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漫才論| ¹¹¹今年のM-1グランプリは"M-1バブル"⁉️いつか弾ける日がくるの❓

今年のM-1準決勝でのウケ方やファイナリストの選考,そして,その後のSNSでの盛り上がりを"M-1バブル"と呼んでいる方もいます。つまり,遅かれ早かれ"弾ける"という意味です

私はこの今年の盛り上がりを「"内輪ウケ"の可能性もある」という視点でこちらの記事に書きましたが,"バブル"という可能性もあるのでしょうか?


"M-1バブル"って何?

この言葉の「定義」が存在しているわけではないと思いますが,イメージで言うとこんなかんじだと思います

コアな漫才ファンの間でだけ通用する"内輪ウケ"的な漫才をする漫才師が何組かファイナリストに選ばれることにより,「"そういう笑い"こそがつうな笑いだ。これが分からないのは素人だ」というような空気が広がるが,いざ蓋を開けてみると,コアな漫才ファン以外の多くの人は"そういう笑い"をおもしろいと思わずめちゃくちゃスベり,それによって決勝前の盛り上がりが一気に冷めてしまう

これがおそらく"M-1バブル"が弾けた状態です

今は本当に"M-1バブル"なの?

これは本当に「蓋を開ける」,つまり,M-1決勝をやってみないと,どっちに転ぶか分かりません。ただ,「"バブル"かもしれない」と思わせる違和感のようなものはあります

私が極度の正統派漫才好きだからかもしれませんが,去年のM-1にはかなり「物足りなさ」を感じました。そして,今年のM-1にも,今のところ同様の「物足りなさ」を感じています。私の「正統派漫才好き」の度合いが異常な可能性もあるので,そこそこ偏った意見であることは認めますが,それにしても,ここ数年のM-1についての感想を述べる芸人やお笑い関係者の多くが,「全組おもしろかった」と言うことに違和感を覚えます

立場上,本音を言えないだけかもしれませんが,「あの漫才は好きではない」と言えない雰囲気があるとすれば,それも"バブル"的なかんじがします。特定の芸人を批判するのはよくないですが,「好きではない」という自分の好みくらいは自由に言える環境のほうが健全だと思います

また,本当に「全組おもしろかった」と感じている関係者が多いとすれば,それも"バブル"的なかんじがします。お笑い関係者とそうではない大多数の人との間に,乖離かいりが生じている可能性があるからです。これと関係があるかは分かりませんが,「最近のM-1決勝での最低点が高くなっている」という点も気になります(「最低点」の一覧はこちらから)

"バブル"が弾ける前と後

バブル経済も,弾ける前と後ではいろいろ変わりました。人の「感覚」も変わりました。それまで「価値がある」と思っていたものが,「そこまでの価値はなかった」ということに気づきました。気づく前は,それに「絶対的な価値がある」と本気で思っていた人もたくさんいました

「危うい状況だな」と思っている人もいましたが,そんな声は余裕でかき消されるほどの盛り上がりだったのだと思います。M-1においてもそうなるのかは分かりませんが,私はその可能性もあると思っています

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THE MANZAI magazine
❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」

フィクション漫才『煮豆🌱』-いとこい師匠のテンポで-
作: 藤澤俊輔  出演: おせつときょうた


あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】