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頭痛キャラメル 第十三話【不思議な力に導かれた】

小学生の僕は、週末になると、母方のおばあちゃんの家に家族でお泊まりに行った。父親が、僕によく言ってくれた。「お年寄りは、寂しくないように、できる限り家にお泊まりに行ってあげたり、話し相手になってあげたりしてね。」

僕は、中学校、高校と大きく成長するにつれて、その【大切なこと】を段々忘れてしまっていた。しかし、僕が高校生の時、通学途中で、ふと、おばあちゃんのことを思いだし、会いたい!と強く思った。

僕は何か強い意思に突き動かされて、学校とは、別の方向の電車に乗って、約二時間電車に揺られ、ある病院に向かった。そこにはおばあちゃんが、入院していたのだ。こんな行動をとったのは、人生ではじめての経験だった。僕は、自宅の母親に電話をかけ、学校への欠席の連絡を適当な理由をつけて伝えてもらった。母親は、僕のこの行動にとっても協力してくれた。

「なぜだか、わからんけど、今すぐ、おばあちゃんに会いたくて、病院に来ちゃった。」

すると、母親は、私に

「えっ、わかったよ。でも、どうしておばあちゃんの入院している病院知ってる?」

とっても不思議なことなのですが、僕はおばあちゃんの入院している病院を知らなかったのです。それなのに、どうして、病院に来れたのか?

やはり、何か不思議な力で導かれたのだと思う。

なんと、僕は、おばあちゃんの入院している病院を直感であたり、直接、病院に行って、おばあちゃんの名前を受付で伝えて確認していたのだ。それが、直感を信じたひとつ目の病院で、当ててしまった。

一度も来たことのない病院の、その周辺の景色を、夢で見たような、ふんわりとした感覚で見つけた。

僕は、おばあちゃんの病室に向かった。長い、長い廊下を歩いて、その病室に向かった。

第14話につづく


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