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新書で人類の知の世界を観光する方法


人間は今まで何千年も一生懸命ものを考えていろいろなことを解明したりさらなる謎を発見してきたりしました。これの蓄積がまあ「知」というか学術というかアカデミアといったやつです。

これのおかげで我々の文明は成り立っているんですが(えらすぎ)、まあ普通に面白いんですよ。世界や社会の仕組みを理解するのは生きている上で一番楽しいことの一つ!ということで、この「人類の知」ってやつをテキトーに楽しく、いわば観光的にエンジョイする方法を、新書を中心とした読書術の形でまとめてみました。

僕は人文系(分析哲学、政治哲学)出身なのでそっちに偏った内容になっております。だれか理系編も書いてくれ!

新書ってなに?

こういうやつです。各出版社が出している縦長の1000円くらいの本。

なぜ新書なのか?


新書は専門知の入り口です。一般の本を読む人にむけて、各ジャンルの専門家が(なんなら第一人者が)専門的な知の世界を紹介しています。新しい世界にアカデミックに正確に入門できる最高の文明です。世の中のことを知りたいなら是非読むべし!

新書の買い方

じゃあどうやって新書を選べばいいの?をこちらで紹介〜


ランダムエンカウント編


デカい本屋(ジュンク堂、新宿ブックファースト、紀伊國屋あたり)の新書コーナーをざーっと見て、気になるテーマの新書を適当に買います。どれも何かしら面白いに違いない、というポジティブさで表紙や帯を見ると、突然興味を持ったりします。そういう出会い大事。

古本屋で適当に買う、というのも昔はよくやっていました。Kindleの試し読み機能で片っ端から読むのもいいですね。

目的買い編


テーマが決まっている場合はAmazonでキーワードを入れて検索します。引っかかった本をお気に入りに入れておき、先述のデカい本屋で片っ端から立ち読みします。新書コーナーには新書の目録がぶら下がってるので、それを活用してひたすら関係しそうな本を立ち読みします。もしくは端から端まで棚を目で探します。新書はたくさんあるので、何かしらひっかかるものはあるものです。で、ピンときたやつを買う。

レーベル編


新書にはレーベルごとに難易度があります。主要なところだあとだいたい下記のような感じです。

中公新書 >> 岩波新書 > ちくま新書 = 講談社現代新書 > 光文社新書 > 岩波ジュニア新書 = ちくまプリマー新書

難しいなーと思ったらレベルを下げてより一般的なトピックの本を読むと良いです。例えば、筒井淳也 『結婚と家族のこれから(光文社新書)』が難しかったら、同じ著者の『社会を知るためには(ちくまプリマー新書)』を読むとか。

ちなみに、ちくま中公新書の歴史系はガチなのが多いで心して読むべし。面白いのも多いよ!


新書の読み方、もしくはアカデミアの観光ツアーを楽しむ方

本題っぽいやつ!

とりあえず気になったテーマの新書を読んでみましょう。なんでもいいですよ。

ある程度学術的な本なら、読んでいると背景がわからなかったり、謎の用語が説明なし(もしくは薄い説明)で使われたりします。まあいったん無視しましょう。あくまで観光なので100%の正確さはいらない。

読み終わった!うーんなんかわからないところがあるな、ここもっと知りたいな、背景を深く学びたい、てかここは全然納得いかない、と思ったら、巻末にある参考文献リストや読書ガイドを見ます。いい本は参考文献リストや読書ガイドがついているものです(この基準は本の選び方にも使えます)。気になったもの、読みたいと思ったものをAmazonの欲しいものリストに入れて、週末にデカい本屋で立ち読みしてみましょう。

週末の夕方には「これを読めばアレがわかるはず!と」いう興奮のもと買ってしまった本がジュンク堂の紙袋の中に数冊あるはず。はい、また知らない世界の(もしくは知っていたはずの世界の知らなかった仕組みの)ツアーが始まります。楽しいね!

デカい本屋の重要性


デカい本屋大事。ここでいう「デカい本屋」は、23区西側だと池袋ジュンク堂、新宿紀伊國屋、新宿ブックファースト、自分丸善ジュンク堂あたりの規模の本屋です。

なぜデカい本屋が重要かというと、残念ながら知の観光ツアーに使えるタイプのアカデミックめな本は小さめの一般的な本屋では扱いが少なく、それが故にチョイスもいまいち、一方デカい本屋は先述のように本を探しまくっているやつが買いにくることもあってか、その手の本のチョイスも品揃えもよい、という構図があります。要はこの手の本はデカい本屋に集積してしまう。

面白い本が集積すると、当然買う方も楽しいです。面白い本が並んでいるので、一度入るとマジで興味がなかったけど面白そうな本を何冊も買うことになる。こうやって知の観光は再現なく広がりを見せていきます。

新書より先に進む方法

新書は読んだ!ではそこから先はどんな本を読めばいいのでしょうか。という話です。

選書


新書コーナーの隣にあるデカい新書みたいなやつ。これは本当にデカい新書なので、そのつもりで読めばオッケー。難易度もあまり変わらないです。


◯◯文庫

岩波文庫とか、筑摩学芸文庫とか、平凡社ライブラリとか。アカデミックな気配を纏う割高な文庫です。これも新書コーナーの近くにあります。文庫だけど難易度はグッと上がり、学術的に重要なものが文庫化されている場合が多いです。新書に比べると読むのに二段階くらい気合いが入ります。


有斐閣アルマ


社会科学でテーマごとに概説書が揃ってます。良書が多いのでおすすめ。おおむねしっかりした新書くらいのレベルです。


専門出版社が出している2000円から3000円くらいの入門書


特定のジャンルに強い出版社のこと。たとえば哲学だと勁草書房とか。これらが出している入門書を銘打った本の難易度は色々ですが、おおむね観光のレベルを超えて大学の授業で使われるくらいのものです。観光感覚だとちょっと重いかもしれないけど、本当に面白いところはこの辺からだったりする。チャレンジしたい!


◯◯基礎論文集


これは特定のジャンルをその根本からしっかり研究するために必要な論文が乗っている本なので、観光レベルを遥かに超えています。これ読んで「基礎がわからねー」となる必要はないです。面白けど。


「ハーバード流」「世界のビジネスエリートが」「100分でわかる」系



この手のタイトルの本(だいたい帯や表紙の字がデカい)はビジネスパーソンが読んでいい気分になるための本が多いので、同じテーマの新書を読みましょう。と言いたいところだけどたまーに羊の皮を被った狼的な本があるので、侮れない。


さらに先へ…

新書は読んだ、アルマも読んだ、勁草書房(など)の入門書も読んだ!とここまで来ると本選びも勝手に捗り、あなたの手には5000円くらいするゴツい概説書や誰かの単著があることでしょう。ここまでくれば、もうどこへでも行けるはず!Bon Voyage!

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