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7/23スケール&エチュードグループレッスンレポート

7/23のレポートです!
今回は体調不良でお休みの方がいらっしゃったので、3名での開催でした。同じ課題も3回目。だいぶ慣れてこられたかと思います。
1回目と比べると、音の響きも増えて、エラーも少なくなり整ってきた方が多かったです。

直接的に「もっと響かせて」「間違わないで」「綺麗に吹いて」と指導されてないのに、これらが起こり始めていることが素晴らしいと思います。

スケールはアイヒラースケールの5番、アーティキュレーション(スラーとスタッカートの混合)です。

最初に最近の様子をお話しいただきましたが、スタッカートに関する共通のお悩みが沢山ありました。

教室のグループレッスンは、個人レッスンを聴講し合う形なので、自分のレッスン以外の時間も沢山のことが学べます。共通するお悩みがあるなら尚更ですね。

皆さんのお悩みには「スタッカートで息が止まってしまう」「音域によって音が汚くなってしまう」「音が不安定になってしまう」などのお悩みがありましたが、大元をたどると原因は2つだと思います。

1つ目は「やりすぎ」

スタッカートをしっかり止めようとしすぎて
息自体が止まってしまう
舌に力を入れすぎてしまう
唇が力んでしまう
息を加減しすぎてしまう

・・良かれと思ってやっていることも、やりすぎると逆効果になるのです。

やりすぎをやめるには、まずやりすぎに気づくこと。
そして基本の奏法を踏まえながら、音を頼りに微調整していくのが良いと思います。音は一瞬前の吹き方の答えを逐一出してくれています。それを参考にして微調整していきます。

小手先で形を整えようとすると基本からずれたり、思うような結果が出ないので注意したいところです。


2つ目は「頭(脳)の使い方の問題」

今回参加の方に限りませんが、エネルギーロスは演奏の邪魔をします。

エネルギーロスする脳の使い方とは
・逐一ダメ出し
・やった感を求める
・無計画で吹き、後手で修正に終始する
・不快なのに対処しない(不快を感じ続ける)
・人目を気にする妄想 など

こんな思考をしていても脳はエネルギーを消費します。酸素も消費します。ここで消費すると上達のために使うエネルギーが少なくなってしまいます。エネルギーが少ないので練習効率が悪くなり、上達が遅くなるのです。

せっかく精密で成熟した脳を与えられているんですから、脳は有効に使っていきたいものです。

こういう仕上がりにしたい(望みを出す)
→そのために必要なこと、邪魔なことを見極める(プランを立てる)
→実行(練習する)
→結果をフラットに観察する
→さらに改善、望みに近づくためのやり方を考える(プランを立てる)
→実行(練習)・・の繰り返し

このような思考で練習すると、変化が訪れます。楽器を吹くこと自体も大事なんですが、その手前の準備も同じくらい大事です。

レッスンでこのように考えて練習してもらうと、頭が疲れるという感想をいただくことが多いです。でもこうすると、結果的に時間の節約、体力の温存につながるのです。

頭が疲れるというのは、慣れないことを考えるからかもしれません。ATを使って「考える」をするとより効果的ですよ。

大人になると上達しないと感じる人は、ぜひ思考と練習を繋げてみてください。環境や体力は学生時代とは違いますが、大人はそれを補うほどの脳があります。それを使わない手はない。どんどん使って上達してほしいです。



エチュードはランスロ26のエチュードの9番です。スラーとスタッカートの混合の恩恵の課題。今回は強弱を付ける練習を中心にしました。

インスタライブで強弱を付けるための基礎的な練習方法などお伝えしましたが、レッスンではさらに細かく練習しました。

ここでも「やりすぎ」「頭の使い方」は共通の課題でしたが、私が一番顕著に変化を感じたのは、楽譜を見ないで短いフレーズを吹いてもらった時です。

楽譜を横に置いて

この課題も3回目なので、事前に楽譜から離れる練習をしてくださいとお伝えしていましたが、皆さん楽譜という「手すり」から離れるのが恐怖なようでした。

間違ったらどうしよう、強弱できなかったらどうしよう、忘れて止まったらどうしよう・・8小節ぐらいのフレーズでも恐怖心が無い方はいなかったように感じました。

でも、私がこれを提案するのは、手すりを離しても大丈夫としか思えなかったからです。今回参加した方々が8小節暗譜して吹くのが怖い!というのは

いつも階段を駆け上がってるのに、人前では手すりに捕まってないと怖い
毎日自転車に乗ってるけど、何が起こるかわからないから補助輪は付けておく

ぐらい不自然なことに見えました。

実際短いフレーズで楽譜を見ないで吹いていただくと、全員に変化が起こりました。楽譜にしがみついていた時より

・音の響きが増えた(手すりを離しただけなのに)
・音色が変わった(輪郭がくっきり輝くように)
・表現の幅が広がった(強弱がより自然にダイナミックに)
・音楽に動きが生まれた(自然に拍子に乗れている)

これは何を表しているかというと、いかに何かにしがみつくことが可能性を狭め、できることを減らしているかということです。

吹く前に特訓したわけでもなく、響きグッズを付けたわけでもなく、リードを変えたわけでもなく、表現豊かなソリストの動画を見たわけでもなく・・

何かやったとしたら、身体を動けるモードにして、ちょっと勇気を出して手すりから離れただけです。

楽器をやっていると、色々な経験ができますが、その中には「間違ったら怒られる」「目立ったら目をつけられる」「こう吹きたい!は無かったことに」「周りに合わせないと大変なことが起きる」「他人の評価を気にする」「自分はダメだと思い込む」もあるのではと思います。

これらがそもそも持っているものを無い物にして、持っていることに気付かなくせしまいます。何も持ってないなら補おうと他に求めますよね。

もっと沢山練習すれば・・もっといい環境なら・・あのグッズを使えば・・有名な人のレッスンを受ければ・・楽団で経験を積めば・・となります。楽しんでいる範囲ならいいですが、キャパオーバーで逆効果、必要ないスランプに陥ってしまうかもしれません。

「自分は何も持ってない」という視点を一旦横に置いて
「持っていないというのは、思い込みかもしれない」「今の自分のままでも結構行けるのかもしれない」に気づいてもらえるようにレッスンは意図しています。

楽器のあれこれでズタボロになった自尊心を、自己信頼を、今回のような体験で少しずつ取り戻していけると、自分や周りに優しく心豊かに演奏を楽しめるのではないかと思います。

そこからが本当のスタートだと思っています!
その先は、心や身体が知らないことを知る楽しみを味わい続けていくだけ。すると世界は勝手に広がっていくのではと思います。

グループレッスン 8月は満席
大阪個人レッスン 残り枠3
個人レッスン(千葉)は随時募集中です。

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