全ての人にやってほしい倍音練習。倍音の練習をやると、何ができるようになるのか？

レッスンやインスタライブでおすすめしている倍音を出す練習。

何がいいのか？出来るようになると何が変わるのか？

押さえてほしい練習のポイント、応用練習について書いていきたいと思います。

※全ての人と書いてしまいましたが、始めて間もない初心者の方にはおすすめしません。ある程度音が安定してきたら倍音練習しましょう。

倍音の練習とは、ざっくり言うと「同じ指づかいで違う音（倍音）を出す練習」。リードを押さえる場所や圧力によって出る音が変わります。

押さえる位置のイメージ図。実際はもっと狭い幅に何箇所もあります。

同じ「ド」の指づかいで、これらの音が出せます

倍音が自由に出せるようになると、どんなことができるようになるのでしょうか？

・発音がクリアになる

・発音が遅れにくくなる

・リードミスが激減する

・高音、超高音が出しやすくなる

・タンギングしやすくなる

・ピッチが安定する

・低音が出しやすくなる

・音に輪郭や芯、響きが生まれる

・「p」や「f」が出しやすくなる

・バテにくくなる

・息で音を出す意味がわかるようになる

・発音時のピッチが安定する

・開放のソ周辺の音が安定し音質が良くなる

・低音が安定する（音色、ピッチが安定する）

・レガートをかけやすくなる（特に跳躍）

・スタッカートやタンギングがクリアになる、雑音が減る

・跳躍が出しやすくなる

・指が動きやすくなる

・仕掛け本来の音が出せる　などなど

全てのテクニックの悩みが解消されると言ってもいいくらいです。

倍音をスムーズに出すには、あらゆる要素のバランスが取れていることが必要です。

・息の勢い（特に初速）

・息の太さ

・リード

・下の歯でリードを押さえるタイミング、圧力、位置

・口周り筋肉とアゴの力

・構え方、楽器の支え方、立ち方、座り方

・指の力加減

必要なことが揃うと、自動的に倍音が出るようになります。

口元で操作して無理に出すのはおすすめしません。倍音の練習は、基本的な奏法を身につけるのが目的だからです。口元で操作して出すようになると、無理に音を出すクセが付き、本来の効果を得られなくなります。

倍音練習は、この手順で練習してみてください。
楽譜は上行形のみですが、下行形もやります。

１．音を出す前に、出したい音をイメージ

２．口周りとアゴの筋肉は緩め、軽くマウスピースをくわえる（事前にアンブシュアは作らない）

３．右手の支えに軽く意識を向け、指は軽い力で使う

４．息の方向に軽く意識を向け、細くて速い息を一瞬で出す（結果的に音が出る）。息の方向は肺から上。楽器の中に通すまでは考えなくて良い。口とアゴは息の勢いに反応して自動で動く。

５．音を出し終わったら、口周りとアゴの筋肉を緩める（数秒休ませリセット）

1〜５を繰り返します。コツを掴むまでは、これらを厳密にやってみてください。まずは上管の音から。出るようになったら下管の音も練習します。

基本の吹き方でスムーズに倍音が出せるようになったら、応用です。

・リセットを挟まず連続して出す

・音の最初にタンギング

・音量を変える

・倍音を伸ばしている時にタンギング、スタッカート

・グリッサンドのように音を繋げる　など

これらがトラブルなくできるようになっている頃には、かなり自由に吹けるようになっているはずです。

ロングトーンをゆっくりやる時間がない場合は、この練習を全音域やるだけでOK。スケール練習と同じぐらい大事な練習ですので、練習メニューにぜひ加えてみてください。

クラリネット＆アレクサンダーテクニーク 藤崎クラリネット教室