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北千住千洋インタビュー「だからわかってくれる人がいるってことはすごくありがたいなって思ってます。」

北千住千洋さんはABYSSというアイドルグループに所属して、今ソロでもアイドルVTuberとしても活動している女の子です。誰とも被らない圧倒的なルックスや、SNSの投稿全部見ても全貌が掴めないようなミステリアスな雰囲気。そこに最初どことなく感じていたクールな印象に対して、動画や配信を見ると変に気負った感じなく自然体でゲームや雑談を楽しんでるところが可愛くて、笑ってくれるとこちらの方がうれしくなって「写真やSNSから入って、動いて喋ってるところを実際見てもっと好きになる」その感じが確かに紛れもなくアイドルでした。
今回そんな千洋さんにVTuberをはじめたきっかけからそのスタイルやファンの方への思いまで、幅広くお話を聞かせていただきました。

ツーショット用

(写真撮影・デザイン 北千住千洋)


所属アイドルグループABYSSについて

藤林檎 まず千洋さんが所属しているアイドルグループのABYSSについて聞きたいなって思うんですけど。

千洋 ABYSSに関してはHPにまとめたことを読むと大体わかるかな~という感じですね。

千洋は今このインタビューを読んでるようなみんなとは別の世界でアイドルをやっていて。ある時みんながこっちの世界をどうやら「バーチャル」と呼んでいるらしいと知ったことをきっかけに「VTuber」って名乗ってみんなとの交流をはじめたんですけど、自分では普通にただのアイドルだと思っています。元々こっちではABYSSっていう3人のユニットで活動してるんですけど、自分だけちょっと活動の幅を広げて行こうかなっていうところで、千洋が最初にVTuberをはじめました。まあ他の子達は結果的にVTuberにはならなかったんですけど、今後もし各々の気が向くタイミングが合えば一緒にやれる時もあるかもしれないです。

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VTuberやVRChatを始めたきっかけ

藤林檎 千洋さんがVTuberを始めたきっかけについてもう少し詳しく教えてください。

千洋 Vtuber黎明期っていつなんだろう、VTuberがお祭りのように盛り上がってる時期に千洋は「これってボーカロイドが盛り上がった時と同じだ!VTuber、すごい面白そうだな、やるなら今だな」みたいな感じで初めて。久しぶりにインターネットで二次創作じゃなくてオリジナルが流行るの見た!と思って。

藤林檎 具体的にVTuberの誰かをきっかけにというより、VTuberというフォーマットだったりその盛り上がりだったりを面白そうだと思ったのがきっかけってことですよね。

千洋 ボーカロイドレベルのウェーブって10年に一度ぐらいにしかたぶんないし、あれがもう一回来たら乗るしかないじゃないですか。しかも今回は曲が作れなくても乗れる。

藤林檎 確かに「曲作れなくても乗れる」はほんとに大きい。

千洋 VRChat(ソーシャルVRアプリ)はじめたのもそんな感じですね。「黎明期のSNSというかインターネットがあそこにあるぞ」って言って。最初の頃のVRChatまじで治安悪くて。あれを見に行くためにはじめました。笑

藤林檎 千洋さんにはVRChatterのイメージも強いですけど、配信に乗せない時でもVRChatで遊ぶ頻度は高いですか?

千洋 むしろ一時期ほんとにただのVRChatterでした。あんまりVTuberってどうやるのかわかんなくなっちゃった時期があって。

藤林檎 VRChatでの配信とか、VRChatで撮影した写真や動画をSNSを上げることも多いですけど、VTuberやるのはVRChat布教みたいな側面もありますか?

千洋 そこは別に、VRChatは好きですけど単に利用者ってだけで。SNSにVRChatの写真上げてるのも単純に楽なんですよね。ワールドにインして知り合いとだべりながら写真撮ってるだけで良い感じの写真が撮れますし。VRChatをゆるく楽しんで、そこでの副産物をSNSにUPしたらそれがコンテンツになるぐらいの気持ちでいるのが一番続けやすいのかなって思います。

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アイドルライブをやりたい

藤林檎 歌ってみた系の動画は、MVまで力入れて作ってる感ありますよね。

千洋 やっぱり歌って踊る姿を見せられてこそアイドルだと思っていたからずっとやりたかったんですよね。こういう動画がその最初のステップだと思ってます。

藤林檎 そういえば確かにFANBOXの記事でも「アイドルライブをやってみたい」なこと書いてましたよね?

ABYSSとしてじゃなく千洋さんお一人で今VTuberとしてアイドルをやろうってことや、アイドルライブをやりたいって思うことについてはどういう理由やきっかけがありますか?

千洋 ABYSSに加入してアイドルになって、実際アイドルやってみたら面白かったからってことと、自分自身もアイドルのライブ行ったりしてて「これ自分で作れたらすごい良いよね」と思ったことをきっかけに今そこを目標にしています。一回ちゃんとライブの構想も練ったんですけど、やっぱ考えたこと全部ってできないんですよ。そこで止まってしまって。まあでも今はどんな形でもとにかく自分がやるってことに一番意味があるしって考え方に落ち着いて来てますね。VRアイドルライブを目標というかゆくゆくはやりたいなと思いながらもとりあえずその前に、アイドルライブのストリーミング配信みたいなものはやりたいかなとは思ってます。個人勢なので一歩一歩というか、ちょっとずつ進めて行きたいところですね。

藤林檎 なるほど。「VRアイドルライブ」ということは、お客さんにVRヘッドセット被って見てもらうようなライブが理想に近いってことですか?

千洋 う~ん、逆にそのために必ずしもVRヘッドセット使う形じゃなきゃダメってことでもなく、どちらかというと今はとにかく「どうやったら実現できるか」ということを考えるようにしてて。あと千洋はあくまでアイドルライブを作りたいんですよね。アイドルライブだから別にミュージシャンがやるライブのようなクールなものである必要はないと思ってて。それこそアイドルオタクのコールとか、ミュージシャンのライブでやったらダサいかもしれないけどアイドルライブだと盛り上がるじゃないですか。そういうのが好きだし、そこはしっかり区別化して行きたいところではあるんですよね。

藤林檎 ではライブハウスみたいにお客さんも演者も同じ空間にいられて、お客さんからのレスポンスがステージからも見えているというような状態が一番イメージには近いですか?

千洋 理想はそれですけど、まあすぐにそれができるとは思ってないしそもそもオンラインってラグまみれなので、今はラグのことをあまり考えなくて良い形がベストなのかなと。技術で魅せるというよりは、パッと見てコンテンツとして良いなと思えるものにしたいとは考えています。

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「メンヘラ」について

藤林檎 千洋さんの自己紹介にも書いてある「メンヘラファッションを好むファッションメンヘラ」っていうところのお話も聞きたいなと思うんですけど

千洋 この手首にリストカットの傷があるのとかは、絶対企業勢じゃこんなことしないだろっていう気持ちで傷がついてるっていうところがありますね。最近みんなからあんまり触れてもらえないけど。笑

藤林檎 私も千洋さんのその手首の傷のことはずっと気になってはいて。そういう人私は他に見たことないなってところで。

千洋 普通にこの手首の傷はメンヘラアイコンとしてのリストカットのつもりなので、ファッションメンヘラと化してます。どちらかというと自分自身はそういう子達のことを好きな側で、あとは「企業に所属していたらこんなことできないでしょ」ってところを目指した結果っていうのはあるんですけど。そういう反骨精神というか、せっかく一人でやってるんだからっていう個人勢アピール的な、自分としてはそういうイメージで考えているのもあります。

藤林檎 タトゥーを入れるようなイメージに近かったりしますか?

千洋 う~ん、まあぱっと見で「この子メンヘラなんだ」とわかるようにっていうのと、純粋に血が好きだからみたいな。笑 あとアイドルだからと言ってただキラキラした存在になりたいんじゃなくて、ボカロで必ずしも明るくポップじゃない曲が共感を呼ぶことがあるように、そういうキラキラしてない気持ちを抱えているような人にも寄り添っていける存在になりたいなっていう気持ちがそこにあったりもします。

藤林檎 「血が好き」に関してはドキドキ文芸部の実況でも言ってましたよね。

千洋 それめちゃくちゃ昔の動画じゃないですか?すごい恥ずかしい。笑 最近チャンネルの動画がお粗末すぎて全部下げたいなって。


YouTubeに上げている動画について

藤林檎 私YouTubeチャンネルに上がってる動画最初から順番に全部見てたんですけど、序盤の方だとこのドキドキ文芸部の動画が好きで。ゲーム自体も面白いし。

千洋 そうですね、このゲームははやってよかったって思いました。好きですね。でもほんとにいいなと思っても配信で出るリアクションってあんまり感動してないみたいなリアクションしか出ないから、普通にダメだなと思って。向いてない。笑 配信向いてなくてあんまり動画とか配信出来てないとこもある…。

藤林檎 声も素敵ですし、喋り続けられるじゃないですか。全然向いて無くはないと思うんですけど。

千洋 自分のフィールドだから喋れてるってだけで、アウェイだと結構黙っちゃうし、あと声はABYSSのボーカル担当っていうこともあって、ほんとは歌い手の96猫さんとかみたいな感じのイケボを出したかったんですけど…。でも無理だし何やっても可愛いって言われちゃうからもうダメだと思って、これはもう可愛い方に振るしかないんだなと。笑

藤林檎 えー私はその声めっちゃ長所だと思いますし、昔の動画で歌おうかなって言ってたみきとPの「小夜子」とかも絶対声質に合うだろうなって。

千洋 あのへんは歌いやすくて。自分の声に合ってるの探そうと思ったんですけど本当はLiSAとかが歌いたくて。笑 最初はそれこそほんとに「イケボが出ない!終わりだ!」みたいな感じでしたけど。笑 今は「自分の声あんまり」みたいなこと言うと好きって言ってくれる人にちょっと失礼だなとも思うので、まあこれでいっかなと思ってはいて。

藤林檎 あと面白いなって思ったのが、失禁体験の動画。

千洋 あの頃からVTuberって一杯居すぎたから「何か違うことをやろう」と思ったところからはじまりました。失禁体験装置を周りの人づてに知ったのをきっかけに作者の亀岡くんに連絡して、そしたら「いいですよ」って言ってもらって動画を作らせていただいたという。あの頃って「VTuberって何か色々やってみたりするらしい」っていうふんわりしたイメージで、ほんとに行き当たりばったりに…。笑

藤林檎 いやでもほんとに面白かったですよ!

千洋 あれは「やってみよう」ってなったら色んな人に協力してもらえて、結果的に思ったより大掛かりになりましたね。

藤林檎 なるほど。それからこれも好きなんですよね。ASMRの動画。

千洋 自宅にASMRの機材はあるんですけど、この動画以降全然使えてなくて。

藤林檎 え、絶対やった方が!ファンの人も待ってるような気がするんですけど。

千洋 自分でも結構色んなASMR聞いてるんですけど。どれもクオリティが高すぎるんですよ。ちょっと自分ではこのレベルのもの作れないからやっても意味ないなというか。笑

藤林檎 え~ほんとに。ご本人的にはそんな感じなんですね。

千洋 台本も無難にリスナーに喜んでもらえそうなものを持ってきたものの「いや違うでしょ」って思っちゃって。

藤林檎 なんかその本来のキャラと違う感じのこと言ってるところにちょっと含みがあって逆にイイなと思って。

千洋 まあ棒読みだし、「絶対思ってないやろ」目線で見てもらうぐらいがいいんじゃないでしょうか。笑

藤林檎 千洋さんが出演されてるMinuet_DollさんのMVもすごいですよね。

千洋 Minuet_Dollさんにこの姿を仕立ててもらって、MVに出演させていただくことになったんですよね。すごい完成度なのでぜひこれは見て欲しいです。

藤林檎 ロケ地もすごく豪華ですよね。千洋さんのお部屋もあって。あれは…?

千洋 あれはMinuetさんに作っていただいて。「お部屋作りました!」って言われて「ええ、嘘でしょ!?」みたいな。笑

藤林檎 めちゃくちゃ可愛いお部屋ですよね。千洋さん仕様で。

千洋 千洋は特に何もしてないんですけど、打ち合わせとかもせずほんとにMinuetさんのイメージで作っていただいて。このMVの時にMinuetさんが出演者全員分のお部屋を作られてますね。世界観汲む力とそれを実際に作る技術力とがすごいです。

藤林檎 すのう・あにぅさんとのコラボのVket配信も好きですよ。

千洋 すのうちゃんはすごい話しやすいしマジでいい子です。

藤林檎 千洋さんとすのうさん、全然タイプ違う二人がVKetを仲良さそうに回ってる感じがすごいよかったです。

千洋 良い意味で全然タイプが違いますよね。あとその配信で、千洋が目を離した隙にワールドに開いてる大きな穴にすのうちゃんが落ちて行ってて、その時そこに落ちたんだろうな~ってことが叫び声聞いただけでわかるぐらいすのうちゃんのリアクションがよかった。笑

藤林檎 口数もテンションもブースの楽しみ方も二人が全然違うからその対比がほんとに見てて楽しかったです。それからお絵描き配信も見てて。

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いつも絵もデザインも上手で可愛いですけど、完全に独学ですか?

千洋 そうですね。最近はちょっと真面目にお絵描き講座とかも見てるんですけど。真面目に描いたらちゃんと良い感じの絵になることも分かって。それまでは絵を描きたいと思って描いてたんじゃなくて、「うわ~~~!!!」って言って描きたいものを描きたいってモチベだけで描いてたものが、最近真面目に絵と向き合うようになった。笑

3絵(背景あり)



ファッションやスタイルについて

藤林檎 今日のお洋服も可愛いですよね。

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千洋 これはVRChat向けにBOOTHで販売されてるものを大体組み合わせて使ってます。着替えるのが結構好きなので。これは自分で「こういう服にしよう」ってデザイン画が最初にあって、でVRChat用のアクセサリーを作ってる人がいて、「こういうアクセサリー作ってください」って、アクセサリーのデザインのイメージをざっくり描いて依頼したんです。

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それで出来たのがnullの足音っていうところとのコラボアクセサリーで、今BOOTHでも売ってるんですけど。

一緒に作ったものを販売に回してもらっているというかんじです。

藤林檎 女児スタイルも可愛いです。

千洋 あれもすごいウケが良くてびっくりしたんですけど、でもツインテールのVTuberって一杯いるからそんなにこの格好で出るつもりはなかった…。笑 でもみんななんかアレが良いって言うから…、いや自分でも好きなんですけど、なんか普通のVTuberじゃないですか。

藤林檎 いや、全然普通にはいないとは思いますけど。笑 あのスタイルも自分でデザイン画から描いてってかんじですか?

千洋 あれはほぼ既製品で。ゆめかわっぽい服がBOOTHで売ってたのを見て、これ着たいなって思って。あと何合わせようってなって、他のアイテムもBOOTHで見つけたのを組み合わせて改変して、みたいな。まあそのへんは他のVRChatterと同じことをしてるんですけど、VTuberで着替えてる人は珍しいっていうところで。

藤林檎 活動開始の最初から一貫してずっとおしゃれですよね。

千洋 いや~おしゃれわかんない。笑 ほんとに好きな服を好きなように着ているだけなので…。

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VRoidについて

千洋 なんか逆にVRoid界隈の話聞きたくなってきちゃったんですけど、「VRoidを使ってることに負い目がある」みたいな話をされてたじゃないですか。なんでなのかなと。

藤林檎 私が実際に体験したのは、バーチャルキャストでオープンワールドに出た時、インした瞬間に「あVRoidじゃん」みたいな声が聞こえたりとか、あとはテクスチャをあんまり改変しないで、VRoidらしさを残したままのアバターのことをちょっと揶揄するような言葉がツイッターでたまに散見されたり、逆に改変しっかりしてる人に対して「VRoidに見えないね」みたいな言葉が誉め言葉として使われるようなところがちょっとあったり、そういうところでなんか「ワンオフアバターを使っている人より楽をしている、技術が足りてない」そういう漠然とした負い目みたいなものをちょっと感じてしまっているところが私にはありますね、正直なところ。

千洋 明確なコミュニティに属してなくてもVRoidを使っているというところでふんわりコミュニティに属せるところがいいなとか、千洋自身はVRoidに対してどちらかというとそういうイメージがあったんですけど。てかそれに関して言えば「あいつVRoidだぜ」みたいな言い方してくる人の方がおかしくないですか?だから?って感じじゃないですか。笑

藤林檎 私もそう思うんですけど、でもちょいちょい聞くんですよね、「VRoidだから馬鹿にされた」みたいな。実際はそういうこと言う人はすごく少数派かもしれないんですけど。

千洋 VRoidのここは不便とかは確かにありますけど、使うこと自体は選択肢のひとつじゃないですかね。VRoidStudio自体も絵を描く人に親しみやすい作りになってるっていうか、そういう人の力がフルに出せるって点で素晴らしいと思ってるので。

藤林檎 そう言ってもらえると安心します。

千洋 千洋自身VRoidのお洋服も着てますし。

グッズを作るのにも使わせていただいてます。



好きなVTuberについて

藤林檎 好きだったり尊敬してたりするVTuberの方ってどなたかいらっしゃいますか?

千洋 世界観とか活動方針含め名取さなちゃんが好きですね。名取さなちゃんって個人勢ですごいがんばってるじゃないですか。リスナーとの距離感を大事にしてて、親しみやすいみたいな感じではあるんですけど、決定的に自分のいる世界とリスナーのいる世界とは何か壁があって別の世界にいるんだよって雰囲気を大事にしてるんですよ。

藤林檎 そういうタイプなんですね。

千洋 そうですね。あと、それだけじゃなくて例えばさなちゃんの動画を見ているとその中で「今のさなちゃんの姿は本当は患者が夢見てる理想のナース姿なんじゃないか」って考察もできたりするんですよね。そういう風に自分の背後にストーリーを持ってる人のことがすごく好きで。

藤林檎 あとのらきゃっとさんのお名前も配信とかでたまに出てきますよね。

千洋 のらきゃっとちゃんは世界観が完成された美少女でほんとにすごいなと思います。ちょっと千洋が目指すところとは違うんですけど、ただのらきゃっとちゃんはみんなで作っていくコンテンツって側面があってそこは自分の目指す活動にも近いし、それ以外にも尊敬しているところがたくさんあります。

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これからどうなりたいか

藤林檎 私は千洋さんのツイッターもインスタもYouTubeも今のスタイルのまま、そこに何万人もフォロワーがいるようなところがイメージできるんですけど、千洋さん自身にはそういう野望はありますか?

千洋 フォロワーが増えすぎるとちょっと迂闊なこと言っただけで炎上とか、そういう世界になってくる訳じゃないですか。それがやりたくないのであんまり変な方向にはバズりたくないなと思ってますかね。それよりは地道に自分の味方を増やしていくようなイメージで、最終的には千洋のことを好きって思ってくれるような人達に気づいてもらえるぐらいの規模感にはなりたいかなと。

藤林檎 インターネットでカリスマ的存在になりたいとか、そういう野望とかも特にないですか?

千洋 カリスマ的なすごい人をたまたま好きになることはあるかもしれないけど、でもその時その人を好きになる理由は決して「すごい人だから」ではないはずじゃないですか。だから千洋はすごい人になることを目指すよりも、「この人ちょっと雑だしアラがあるけど、なんか好きだな。」って思ってもらえる方になりたいんですよね。例えば絵が上手い人って「神絵師」とか言われたりするけど、近寄りがたい存在になっちゃってそれで結果的にフォロワーの数はすごく多いのに誰とも交流してないみたいな人もいるじゃないですか。

藤林檎 なんとなくわかります。

千洋 そういう存在になりたいとはあんまり思わないので、近寄りがたいよりは、VTuberとして活動することでその壁がなくなったらいいかな。それこそイラストレーターのしぐれういさんとか、Vの活動初めてからの方が親しみやすいというか、イラストレーターだけど配信のノリはなんか気さくというか、ああいう距離感がいいのかなって思いますね。

藤林檎 例えばインスタやツイッターで女の子達のインフルエンサーになるとか、そういう方向性はどうですか?

千洋 いや~特にインスタはほんとにあんまりよくわかってないんですよね。

インスタは純粋に自分が好きな女の子達の自撮りを見るためにはじめて。あんまりツイッターだと上げてくれない子とかいるじゃないですか。それで好きな子を見るためにはじめたのであんまり自分が投稿しようとは思ってなかったんですけど、今は画像を加工するのに便利だなと思って使ってますね。写真を時系列順に残しておけるところもいいなと思っていて。そういうノリで写真上げたりはしてるんですけど、でも正直これでいいのかわかってないです。笑

藤林檎 では女の子のインフルエンサーになりたいとか特にそういう感じでもないんですね。

千洋 自分で自分を敢えてそういう形に確立させようとしてしまうと活動が制限される気がしていて。万人受けしないようなこともやりたいので、そういうことが自由にできる環境には居続けたいです。

藤林檎 なるほど。

千洋 ただ基本的には見る人が決めちゃって良いとは思ってますね。それぞれに好きなところがあっていいし、違う捉え方をしてていいんじゃないかなと。それは「配信は別に見に来ないけど見た目が好きだから画像を見るためにSNSはフォローしてる」とかでもいいだろうし、逆に「声が好きだから配信は見に来るけどあんまりツイッターはチェックできてない」とか、そういうのも全然アリだと思ってて。

藤林檎 ではもし千洋さんをインフルエンサーとして慕う女の子がいたらそれはそれで全然アリって感じではありますか?

千洋 それは千洋がインフルエンサーである世界が一個新しく生まれるに等しいというか、自分が作った世界を他の人が広げてくれることの一つだと思っているので。他の人の解釈が存在するってことに対して前向きなんですよね。全然そこは自分勝手で良いというか、あまりにダメだったらそれはこちらが採用しないだけなんで、そこは見てる人も一緒に作って行って欲しいって結構思ってます。千洋もアイドルと名乗ってはいますけど、実際は千洋のことををアイドルだと思って応援してくれる人がいてくれて初めて本当の意味でアイドルになれるんじゃないかと思っていて。それと同じようなことなのかなと思います。

藤林檎 なんかことネットやSNS上の活動って、すぐフォロワーや再生数をどう伸ばすかとか、収入や案件をどうやって増やすかとかそういう方向に行きがちな気がするので、千洋さんのここまでのお話聞いてると姿勢がひたすら創造的で素晴らしいなと思います。

千洋 たぶんただフォロワーの数だけが多くても意味がなくて。作ったコンテンツがどれぐらいたくさんの人の目に留まるかっていうことは、フォロワーの数じゃなくてそこにいる一人一人の熱量に依存するものだと思ってるし。だからやっぱりこちらも見てくれる人を数字じゃなくて、それぞれを一人の人間だと思っていくのがいいのかなっていうか。「この人は千洋のことを好きって言ってくれるけど、どの部分を好きって言ってくれてるんだろう」とか、そういうことの方が大事なのかなって思います。

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「だからわかってくれる人がいるってことはすごくありがたいなって思ってます。」


藤林檎 特に配信していたりYouTubeに動画上げていたりする人に対しては、それを見てないとファンと名乗っちゃいけないんじゃないかみたいな気持ちが私自身にも結構あるんですけど。ツイッターとかインスタとかだけを見て本当にファンと名乗っていいんだろうかみたいな。でも千洋さんの場合は「ツイッターやインスタはよく見てるけど、YouTubeはあんまり見たことがない」みたいな人のこともファンのスタイルとしてはOKって感じですか?

千洋 単に「この人は千洋のこういうところが好きなんだな」ってところがわかればそれで良いと思ってるというか、ただできれば「こういうところが好きです」って教えてくれた方がうれしいなあとは思いますよね。でも千洋自身そういうことを直接伝えるの得意じゃないから言えない人の気持ちもよくわかるし、なのでそこは無理せずROM専ならROM専でも全然良いんですけど。

藤林檎 あとはそれこそ配信のテーマによってはちょっとファンの人を振るい落とすような感じのものもあるじゃないですか。

千洋 まあでもYouTubeだからっていうのはありますけどね。わざわざリンク踏んだりチャンネル登録したりした上で見に来てくれる人は相当ですから。

藤林檎 なるほどそのワンクッション挟んでそれでも見に来てくれる人達への信頼みたいなものもそこにあるんですね。そしてそういうちょっとファンを振るい落とすようなテーマの配信もありつつ、「いろいろ変わったよ!な報告とか感謝」動画だと素直にファンの方に謝辞を述べられるような場面もあって

千洋 いや~ああいうのやってこなかったんですよ、今まで。

藤林檎 それまでの他の動画や配信にああいう謝辞を述べられてる場面そういえばあんまり見たことなかったかもってすごい新鮮でした。

千洋 そういえばやってない!と思って。笑 全然配信も、コメントは読んでるけど下手くそで全然リスナーの名前とか呼べてないし、そもそも読めない名前の人もいるから。笑

藤林檎 ファンとの距離感を近めに設定したくないとか、慣れ合いぽくなりたくないとかの理由で敢えてリスナーの名前呼ばないみたいな配信者の人もいると思いますけど、千洋さんの場合はそうじゃないよってことなんですね。

千洋 ほんと配信慣れしてないだけなんですよね…。あんまり見てる人が喜ぶようなことが出来ない!まあでも見に来る人は好きで見に来てるんだからいっかぐらいのノリで。笑

藤林檎 ではご自身がやりたいことやるってことが最優先ではありつつ、千洋さんなりにファンの方を大事には思っていらっしゃるっていう感じですか?

千洋 自分が作るもの「こういうのが良いな」って自分で思って出す訳じゃないですか。自分が作ったものを「良い」って言ってもらえると、やっぱり「この人は分かってるな」って思うし、うれしいじゃないですか。そういう共通の趣味を持つ人を集めるみたいな気持ちでやってるんですよね。だからわかってくれる人がいるってことはすごいありがたいなって思ってます。

藤林檎 ああでもそれを聞いて逆に安心したというか、私自身もなんか私が千洋さんのこと好きって言ってもいいのかな話しかけてもいいのかなみたいな気持ちがずっとあったので…。

千洋 「言っていいのかな」ってなるのは、好きって言ってくれてる人達と千洋がどんなやり取りをしてるかみんなあんまり知らないからなのかなと思うので、最近はちょっと晒しじゃないですけどリプじゃなくて引用とかで「ありがとう」って返すようにしてて。そういう風にすることで「こういう風に話しかけて良いんだ」って思ってもらおうとはしてますね。

藤林檎 そういう工夫もあったんですね、なるほど。

千洋 自分も大概コミュ障だから、結構ツイッターで人に話しかけるのが下手くそで。

藤林檎 でもそういう風に言ってもらえたら、千洋さんのこと気になってこれ読んでくれてる人達もすごい安心するんじゃないかと思いますね。「好きって言ってもいいんだ」みたいな。

千洋 そんな近寄りがたいのかな…。笑 交流したいなとは思うんですけど、でもそれには向こうが先にこっちを知るっていうステップと、話しかけるっていう二段階があるから、やっぱりなかなか難しいのかなってちょっと思いますけど。

藤林檎 でも今これで話しかけられるのが嫌なわけじゃないってことが読んだ人にも伝わったと思うので、だいぶハードル下がったと思いますよ。

千洋 どうなんでしょう、これなんかあんまりアイドル然とした記事にならなさそうな…笑

藤林檎 私も毎回お話してる時はどんな記事になるかあんまりイメージできてないんですけど、毎回記事になったのを読むと「すごく良い記事だな」って思うので、今回もきっと良い記事に仕上がるような気がしてます。

千洋 自分が思ってることをまとめてもらう機会ってなかなかないので楽しみです。

藤林檎 あと何か「これは書いておいて」みたいなことはありますか?

千洋 着替えたりグッズ作るのとか好きなのでそっちも見て欲しいですかね。というか実はYouTube配信とか動画はそんなに活動のメインではなかったりするので。あとは基本この見た目から入ってもらって、そこから好きかどうか判断してもらうのが早いのかなっていう。色々語ったところで、結局は「顔が良いから顔を見て」っていう感じです!笑

9締め

(記事内写真提供:北千住千洋)

北千住千洋


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次回のゲストはPARAISOさんです!!

公開インタビュー生配信「〇〇とふじりんご」次回10/17(土) 15:00~のゲストはミスiD2021にエントリー中の音楽ユニット、PARAISOさんです!

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次回もお楽しみに!