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自分がどこにいるかわからなくなる街

昨日は子供の付き添いで一つの通りで異なる街路樹から、利用文脈の事を書きました。

書きながら僕が土地区画整理事業の設計をしていた時のことを思い出したので、少し書いておこうと思います。
土地区画整理事業に限らず、大規模開発による住宅地って綺麗な格子状になっていますよね。あれってよくある街区設計で長辺が100m前後、短辺が30m前後ってなっています。
大きさの考え方については、明日書こうかなーと思います。

さて、よくある格子状の大規模住宅地ですが、僕はこれに利用の不満を持っていました。

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自分がどこにいるかわからなくなる街
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大規模住宅地の場合、宅地規模がだいたい同じなので街全体に特徴がありません。そんな住宅地にお客さんを呼ぼうとした場合、案内がとても大変だと思いました。
誰かを案内するには、
「大通りの3番目の角を左に曲がってから、2番目の角を右に曲がって、向かって左側の9個目の家がうちの家やねん」とか・・・・
案内する方も大変なら訪問する方も大変です。

これが商業地なら建物に特徴があったり、交差点に名前がついていたり。また、ある程度用途が混合している街ならコンビニや散髪屋さんなど説明しやすいものがあります。でも、生粋の住宅地は特徴が見えにくい。だから、大規模住宅地ってどこを歩いているのか分からなくなるんだと思います。

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交差点に特徴を持たせる
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そんな不満を持っていた僕はとある地域にこんな提案をしました。

「交差点部分をブロックで美装化している事例が良くありますが、そのブロックにさまざまな柄を加えて自分がどこにいるかわかるようにしてはどうですか?」

地域の人も美装化には賛成してくれました。でも、僕の狙いはまだ理解しきれていないようでした。
とはいうものの、急いではダメだし、ゆっくりと進めていこうと思いました。
将来的には、『自分たちで地域に関連する図柄を考えて整備する』というところまで考えていました。そうすると、地域の人たちがより自分の”まち”に愛着を持ってくれるだろうと。

そんな提案をして、サンプル的な図案を見せて徐々に地域の人たちの意識を高めようとした矢先。異動になってしまいました・・・・。

いま、その地区はどうなっているか?google mapで見てみました。
僕が最初に提案した図案がすべての交差点に配置されていました・・・・

やっぱり、設計者が途中でいなくなると設計意図がちゃんと伝わらず中途半端になりますね。しようがないです。

とは言え、こういった利用文脈を考えることは僕が日頃考えている

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つかうために作るを考える
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に通じているんだろうなーと思います。

全部で1211文字でした。(タイトル除く)

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