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読書感想「近代家族のゆくえ」

読んだ本「近代家族のゆくえ・・・家族と愛情のパラドックス・・・」
書いた人「山田昌弘」
出版社「新曜社」

家族とは、愛情とは?
近代の家族の価値観が形成された過程と近代家族が持つ特徴から、その危うさを論じた本

『家族』と言われると、父・母・子がイメージされる。その時、その子には『幸せ』な場所というワードが自然と想定される。

愛情とは?
家族愛・恋愛・母性愛

そういった愛情を否定するわけではないが、世の中が『そうあるべき』というイデオロギーを持っているからこそ、その『愛情』を表現できていなかったり、持っていなかったりすると、『ダメな人間』というレッテルを貼られる危険性がある。

なぜそうなったか?
産業革命以前、富は一部の人に限られ、その人たちは子供の養育は家政婦や乳母を擁し、恋愛においては愛人や男性愛など自由に生きていた。また、そうでない人たちは、村などの生産の単位で生活しており、『家族』という概念が希薄だった。
しかし、産業革命により富が分散する過程の中で、一部のブルジョアが生まれ、彼らは住環境のよい都市近郊に居を構え、職住が分散するようになった。その時、家を守るのが女性となり、妻子を近郊で養える財力を持つ人弾性のみが幸せな家庭をつくれる人となった。
社会全体が『男性が収入を上げ、女性が家を守る』という価値観をよしとするようになった。そして、女性の持つ情緒的な特徴が相まみえ、女性は『愛情』を持つ生き物として、夫を支え、子供を養うことが美徳となった。

そして、富が広がるとその価値観はさらに広がり、中流家庭においても『男性が収入を上げ、女性が家を守る』という家族形態が浸透していった。また、社会も『家族』を最小単位として、婚姻を基本とした社会システムを作っていった。しかし、『家族』とは『愛情』という感情を基本として成り立っており、人間が持つ感情の起伏や揺らぎにイデオロギーを突き付けることはとても危うい状態である。

家族とは?
愛情とは?
幸せとは?

「記号」としての愛情 ではなく
「コミュニケーション」としての愛情 で家族に接する

家族=幸せ から一歩引いて『家族』を見つめなおす一冊だと思う。

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個人的な感想ですが、現在の皇太后の美智子さまがご自身で天皇陛下さまたちを養育されたのも日本の『家族』という価値観を浸透させるのにとても大きな要因になったのではないかと思う。当時はそれが新しい家族の形として提示出来てよかったのかもしれないが、今の世の中では『新しい家族』として価値観の更新が必要であり、日本国内で一番浸透しやすいのは天皇家の動向ではないかと思う。
『新しい家族』とは何か?漠然としてよくわからないが、女性宮家や女系天皇が新しい家族の形を提示できるのではないかと思う。
天皇家だけに期待する話ではなく、僕たち自身も『家族』とは?一緒に歩むパートナーとして考えていく必要があると思う。


とりあえず、嫁さんともっと話さないとなー

最後にグラレコ的にまとめたので、ご覧ください。

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全部で1273文字でした。(タイトル除く)

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