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一句《天に舞う ラヴェルの調べ ハロウィーン》NHKホール2022-10-31(19:00)NHK交響楽団〈指揮:パブロ・エラス・カサド〉によるNHK音楽祭へ行きました

NHKホールでの開演前にアナウンスで「・・・岡本太郎さんの作品を・・・ご覧ください・・・」というお知らせがありました。

後で調べたところ、元々NHKスタジオパークに設置されていた1974年岡本太郎さん制作の巨大レリーフ「天に舞う」がNHKホールへ移設されたので、よかったら見てください、ということです。

NHK放送センターの大規模建て替え工事の都合です。

「天に舞う」はNHKで亡くなった職員を慰霊するために、NHKが岡本太郎さんへ制作を依頼した作品です。(川崎市岡本太郎美術館の収蔵品として画像が公開されているので、リンクします)

この日はハロウィーンで、NHKホール付近も仮装した若者を多数見かけました。また、10月29日ソウル事故の影響もあると思いますが、渋谷駅周辺は警察による交通の誘導や物々しい警備でした。


コンサートについて

2曲聴きました。

1曲目はラヴェルの組曲「クープランの墓」、2曲目はマーラーの交響曲第5番嬰ハ長調です。

1曲目

組曲「クープランの墓」の演奏がよかった。

オーボエの旋律、和音進行、スピード感、お見事でした。

ラヴェルは1914年、第一次世界大戦に従軍し、自身も傷を負い友人は戦死します。そして1917年、母を失います。そんな失意の中で組曲を完成させました。

組曲の各曲は大戦で亡くなった友人へ捧げられ、後に管弦楽版へ編曲します。

「クープランの墓」の意味ですが、「クープラン」はバロック時代に活躍したフランスの大作曲家フランソワ・クープランのことで、「墓」はフランス語で「故人を追悼する器楽曲」とも訳せるそうです。つまり「クープランへの追悼」の意味もあります。

2曲目

休憩をはさんで、マーラー交響曲5番の演奏です。私の大好きな曲のひとつです。この日の演奏も楽しみにしていました。

しかし、どうしたことでしょう、まるで味覚を失って料理を食べるような感覚で、あまり、心に響かないのです。

演奏はすばらしいと思います、弦楽器だけでも60名以上、総勢約100名による演奏の迫力、技術、指揮、なんの問題もありません。

ただ、油断して何も用意せずウブな気持ちで聴いた1曲目があまりにも素敵で、虜になってしまい、2曲目に集中できませんでした。

一目惚れして恋に落ち、ほのぼのして何を聴いてもうわの空、そんな心地です。それくらい1曲目がよかった。

折しも、この日はハロウィンです。第一次世界大戦の犠牲者に捧げられた曲、クープラン追悼の曲、NHKの亡くなられた職員を慰霊するレリーフ、2日前のソウル事故へのお悔やみ、若者が仮装する渋谷、というような様々な要因が「クープランの墓」を私の胸にみる曲とさせたのかもしれません。

最後に

モーリス・ラヴェル(1875-1937)と同時代にフランスで活躍した画家にアンリ・マティス(1869-1954)がいます。老いてからは、作品を油絵 ではなく、切り絵で制作しました。人物の描き方が岡本太郎さんと近いように思います。


読んでいただき、ありがとうございます。

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