしい
梶原:これ一番うれしいですほんとに [2]
西野:以前別の吉本の劇場ですけどね
梶原:うん [1]
西野:お客さんが二人っていうことがありましてね
梶原:これまじだったんですよ [3]
西野:ほんとだった…うん [2]
梶原:演者二人に対してね,お客さん二人ですからね
西野:二対二ですから [3]
梶原:二対二っちゅのがあったんですよ [2]
西野:でもまだ漫才師はいいですよね
梶原:うん [1]
西野:相方の顔見たらごまかしがききますからね
梶原:こうやってね [3]
西野:そんとき大変やったのが,もりやすバンバンビガロ
梶原:そう![1]
西野:っていうピン芸人ね
梶原:あの…大道芸を得意とする芸人がいるんですよ
西野:そうそうそうそう [1]
梶原:知ってますかねぇ
西野:彼のネタの中でお客さんを二人ステージに上げて
梶原:二人ですよ?[3]
西野:くす玉を割る
梶原:そうそうそう [1]
西野:っていうのがあるんですけど
梶原:割るんですよ [2]
西野:そんなときも二人上げてしまって見る人が
西野・梶原:いなかった
梶原:って,地獄でしたねほんまに

注目できるのは,[1][2][3]の3種類の「相槌」をバランスよく使っていることと,片方ではなく二人とも「相槌」を打っていること。キングコングの場合は,「話の進行役が入れ替わる」という高度な技術がある(といっても,キングコングのお二人の場合は「天性の才能」がかなりありそうですが…)のでこれができるので,キングコングの真似をしてもうまくいかないかもしれません

それでも,キングコングやその他のうまいしゃべくり漫才をたくさんみて,「いろいろな相槌の打ち方」を学び,自分たちならどうやるかを考えることによって,漫才がうまくなっていくと思います

どうしても「相槌」の感覚が
つかめない方のための漫才台本

どうしても「相槌」の感覚がつかめない場合は,通常なら台本には書かない相槌が細かく書き込まれている「読むだけでうまくなる漫才台本」が役立つと思います。ただし,これはあくまでも相槌の感覚を身につけるためのものです

「相槌」というのは,自然と入れらるようにならないかぎり,うまい漫才にはなりません。「読むだけでうまくなる漫才台本」を台本通り完璧に演じても結局「不自然」になってしまうので,まずはこの台本で相槌の感覚を身につけ,それから自分なりの「自然な相槌」を打てるようになる必要があります

読む漫才台本読むだけで漫才がうまくなる

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