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プレートから広がる安全の輪

※本記事は、藤沢市市民活動支援施設情報誌「F-wave」2023年6月号の特集記事を転載したものです。紙面全体は以下のリンクよりご覧いただけます。

自転車のカゴに、自分だけの「KEEP LEFT」のプレートを

4月29日、辻堂海浜公園の交通公園レクチャールームにてKEEP LEFT PROJECT(キープレフトプロジェクト)によるワークショップが行われました。

「KEEP LEFT(左側通行の意)」と書かれた台紙に子どもたち一人一人が絵を描き、色を塗りラミネートし、自分だけのプレートを作ります。そうしてできたプレートを自分の自転車のカゴにつけ、藤沢、茅ヶ崎のまちを走っています。

ヘルメットの着用が努力義務化されたことで、自転車の安全な乗り方について関心が高まっている今日この頃、湘南地域で交通安全の啓発に取り組む団体、KEEP LEFT PROJECTの代表 南八重さんにお話を伺いました。

自転車に楽しく乗ること=❝安全に乗ること❞を広げていく!

ワークショップは、団体のメンバーは参加する子どもたち一人一人に、「自転車で道路を走る時、右側か左側かどちら側を走るか知っていますか?」と問いかけから始まります。帰り際では「どうもありがとう。これつけて、左側を走ってね。」と送り出していました。

これは、参加者に楽しかった経験とともにKEEP LEFTの意味を知って帰ってもらうというもの、また親子で参加しているお母さん、お父さんたちの意識を高めてもらえると考えているとのことです。

交通安全教室でよく見たり聞いたりする、事故の映像や「危険だから気を付けましょう」と呼びかけて終わりではなく、あくまで楽しく自転車に乗ること=安全に乗ることを伝え、またそれを継続的に広げていく取り組みだと感じました。

こうしたワークショップは、藤沢、茅ヶ崎を中心に近年では逗子や千葉市稲毛区でも開催していますが、実はこの辻堂海浜公園から広がった活動なのです。

KEEP LEFT PROJECTではプレートをつくる、あるいは買ってつけてもらうことで、交通ルールの啓発活動を行っています。団体の立ち上げとプレートの誕生には南八重さんの体験がきかっけとなっているそうです。

あわや事故!右側を猛スピードで走る自転車と衝突しそうに…

「私が自転車に乗っている時、見通しの悪い曲がり角で、右側を猛スピードで走っていた自転車と衝突しそうになったんです。事故にはなりませんでしたが、危険な運転であることは明らかで、『自転車は左側でしょ!』と叫びました。それに対して返ってきた言葉は謝罪ではなく『うるさい!』でした。」この出来事から南八重さんは、もやもやした気持ちが拭えなかったと言います。

「言葉で伝えることの難しさを感じました。お互いに嫌な思い出にもなってしまったと思うので、誰もが気持ちよく、物事を伝える方法はないか」と考えたんです。「私にできること…それは、デザインの力!シンプル(最低限)なルール(約束)で相手を思いやることで心地よく暮らせるのではないか。デザインはコミュニケーション手段の一つなんです。」と熱く語ります。

地域の活動を地道に続けることで、活動の輪が広がっていく

こうしてできたのがKEEP LEFTプレートでした。ちなみに現在、プレートはイベントに参加して製作するか、販売協力店等で購入できます。

団体としての活動はプレートの販売から始まり、辻堂海浜公園はじめ、各所でワークショップの実施、全国で開催される自転車利用環境向上会議や地域イベントに参加するなど活動を広げています。

取材した当日、交通公園に訪れていた多くの子どもたちとその保護者の方々が、「何をやってるんですか?」と会場に次から次へと顔をみせていました。こうした地域に根付いた活動があってまたそれを続けているからこそ、県下に広がる活動となり得たのだと感じました。

これまで、ワークショップの開催回数は108回、累計2100名の方がワークショップでプレートを製作しました。販売協力店等で購入した人を含めると大勢の方がこのプレートをつけて通りを走っていることになります。

普段乗っている自転車にプレートをつけて走る、それだけで団体の活動を応援することにもなります。“安全に楽しく自転車に乗ってほしい”というメッセージが込められたKEEP LEFTプレート、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。


団体紹介

KEEP LEFT PROJECT

【設立】 2015年1月
【代表】 南八重智子  さん
【HP】     

自転車利用者が自らKEEP LEFTのプレートを付け、自転車の左側通行を心がけると共に他の自転車利用者にそれを促すことで、自転車利用環境の向上につなげる事業です。プレートを作るワークショップ、自転車交通ルールの勉強会・講習会、他、この会の目的を達成するために必要な活動を行っています。ワークショップは、地域のイベントや辻堂海浜公園の交通公園で定期的に開催中。KEEP LEFTプレートは販売協力店等で販売中です。

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