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国際マウンテンランニング連盟への寄稿、STORY7 日本語版

この寄稿も今回を入れてあと2回。日本語で書いた原稿を英語に直そうと思うと語順がひっくり返ったり意味が通らなくなったり。頓珍漢な作文をずいぶんとしたが、コロナ禍で渡航できない状況にも関わらずこうして世界に向けて接点を持つことが出来たのは本当にありがたい。また、毎度頓珍漢な訳を根気よく見直してくれる友人には頭が下がる。

さて、今回は「マスターズ世界選手権へのチャレンジと歳を重ねて思うこと」について書いている。この原稿が公開される頃には僕はオーストリアへ向けて渡航しているはずだ。この原稿も読んでほしいが今年唯一のビッグチャレンジに向けてどうか応援もお願いします。


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STORY2

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STORY5

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寄稿記事

日本語原文

STORY7 「マスターズへの挑戦とレースへの渇望」

2018年からマスターズ世界選手権へも参戦している。陸上競技ではマスターズは35歳以上が参加できることになっている(マスターズへの参加可能年齢は競技によって異なる。水泳は25歳以上)。2018年はスロベニアで、2019年はイタリアで開催された。
マスターズ世界選手権、最初のレースは過去に何度かワールドカップで出場したことのあるスロベニア「Tek na Ratitovec」。勝手もある程度分かるし、ちょうど良い選択だと思った。10kmで1200m登るタフなコース。マスターズとはいえ、実力派揃い。僕は66位、年代で14位だった。この悔しさは翌年にぶつけることになる。南イタリアのGagliano del Capoで行われたレースは周回コースで11km±500mとかなり走れるコースだった。コース上1箇所ある急勾配を除きジェットコースターのように登り下りを繰り返す。ギャラリーの声援に支えられ、総合12位年代で7位と前年から大きく成績を上げることができた。

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2020年からスライド開催される今年のマスターズ世界選手権は2018のスロベニアのレース同様に一気上りのレースだ。ここでは我慢比べが勝負の鍵を握る。昨年はワールドカップ含め(シリーズが開催されず)1レースも出場できなかったので、無事に渡航できたならば2年分の思いを込めて走りたい。本当は家族を連れて自分の走っている姿を小さな子どもたちに見せたいと思っていたのだが、それは叶わない。けれども、レースを走ることが出来たならば今回はメダル獲得を目指して走る。

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最近思うのだが、年齢を重ねると自ずと瞬発力に頼るよりも粘りやいかに無駄なく効率よく走るかなどを心がけてクレバーな走りをするようになる。これは身体とメンタルの変化も大きく影響しているのではないだろうか?若さや勢いを失う代わりに経験と老獪さを手に入れる、そんな感じだろうか。イージーなレースになるとは全く思っていないが、もし僕の想像する通りだとするとマスターズに挑むランナー今回のような一気登りのレースを得意にする選手が多いのではないだろうか。皆それぞれの経験を武器にベストを尽くしてくる。今回もタフなレースになりそうだ。

我が家には子どもが2人いる。上の子は先日3歳になり、下の子は8ヶ月だ。まだまだ小さい。上の子は僕が走っていることは理解しているが、日本代表選手として世界選手権に出ていることなどは多分理解していない。子どもにはどんなことであれ、一所懸命に取り組むこと、好きなことを見つけること、楽しむことを大切にして欲しいと思っている。だから、僕が真剣に取り組む姿を覚えておいて欲しいのだ。

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30代に入り怪我が増えた。20代はがむしゃらに走っても若さと勢いで結果がついてきたが、年々怪我の治りが遅くなり怪我が怖くなった分、度胸ある下り方が出来なくなるなど随分と臆病な走りをするようになった。けれども怪我をして走れない時期があるのは辛い。だから、怪我を回避しつつそれでも速く走りたいと思い、レースを闇雲にこなすことよりも基本的なトレーニングに立ち返り、まずは故障しない身体作り。そして、無理をしないこと、距離などのノルマに囚われず今の環境でできるベストを尽くすように心がけている。COVID-19の影響で渡航が難しくなった。日本では帰国すると2週間の自宅隔離が義務付けられているので、自ずとレースのチャンスは減っている。だからこそ、今まで年間に出ていた幾つものレース全ての思いを今回のマスターズにぶつけるつもりだ。これは42歳の僕にとってのビッグチャレンジだ。

だから、僕はしがみつく。なんでわざわざ日本から欧米のレースに参加しているとか、もういい年なんだから一線から退いた方が良いんじゃないかとか、色々な意見があるのも知っている。また、僕より国内レースで上位選手がいるにも関わらず、僕が代表として出場することをSNSで批判されたこともある。僕の競技活動は日本ではトレイルランニング愛好者から見てもマイナーな活動。世界の実情が知られていないこともあり、僕が代表選手としてマウンテンランニングの世界選手権に出ていることに対して疑問を感じる人がいるのもわかる。僕はマウンテンランニング世界選手権に出るあたり、参加標準記録などの派遣のための物差しがなかったこともあるが先駆者がおらず苦労したし、どうすればいいか考え、ワールドカップを転戦した。そして、当時派遣の窓口であった日本陸連にコンタクトを重ね、やっとの思いで代表選手として出場権を手に入れた。

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今はステージを改めマスターズに注力するようになったが(もちろん機会があればワールドカップへの復帰もするつもりだ)、僕にとっては世界選手権に参加することは大切なことなのだ。何かに必死になること、がむしゃらにしがみつくこと、大切なものは譲らないこと、それがあるかないかで人生の意味は大きく変わると僕は思っている。旅にはトラブルがつきものだし、山を走っていて天気が大荒れになることもある。レースはタフで言葉が通じなかったり辛いこともある。けれど、それらの困難に打ち克ちレースで必死になることは僕は素晴らしいことだと思うし、何歳になっても夢中になるものがあることは幸せだとも思う。

大袈裟かもしれないが、このことを日本のランナーに発信していくことが、日本のマウンテンランニングのパイオニアとして自分の使命であると考えているし、僕の生き様からもしそのことに共感してくれる人がいたら(特に子どもたち)僕はこの上なく幸せだ。

これからさらに歳を重ね、世界の第1線で走る所からどんどん役割が変わっていくだろう。どんな立場になってもそのステージで一所懸命に走り、同じくらい走ることを楽しみ、その背中を子どもたちやジュニア世代に見せることのできる人であり続けたい。次回で寄稿は最終回。もう少しだけお付き合いください。

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【今後の予定】
9/26(日)第6回NAGANO Jr TRAILRUN in 富士見高原
10/10(日)トレイルシンポジウム2021

10/17(日)第13回TOKYO Jr TRAILRUN兼-U15ジュニアトレイルランチャンピオンシップ
11/7(日)逗子トレイル駅伝2021兼U-12ジュニアトレイルランチャンピオンシップ
11/23(火祝):Duo Espoir 20周年記念リサイタ(8/28から延期開催)

「RUNNING ZUSHI」
逗子市内池子の森自然公園内400mトラックを拠点にしたランニングチームです。
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