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MANABIYA Report vol.04【山角みどりさん】

2017.6.16(金)19:00~21:00/00.Work Shop space & Office

『みんなでつくろう~TEAMクラプトンという家~』
 TEAMクラプトン 山角みどりさん

1.ポールの思いを形に-仕事ではなく遊びの延長-

①ポールと出会い、始まるプロジェクト
平日の忙しさと週末の過ごし方のギャップに不満を感じていた日々。
元町の雑居ビルに英会話教室、バー、シェアハウスなどさまざまな夢を実現しようとしているポールと出会う。
ポールの夢は大きいが一人では出来ない、半年ほどのコミュニケーションを経て自分達のスキルを使ってみんなでprojectを実施。
費用は材料費とごはんとたまにビール!

②楽しみたいから人があつまる
ポールは日本語が出来ない外国人、製作のプロセスを伝えるのではなくプロセスを見せる→まず、バーを作ってみた。
みんなでコンクリートを練り混ぜバーカウンターを作成。ポール大いに喜ぶ!
勢いに乗り付近にあるものを使いながら、セルフリノベを実施。
屋上でそうめん流しやBBQをやるとみんな楽しい。

みんな楽しみたいから人が集まり、みんなで作る。
みんなでやるのに気をつけたこと。
道具を使ったことが無い人でも作れるデザインを考える。

③楽しみがコミュニティをつくる
元町のビルの屋上で作業をしていると、隣人が声をかけてくれる。
そのつながりから、資材を提供してくれる。
楽しみが広がり、大学生、留学生、社会人などさまざまな人が集まりおいしいビールを飲む。

【消費的な週末から生産的な週末へ】
消費することに楽しみを見いだせないなか、作ることに楽しみを見つけ、生産的な活動の広がりにより仲間が集まり、食べるといった日常の行為が楽しくなる。

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2.楽しいからひろがる「みんなでつくろう」-出来上がりが楽しみではなく、出来るまでが楽しい

①こどもとつくる-DEUTSCHESCHULEKOBEボルタリングの壁-
敷地が狭い中で元気な子どもが遊べる場所づくり。
体育の授業でフェンスを使って高学年の子ども達とボルタリングのレイアウトを考える。
低学年の子ども達は壁に自分たちと同じ大きさの人の絵を貼り付けて参加。学校のアートの先生による提案が効果的だった。
工夫次第で子どもでも参加でき、子ども達が愛着を示す。

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②居住者とつくる-J&FPLZAシェアハウスのコモンスペースをつくる-
入居したくなるシェアハウスづくりとしてコモンスペースの充実を提案。
提案内容では大幅な予算オーバーのためみんなのベンチを作ることに。
材料集め・・・大阪南港で木材の横積み用枕木の厘木を偶然発見。安価で手に入れることができた。
人集め・・・山角さんがシェアハウスに潜入し、声かけをし仲間を集めた。
寝る間を惜しんで3日で作成、しかし参加者から楽しかったとの声が殺到し追加の予算が下りた。
別予算で作ったテーブルも思い入れを持ち、率先して維持管理をしている。
参加者の気持ちが変化、今までは作れないと思っていた家具も作れるのでは?と感じている。

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③オーナーと仲間でつくる-caffeandteaisajia-
子育てが落ち着いて自分の趣味としてラテを入れたい。
ラテを入れさせてくれるお店が無いので自分でお店を持ちたい。
「クラプトンたのむわ!」と声をかけられる。
毎週末のワークショップで友達が集まり作業が進んでいく。
近くのあじさい園でピークが終わったあじさいをもらい、脱色したあじさいをオーナーと仲間がひたすら天井につるしていく。
年配の方は楽しく会話しながらも、作業の手は緩めない。

<オーナーさんからの感想>
みんなでお店をつくるのが楽しい、作業をともにすることで友達同士がつながり現場が終わって欲しくない。

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④イベント用の什器をつかい続ける-EATLOCALKOBE-
さまざまな什器をイベント出店者自身がメンテナンスをしてくれる。
-愛媛県今治市屋外イベント-
各チームがイベントに向けて自分たちで準備し日の入りの乾杯を合図にみんなで楽しむ。

3.Do It Together -クラプトンらしさ-

いろんな人と一緒につくり、完成した物件をみて
みんなで拍手をしあう、称え合う、ねぎらう
その拍手を聞いてまた人があつまってくる

自分が出来ないことを「やってもらう」ためにお金を使う
たくさんあれば全部やってもらえる
でも、お金がなくても夢は叶えることが出来る。自分でやってみること

DIY精神
一人(DoItYourself)で出来ないこともある
だから、みんなでやろう(DoItTogether)!

①何が好きか、何をやっているときが楽しいのかを知っている
②TEAMである。
つらくてもみんながいれば楽しく出来る。
異なる人達が集まるといろんなまなざしでものごとを見ることが出来る。
③常にワクワクしたいという気持ちがなくならない。試したい気持ちが止まらない、常にクラプトンらしさを追い求める、期待に応えたい
④リミットを決めない。やったことがないことでも、出来るかどうか考える。でも、自分を大きく見せない。
⑤心地よい環境をつくる。服装、食事などパフォーマンスを上げる環境を自分や周りが作れる環境。
⑥誰にでも輝ける舞台がある。優劣はない、感謝しあう、ほめあう。
当たり前のことを当たり前のように出来るチーム。
自分たちが当たり前と思い、クライアントと共有できるような契約書をつくった。

TEAMクラプトンとは?
DITという手法でものづくりの場をマネジメントできるチーム
社会の課題を解決しないと!→自分を追い詰める
○○しているのが楽しい!→多様な人びとが活躍することで社会の選択肢が増え、その選択肢の一つが社会の課題を解決するかもしれないと考える。

未来のクラプトン
①物作り×教育
みんなでつくるに参加することによって人が変わっていく様子を感じ、そのプロセスを整理し子供達に世の中の多様性を伝えていき
たい。
②女性と社会
女性を女性として扱う、女性として扱わないその心地よい加減がTEAM内にはある。この関係性を社会全体としてどう形にするか?
③東南アジアに進出
近い将来、東南アジアは現在日本が抱えている問題にぶつかる可能性が高い。その時、クラプトンが礎を築いていれば日本との架け橋になると同時に、自分達の技術が生かされる。

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4.感想・意見交換

●感想
・自分が参加しているグループに積極性が欲しいと感じていた。今回の内容はとても参考になった。
・自分いま抱えている課題(建物の再建)にぴったりの話だった。これからのクラプトンに期待します。
・クラブトンのワクワクに触れられてとても楽しかった。あっという間の時間だった。

●意見交換
①TEAMのこと
・チームリーダーの必要性
誰かが偉い、一番上というものはいらない。ただ、何かを動かす時にリーダーシップを発揮する人は必要である。リーダーでなくてもリーダーのパフォーマンスを上げるよう環境を整える人、場を盛り上げる人、誰もが社会に対し何かを与えることが出来ればそれでよいと思う。
・クラプトンらしい契約書をつくろうと思ったきっかけ
会社相手に仕事をする必要が出来たときに契約書を作ろうと思った。しかし、既存の契約書は自分達を守る内容ばかりで、クライアントと対等関係で仕事をするクラプトンらしくない。クラプトンらしい契約書を自分達で作ることにした。

②「みんなでやる」こと
・人を巻き込む力、コツ、苦労したこと
特に苦労したと思うことはない。自分が楽しみたい、みんなと共有したい思いが強く、それが人を巻き込む原動力になっている。
みんなと作っていくプロセスが楽しい。3日間で5時間しか寝てない時もあるが、竣工パーティーの幸せな空間に浸ったとき、またやりたい!辞められないと思う。
・プロジェクトを断ったことはあるか
クラプトンから断ったことはない。これまでのお客さんは紹介つながりなのでクラプトンを知って仕事を頼んでくれる。
お金だけ払って、作業所に顔を出さない、何もしないお客さんは引き受けない。
・ボランティアとビジネス、自由度や不自由になったことは
専業になったことで時間が増えたので自由度は上がっている。
以前は自分達が楽しむことを考えていたが、現在はお客さんの楽しみを考えている。以前のようなエネルギッシュなときに戻りたいときもある。

③DIYのこと
・材料調達の方法
解体現場に行っても一見さんではなかなかもらえない。解体業者の人達と仲良くなり声をかけてもらうようになるのが大切。
ただ、大手の場合は資材管理の面で難しい。

5.振り返って

子供のように遊びから始まり、社会との関わることで成長していったクラプトン。僕にはとてもまぶしく伸びやかな4人でした。それは自分らしさを持って大人と関わり、そこで流されずに成長していったからだと思います。だからこそ、社会に愛される存在になりその存在に引きつけられる人達がさらに集まってくるのだと思います。クラプトンの成長自身が『みんなでつくる』であり、巻き込み巻き込まれながら成長しているのが今、そしてその成長のプロセスを可視化しているからみんなが応援したくなるのかなと思います。

子供から若者になったクラプトン。もうすぐ親になります。みんなに愛され、育てられたクラプトンはどんな親となり子供を育てるのか?
いまから楽しみです。また、僕がまぶしくてうらやましくなる5人が見られると思います。

そして、最年長であり唯一女性の山角さん。その存在はクラプトンの中のお母さん的役割なんだろうなと思います。それは質疑応答の時の優しく暖かなそのまなざしから感じました。クラプトンに女性である山角さんがいる
ことはとても素敵でTEAMの多様性を表していると思います。
まさに、拍手喝采のTEAMでした。

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6.参加者からのラブレター

加古川市議会議員 井上 やすこ さん

vol.04 井上 恭子 R②

TEAMクラプトン。羨ましいぐらい、周囲には「ひと」「空間」「資源」が偶然にも揃っていました。

何かを始めたくても、つい躊躇して前に進まない。そんな経験をみなさんはされたことありませんか。TEAMクラプトンはその躊躇を楽しいに変えていました。

わたしは今Usedの物を集めてイベントを計画しています。そこですごく共感したのが、資源を使って必要なものを生み出しているところです。

枕木の厘木でベンチづくり。材木が汚れないように枕になる木を格安で譲ってもらいコモンスペースに寝る間を惜しんで仕立てたおしゃれなベンチ。枕木として置かれていた木が座って談話したり、疲れたときに腰掛けできるお役立ちアイテムとして今は存在しています。資源から新しいものとして、命が吹き込まれた瞬間、とびきりのご褒美を仲間と共有できた場面をみどりさんのお話を聞いて想像できました。

これを仕事として活動しているTEAMクラプトンですが、役割分担が気持ちいいほどにできていました。物づくりの時に性能もすごく大事ですが、デザインを考える人も備わっている。本当に最初に戻りますが、羨ましいぐらい円滑に回っている活動でした。

当時山角みどりさんは妊婦さんでした。そのお子さんも今は3歳ぐらいだと思いますが、お母さんになった彼女の今の活動も気になるところです。
また、聞きたいな。

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