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漫才論| ¹¹⁶「笑いの審査」は"操作"できる❓

できます

これは,「賄賂」とか「圧力」といった犯罪や権力の乱用による"操作"の話ではなく,「笑いの『好み』を利用すれば,簡単に審査の結果を操作できる」という話です

観客を利用して操作する方法

どんな観客を入れるかによって,「笑い」の大会はまったく違ったものになります。特定のコンビを優勝させたいのであれば,密かにそのコンビのファンを観客としてたくさん入れることができれば優勝する確率をかなり上げることができます

今年のM-1であれば,正統派漫才好きの人や普段は全然漫才をみない人や高い年齢層の人ばかりを観客として入れたら全体的に結構スベると思いますし,コアな漫才ファンだけを入れたら大盛り上がりの大会になるはずです

審査員を利用して操作する方法

審査員の「人選」によっても,「笑い」の大会は操作することが可能です。審査員は普通「できるかぎり『公平な審査』をしよう」と努力しますが,それでも,最終的に鍵を握っているのはその人の「好み」です。「好み」によって何を「おもしろい」と感じるのか自体が変わってくるので,当然それが審査にも影響してきます。それこそ「賄賂」や「圧力」でもないかぎり,自分が「おもしろくない」と感じたコンビに高い点数をつける審査員はいないと思います

ですから,「正統派漫才」を高く評価しがちな審査員を増やせば,正統派漫才師が優勝する確率を上げることができますし,「新しい漫才」を高く評価しがちな審査員を増やせば,新しい漫才をするコンビが優勝する確率を上げることができます

ある程度は"操作"する必要がある

観客に「笑わない人」があまりにも多いとものすごく重たい空気で激スベりの大会になってしまいますし,「笑いすぎる人」が多いと視聴者はシラけてしまうので,両極端にならないようにある程度"操作"する必要があります

また,視聴率があまりにも低いと大会の存続自体が危うくなりますから,大会ができるだけ盛り上がるよう"操作"する必要もあります。審査員の人選もそうですし,大会の運営やルールなどもそうです。例えば,大会を盛り上げるためだと思いますが,「トップバッターが明らかに不利な審査方法」を採用し続けています

ほかにも,「テレビ的事情」「吉本的事情」などがどれほど反映されているのかは分かりません。いい意味での"操作"だけでなく,悪い意味での"操作"もあるのかもしれませんが,どちらにしても「厳正な審査」をするのは不可能なので,度がすぎる"操作"でないなら許容できるのではないかと思います

「ファッションの流行は『作られたものだ』」とよく言われます。「笑い」の流行も"操作"され「作られている」という側面もあるのかもしれませんが,結局何が残るのかは,ファッションの流行を見れば分かるような気がします

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