見知らぬ大人


買い物終わり、停留所でバスを待っていると、親子連れがいた。
2歳くらい?もっと小さい?
ユニクロの大きすぎる紙袋を持った子。


もう、ぐにゃぐにゃ。


座るの嫌、抱っこも嫌、地面にぐにゃぐにゃ。
座るでもなく、ぐにゃぐにゃとしか表せない。
お母さん大変そうだなぁと思った。


実際どう思ってるかは分からないけど、一生懸命何かに意識を向けさせようとしている姿に、少し力になりたいな、と感じた。


子どもは可愛いとは思う。
けど、可愛さから動いたというよりかは、お母さんの気持ちが楽になったらいいな、と思って視線を送って手を振った。

予想通り、その子は反応した。


見知らぬ大人、マスクをして黒ぶちの眼鏡をかけた女性。
その見知らぬ人が自分を見ている、そしてなにやら手をひらひらさせている。
最初はその子も手を振りかえしてきた。

ありがとうございます、というお母さんに向かって会釈した私の真似をして、その子もぺこりと頭を下げた。

可愛かった...


私を凝視して手を振ってるうちに気がついたみたいだ。

「誰だこいつ」


その子は突然俯いて、視線を合わせなくなった。
恥ずかしくなっちゃった。

お母さんと私は目を合わせて、恥ずかしくなっちゃったね、と笑い合っていた。

その後しばらくフリーズしたその子は、少ししてから「ブーブー!」と復活していた。

あの一瞬、子供が、見知らぬ大人を凝視して、手を振り返して、頭を下げるという動作を真似して、誰だ知らないぞ、と気づいてフリーズしていた間、

その間だけでもお母さんの気持ちに余裕ができたならば。



お母さんの気持ちにまで想像を膨らませるのは傲慢な気がする。


だけど、少なくとも私は、あの時間で心が満たされた。



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