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同人誌を作る時に参考にしている本とか

印刷所に発注するタイプの同人誌を、初めて作ってから10年ほど・コンスタントに作るようになって4年ほど経つんですが、ここまでずっと勘と検索と模倣でいろんなことを何とかしてきたので、ここらでちゃんと勉強しようかなと思って揃え始めた本のまとめです。
どっかに書いておかないとそのうちダブって買ってしまいそうなのと、まあどこかの誰かに「こんな本あるんだ~」って面白がってもらえると楽しいかなということで。

基本的に何度も読み返すものは紙媒体派なので、紙で入手できる本は紙で買っています。
推し書店の該当ページのリンクを貼っていますが、辿っても私には特に何の利益もない。
振ってる番号は便宜上のもので、私が入手した順番でもオススメ順でもないです。全体的に結構マニアックかもしれない。

スペック
メインの創作は文章系だが、物質としての本が好きすぎて装丁に足を突っ込んだ。
学歴も本業も美術・デザインとは特に関係ない普通の素人。絵心はない。
趣味でAdobeコンプリートプランを契約している。仕事ではMicrosoftを使う。
作業環境はノートパソコン+モニター、外付けキーボード&マウス。

アプリ操作系

①Illustrator&Photoshop&InDesignこれ1冊で基本が身につくデザイン教科書

一番最初に買ったAdobeソフトのテキスト。図書館で中身見て自分用に買った。
同人誌印刷所の入稿データ、だいたいPSD形式が推奨ですよね。なんですが、私がメインで使っているのはイラレなので、行ったり来たりして扱うのが想定されてる本がいいかと思って選びました。イラレだけに関して言えば、掲載されている内容はほとんど知ってる知識だったんですが、フォトショの扱いの最低ラインが知れたのは大きいです。
あと、この手の抱き合わせ形式の実用書でインデザが入ってるのはだいぶ珍しい。しかも雑誌レイアウトだけじゃなく小説の組版についても触れてるのはかなり希少です。特にフレームグリッドの扱いについては基本的な部分が書いてあって助かった。
個人的な推しポイントは索引がついてることです。索引大好き。編集が面倒だし電子書籍だと無用の長物なので、最近は実用書でも索引ない本が多いんですけど、紙で持つ時はかなり重要視します私は。

②つくるデザインIllustrator

①だけだとイラレの解説が物足りないなとなって買った。
いくつかのタグ検索を最新からざっと総当たりするのがnoteでの日課なんですが(二次創作系オタクががpixivでよくやる挙動)、確かそれで著者の井上のきあさんを知ったんだったと思います。
イラレで何か作りたいと思った時はネット上の講座を見ることも多かったんですが、そういうのってだいたい最終目標への一本道しか見せないので、技術として応用が利かないんですよね。何を作りたいかが明確に決まってるならそれも悪くないんですけど、継続的に使うならそれって結局は時間の無駄じゃない?という気持ちもあって、体系的に学べる何かがほしかったんですね(Adobe公式動画もありますが、私は説明動画が苦手だ)。
その点この本は、何となくしか知らなかった機能の具体的な使い方がわかって目から鱗がボロボロでした。それに作例がいいので単純に見ていて楽しい。あとこの本も索引がついている。

③きほんのインデザ

著者ご本人が紹介されていて知った本。先日のセールで買った。
しばらくは①だけでインデザを動かしていたんですが、作った同人誌の冊数が増えてやりたいことの幅が広がってきて、もうちょっと突っ込んだ機能を覚えたいなと教本を探していました。
が、インデザの教本、全然ない。いや、技術同人誌とか当たればいくらでもあるんでしょうが、地方住みの人間にはハードルが高い。一般流通の本で探すと、あっても雑誌みたいな画像/テキスト混合レイアウトが主眼だったり、初心者向けに造本の基礎知識にページが割かれたりして、絶妙に用が足りない。
先述の通り紙書籍派なので、電子しかないのどうしようかなと思ってたんですが、井上さんの他の発信を見ていて大丈夫そうな気がすると勘が働いたので買いました。
電子書籍、単ページ表示がデフォルトのくせに見開きとしてのデザインが残ってるのが嫌いなんですが、この本はそれがなくストレスフリーで参照できて好きです。

造本系

④印刷・加工DIYブック (改訂版)

同じタイトルで3回くらい出ていて、改訂版が一番新しくて(2019年刊)ぶ厚いです。
実際にDIYするかどうかはおいといて、「こういう形もありか」「こんな加工があるのか」の種類と、組み合わせのバリエーションがすごいので読んでいて楽しいです。本に限らず、紙ものの表現手法がめちゃくちゃ広がる

⑤ポケット製本図鑑

上2冊に比べると新しいので手に入れやすいかと思います。姉妹編の「ポケット特殊印刷図鑑」も面白い。
製本方法とその特徴、簡単な構造をまとめた図鑑。引き受けている製本会社も掲載されていますが、個人製作は対応していないのところもありそうなので、そこは要注意でしょうか。
いわゆる同人誌印刷所で扱うような製本方法は全て網羅されていると思います。同人誌業界独特の言い回し(雁垂れ製本をフランス製本と呼ぶとか、遊び紙や見返しの定義が微妙に違うとか)があるので、ある程度知識を整理しながら参照する必要があります。

デザイン・DTP系

⑥文字組版入門

モリサワnote編集部の記事で紹介されていて、「文字の組方ルールブック タテ組編」「文字の組方ルールブック ヨコ組編」とセットで買った。「文字組版の教室 note版」マガジンも併せて読んでます。
文字サイズ一覧・紙サイズ一覧とか、常に手元に置いて物理でパッと確認したい内容がごっそり入ってて大変便利です。あと、インターネット有志の知識共有記事だと諸説ある「判型に対する適切な文字サイズ・文字数・行数」「ノンブルや柱の位置、余白」「事務ページの役割とレイアウト」の商業的なお手本が載ってるので、わけわかんなくなった時にとりあえず参照するといいと思う。プロが使っている常套は、大概そうするだけの実用的な意味があるものなので。

⑦STEP UP! 同人誌のデザイン 作りたくなる装丁のアイデア

デザイン作成がメインの本なのでここに入れてますが、入稿データ作成の基礎知識的なところ(解像度とか塗り足しとか)から、実際の作例まで幅広く網羅した入門書と言える内容だと思います。最初の一冊にちょうどよさげ。
共同著者に入ってるしまや出版さんは、同人誌印刷所の中でも老舗、昔から小説に力を入れていらっしゃる印刷所です。そのためか、この本もイラスト表紙だけじゃなく、いわゆるデザイン表紙(文字とか図形とか写真とか、キャライラスト以外の素材をメインにした、小説同人誌でよく見られる表紙)のデザイン方法・作例が多く取り上げられています。嬉しい。

⑧色の大事典―基礎知識と配色・カラーチャート 伝統色・慣用色名

モノクロのデザインは好きでかなり手が動くんですが、カラーめちゃくちゃ苦手なんですよね。きれいだなと思う色はたくさんあるんですが、自分で使おうと思うと結局2~3色くらい、下手すりゃ1色の濃淡でまとまってしまって、結果なんか似たような感じになりがち。特殊紙に単色刷り、私の好きな言葉です。
ただまあいつ何時めっちゃビビッドでカラフルな本を作りたくなるかわからないので、色についてちゃんと勉強しよう&カラーモードとか印刷の仕組みもおさらいしよう(ネットで集めた情報の付け焼刃だったので)に1冊で適いそうなこちらを購入しました。色の名称とCMYK値と見本が何百色と印刷で見られるの、めちゃくちゃ楽し~!

おまけ・実用書を選ぶときのコツ

私自身は月々の書籍代が万を超えることが常態化している書痴なので、見切り発車で本を買うということにまずもって抵抗がないのですが、世はそうじゃない人が大多数だよな、と思うので補足です。

・図書館を使う

こういう実用書、だいたい2000~3000円くらいする(もっと高い本もざらにある)ので、一度は実物に目を通してから買った方がいいと思っています。書店で立ち読みもいいけど、できれば図書館で借りて、1週間くらい手を動かしながら参照して使い勝手を確かめられるとベターですね。
デザイン系の蔵書に力を入れてる図書館が近くにあれば理想ですが、公立図書館だとなかなか難しい。そういう場合は他館からの取り寄せを頼むという手もあります。
あと、穴場は大学図書館です。特にデザイン系の専門学科が無くても、グラフィックソフトの教本は結構置いている印象。今どき大体の大学図書館は利用登録すれば閲覧は確実にできますし、貸出もしてるところが多いです。PCやタブレット持ち込んで作業してもいいかも。

・著者買い・出版社買いをする

漫画や小説だと作者買いをする人も結構多いと思うんですけど、実用書だとあまり聞かない。でも実用書こそ自分に合う合わないが大きいので、一度信用できると思ったところは継続的に注目しておくと検索の手間が省けると思います。まあ普通にファンだってのもあるんですけど。
ここで紹介している中でいうと、②③⑧の井上のきあさん、④⑤のグラフィック社(デザインのひきだしシリーズも好きでよく買ってます)、⑥の3冊セット。⑦も、しまや出版さんの関連で手に取っています(初めて貰った印刷所の見本誌がしまや出版さんだった)。
最近はSNSなどで発売情報や内容発信をしている著者や編集部も多く、関連書籍の情報も手に入れやすいので、定点観測が結構重要なんじゃないかしら。そのぶん欲しい本が際限なく増えて困ることもあるんですが。


また新しい本を買ったら更新するかもしれない。


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