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『椎名林檎と彼奴等と知る諸行無常』大阪フェスティバルホール娘と行ってきた


椎名林檎さんが大好きだ。もちろん東京事変も。
けれど今までライブには一度も行ったがなかった。
行こうとしたことがなかった。

全然布教するつもりはなかったが私が椎名林檎さんの曲を聴いたり歌ったり観たりしているそばで育った娘も、自然とファンになっていた。
なので数年前にファンクラブに入り、今回『椎名林檎と彼奴等と知る諸行無常』に初めて申し込んだら当選し、前方のど真ん中という超神席を引き当ててしまった。

肉眼でも表情までしっかり見えるほどの近さ。
林檎さんと何度も目があった!と娘と興奮しながら言いあった。
2023.3.29大阪フェスティバルホール、当日のセトリはこちら。
(以下ライブのネタバレあります)

1.あの世の門
2.我れは梔子
3.どん底まで
4.カリソメ乙女
5.走れゎナンバー
6.JL005便で(remix)
7.青春の続き
8.酒と下戸
9.意識(remix)
10.神様、仏様


11.TOKYO
12.天国へようこそ
13.鶏と蛇と豚(衣装替え)
14.同じ夜
15.人生は夢だらけ
16.仏だけ徒歩
17.私は猫の目(新曲)
18.公然の秘密
19.女の子は誰でも
20.eternal flame (cover)

21.いろはにほへと
22.命の息吹き
23.いとをかし
24.長く短い祭
25.緑酒
26.NIPPON


アンコール

27.母国情緒
28.ありあまる富


暗転した場内、林檎さんが息を吸う音から始まった。
ささやくように歌う1曲目『あの世の門』。
幕が降りた状態で、光の線が幕の右上に歌詞を白く映し出す。
声に圧倒されて呼吸を忘れる。
幕が上がり目の前に現れた椎名林檎さんを見て、ぶっ倒れそうだった。
あまりにも美しい。
放たれるただ者ではないオーラ。
前半は最新アルバム『百薬の長』からの曲。
カッコよくてしびれっぱなし。休むことなく次々に演奏が続く。
照明が落とされ、しゃがんで水を飲む林檎さんの影だけが見える。それさえもカッコいい。

今回のライブから声だしがオッケーになった。
観客の声援もライブ演出の一つだったのだと気づかされる。
歌いながら衣装を少しずつ脱いでいく。
ほぼ下着のような衣装にまとう羽織を次から次に変えていく。同じ人間とは思えない美しさとスタイルの良さとに、オペラグラスを取り出して目に焼き付けようと隅々まで見てしまう。

迫力のあるナンバーが続いたあと、真っ暗やみに響き渡るピアノ。
14曲目の『同じ夜』。
林檎さんのピアノ弾き語りが静かにはじまる。
この曲は1999年発売のファーストアルバム『無罪モラトリアム』収録曲である。
このころの林檎さんが21歳。私は24歳だった。

自分で買った大好きな赤い愛車で擦り切れるほどCDを聴いた。
恋が上手くいかないときも、仕事で悩んでいる時も、いつもそばに林檎さんの曲があった。
オペラグラスでピアノを弾き語る林檎さんを見た。
44歳で『同じ夜』を歌っている林檎さん。
それを聴く47歳の私。
年齢を重ねた林檎さんの歌声がとても頼もしく思えた。
同志のような、そんな気持ちだ。
ここまでたどり着けて良かった。そんな風に思う。

お色直しした林檎さんがパジャマ姿で現れ、『女の子は誰でも』を歌う姿は可愛すぎてなんども娘と目を合わせ無言でうなずき合った。
最前列のお客さんが差し出した手に、林檎さんが端から端まで順に触れていく。うらやましくて叫んでしまう。

休むことなく歌い続ける林檎さんの歌声は、口からCD音源どころかそれ以上の迫力。音程もピッチも寸分の狂いがない。
高音やがなりを軽々と歌い上げる。
どうなってるんだとオペラグラスを覗くと表情は崩さずとも声をはる林檎さんの首筋からわずかな苦しみが垣間みえた。

タンバリンを叩く手の甲に浮き出す血管。
人間離れした美しさの林檎さんから、唯一年齢を感じられる部分が手だった。
ちゃんと等しく年をとっている。
林檎さんが私たちと同じように生きているなかで苦しみや葛藤、喜びや幸せを感じながら老いているのだと感じられてなぜか嬉しかった。
1つのオペラグラスで交互に観ていた娘も、この時同じように感じていたようだ。

『長く短い祭』でキレッキレにみんなで旗を降る。『緑酒』で背景に桜吹雪が舞う。歌いながらスタッフが背後から林檎さんの肩にギターを掛ける。繋がるように『NIPPON』がはじまったとたん、私はぼろぼろと泣いてしまった。
勝手に励まされている気になった。
マスクの中が湿気て息苦しくなるほど涙がでた。
あれからいろいろあったね、でもよくここまでこれたねと、林檎さんの曲と共に歩んできた自分の人生の走馬灯を見せられているようだった。
林檎さんのギターソロ。のけぞる体の美しい曲線。白い衣装が風でふわりとなびく。まぶしい光のなか凛とした姿勢で弦をかき鳴らす林檎さんは神々しかった。

懐かしい曲の数々にいろんな時代がフラッシュバックしたせいで、となりにいる娘を見たとき今の自分の幸せな現状に驚いてしまう。
ずっとファンだった椎名林檎さんのはじめてのライブ。娘と観れて本当に良かった。

最後の曲は、私も娘も大好きな曲『ありあまる富』。
この曲は2009年リリース。娘が生まれてから発売された曲。
この曲もこれからたくさんの思い出を包み込んでずっと私たちのそばにあるのだろう。

おそろいの髪型でおそろいの長寿パーカーを着てちょっと派手なメイクをし向かったフェスティバルホール。
当日販売のびっくりするような行列。
思い思いに着飾ったオシャレな林檎班のみなさま。
「写真撮りましょうか?」と声をかけてくださった優しいお姉さま。

過去一の神席。
幕があがるまでの緊張感。
まぶしいくらいに神々しい林檎さんの姿。
楽器のように響くほかにたとえようのない林檎さんの生の声。
嬉しくて興奮して安心したくて共有したくて握った娘の手。
ずっと忘れたくない。
最高のライブでした。


写真をいくつかインスタにあげてます。


ゲーム実況チャンネルにて毎月末に雑談&弾き語り生配信してます。


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