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頼ることと頼られることーその魅力と難しさー第一部:


<目的>
このnoteは自分自身の考えを整理し、その内容を公開するものです。今回は、頼ることと頼られることをテーマに書きます。人は1人で生きていくことはできないです。だからこそ仕事においてもプライベートにおいても人間関係を形成しています。その意味でも、良好な関係を築けるかどうかは、仕事においても人生においても重要なテーマでしょう。ですが、それはすごく難しいことでもあります。そこで今回のnoteでは頼ることと頼られることーその魅力と難しさーというテーマで考えてみます。


<どのように考えるか>
一言に頼る頼られると言っても、仕事面でもプライベートでも広範に渡ります。そのすべてを取り上げることが難しいのと、プライベート領域はそれぞれの価値観も多様であることから、今回のnoteでは仕事面に主なフォーカスを当てて検討を進めます。

① 頼ることの目的
まずは目的です。頼ると一言で言っても、なんのために頼るのでしょうか。頼ることでどのような効果を得ようとしているのでしょうか。頼ること自体は目的ではなく手段です。主に業務面に焦点を充てるので、工数削減、クリエイティブ、他社視点、精神的負荷とそれぞれの特徴とその意義を考えていきます。もっと頼りたくなるのがこの節のゴールです

② 頼る段階と頼るリスク
次に頼る難しさを検討します。頼ることは大事だと思っていても、実際はなかなか難しい。その難しさを頼る側の観点から分析してみます。頼む難易度の高さは、継続性と重要性、機密性の3軸の組み合わせだと捉え、その分析枠組みで検討してみます。頼る難しさを理解しどの課題を乗り越えるべきかを考えるのがこの節のゴールです。

③ 頼られる側
続いて頼られる側の難しさを検討します。頼られる難しさには、なかなか頼ってもらえない難しさと、実は頼られすぎて相手に依存されてしまう難しさもまた存在します。それぞれの難しさをどのように克服して、健全な関係を作っていけば良いのでしょうか。頼られる側としてのポリシーが検討できるのがこの節のゴールです。

④ 健全な関係に向けての処方箋
①〜③を検討のまとめとして、では、どのようにすれば健全な関係性を作っていくことができるのかの展望をまとめてみます。これまでの議論をまとめた上で、触媒、代替不可能性、誇れる会社づくり、などの言葉をキーワードに、頼る頼られるの醍醐味を探ってみます。

それでは、スタートです!


① 頼ることの目的
まずは目的です。頼ると一言で言っても、なんのために頼るのでしょうか。頼ることでどのような効果を得ようとしているのでしょうか。頼ること自体は目的ではなく手段です。主に業務面に焦点を充てるので、工数削減、クリエイティブ、代わりに考える、他社視点、精神的負荷とそれぞれの特徴とその意義を考えていきます。もっと頼りたくなるのがこの節のゴールです

<下流工程>
なにかを頼るとき、それはすでに頼る側がなにを依頼したいのかがはっきりしている場合とはっきりしていない場合とがあります。はっきりしている場合、それは下流工程と呼ばれ、はっきりしていない場合には上流工程と呼ばれます。まずは下流工程から検討していきます。

工数を削減する
仕事には時間(工数)が掛かります。その工数を減らすことが1つ目の目的です。自分の仕事を誰かに依頼する。そのことで自分の時間が浮くことになります。時間が浮くことで、他の仕事を行うことや、仕事量自体が減ることでの気持ちの余裕も大きくなります。上司やクライアントの仕事を減らす意味で、最も基本的な頼る頼られるの関係でしょう。
 なお、この関係が成り立つには、満たすべき品質水準(Quality)を超えているか、必要な業務時間内(Cost)で終えているか、依頼した仕事が納期内(Delivery)に完遂されるかの3要件を満たすことが重要です。製造業では、上記の頭文字を取りQCDと呼ばれる3要素を満たすことが重要で、そのためにトレーニングが必要で、研修が組まれたり、OJTが行われたりします。

自分ではできないことを依頼する
上記とは、逆になりますが、自分にはできない仕事だからこそ人のことを頼るパターンがよくあります。デザインワークなどがその典型例です。頼る側の目的や目指したい姿が共有され、頼られた側はそこから表現手段などに創意工夫を行います。上記はデザインワークに限らず、日頃依頼された仕事でも、相手の期待値を超えるような改善提案や創意工夫を行うことでもあります。頼られた側も自分自身だからこそできた仕事だ、との実感も得やすくなりますし、頼む側も信頼して任せていくようになれば、すごく良好な関係となります。
 なお、この関係が成り立つためには、双方の強みが明確であることが必要不可欠です。頼る側には、目指したいことや表現したいことが明確に語れること、これまでにない取り組みだとの独自性を語れることが重要です。他方、頼られる側は自分にできること、成果物を明確に言えること、他にない強みとして言えることが重要です。この点が曖昧だと連携はうまくいきませんが、そこがクリアになれば、まさに自分達にしかできなかったことができるようになります。

<上流工程>
なにかを頼りたいと思っても、なにを頼ってい良いのかがわからないこともしばしばです。物事が複雑に絡み合う場合には、その絡み合いをほぐす関わり方をし、目的を整理したり、なにを依頼すれば良いのかを一緒に考えて(上流工程)、そこから自己解決の働きかけをしたり、様々な人に依頼をします(下流工程)。仕事でもプライベートでも、頼るというとこちらの方がしっくりくる場合があるかもしれません。それでは上流工程を検討します。

議論を主導する
まず原則として、自分が担当する仕事や自分自身のことは自分で考えることが基本です。それが自律した状態といえ、他の人がいないと考えられないのは他律的であり、誰かに依存的な状態とも言えます。ですが、専門性の高いテーマや高度なテーマを1人で考えようとすると、考えることが困難であったり、時間が掛かりすぎることがあります。あるいは、自分自身で考えること自体ができそうなテーマでも、考えることが億劫であったり、疲れたりなどして考えきれないこともあるでしょう。知的労働者はものを考えることが仕事ですが、知的労働者も労働者なので、持っている技能も違えば、適切な仕事量の調整が必要ですし、休息も必要です。そのため自分の代わりに物事を考えて、議論を主導してくれる知的労働を行うことはありがたいことです。
 なお、この関係が成り立つには、頼りたいと思っている側が懸念していることやモヤモヤしていることを言語化し、整理し、頼る側が納得できるレベルで見通しをつけることが求められます。それも時間を掛けすぎず、期限を守ってです。言い換えれば、先程のQCDを目に見えない問題解決領域で任せさせるのがこのタイプと言えそうです。
 ここで余談ですが、上記のQCDを満たすことは、工数削減の話とも重なります。世の中の仕事の大半は、QCDを満たしながら上司の工数削減を行えるかだと思いますが、この手の工数削減の仕事には、誰にでもできる仕事(標準化された仕事)を行うというニュアンスがあり、このタイプの仕事を好まない人も少なくはありません。ですが、QCDを満たして工数削減を行うことは仕事の基本であり、様々な人々が行なっている仕事をまずは預かり、その役割を担えることができて初めて、安心して代わりに考える系の仕事を依頼できるのかもしれません。

外部の視点を入れる
先ほども書きましたが、まず原則として、自分が担当する仕事や自分自身のことは自分で考えることが基本です。それが自律した状態といえ、他の人がいないと考えられないのは他律的であり、誰かに依存的な状態とも言えます。ですが、自分自身の視点からだけでは良い仕事を行ったり、良い人生を送れないです。そこで外部の視点を入れるという頼り方が生まれます。コーチングでは課題等を整理する関わり方をしますし、メンタリングでは課題解決を一緒に取り組みます。専門家に相談する時には専門的な知見を期待し、経験者に相談する時には経験を求めます。自分自身を客観的に整理したり、様々な観点から考えたり、時には自分の見解をも大きく変えるような外部の視点を頼ることは人を頼ることの醍醐味の一つと言えるかもしれません。
 なお、この関係が成り立つには、2つのことが必要に思えます。1つには機密が漏れないこと。もう一つは期待以上の返答をしてくれることです。仕事上の機密はもちろん、様々な人間関係の中で漏れてはよくないこともあるでしょう。難しい課題になればなるほど、機密が漏れない、保秘ができることが相手であることが必要不可欠です。保秘については次の章でも検討します。2つ目は、期待を超えることです。10の自己開示をしたにも関わらず、相手から9以下の返答しかない場合、期待を下回ることになります。10の自己開示に対して11以上で返すこと、さらにはもっとたくさん返せば返すほど相手に話して良かったと思えるのだと思います。この返答性の関係が成立することが不可欠なのだと思います。

精神的負担を軽減する
重ねますが、まず原則として、自分が担当する仕事や自分自身のことは自分で考えることが基本です。それが自律した状態といえ、他の人がいないと考えられないのは他律的であり、誰かに依存的な状態とも言えます。ですが、大きな仕事のプレッシャー、ミスができない緊張感、変動要素が大きくストレスが掛かる仕事、人事案件などのデリケートな仕事など精神的負荷が大きいことも少なくありません。日常的にも考えること自体が辛い悩みなどは1人で考えることも難しいでしょう。人を頼ると言っても、課題解決ではなく、上記への共感を通した精神的負荷の軽減を期待している頼り方頼られ方も関わり方もあるのだと思います。良くも悪くも人間は感情を持っています。自律性は大切なのですが、その感情面を捨象した関わりのみを求めれば、それは人間性を疎外しているとさえ言えるかもしれません。まさに人間関係の真価が現れる場面の一つだと思います。
 なお、この関係が成立するには、3つのことが必要に思われます。1つには機密が漏れないこと。2つ目には、頼った側が頼られた側から悪く思われないこと、言い換えれば、評価が下がる、見下されない、見捨てられないなどの自己開示へのリスクがないこと。3つ目は、相手の立場に立ち、相手起点で状況を捉え、相手の価値観で状況を理解し、構成して、評価を行う想像力です。機密とリスクは後述しますが、他者への想像力はすごく重要なものの今回は扱いきれないので、次回以降のnoteをお待ちください。
 これも余談となりますが、まずは相手の価値観を尊重し、相手視点で状況を捉える想像力で相手を捉えることは世間的には共感と呼ばれますが、私の中では厳密にはそれは共感ではなく、受容ではないかと思っています。まずは相手を受容すること、その上で、自分自身の価値観と整合して初めて共感になります。相談相手に共感することを求めることもありますが、共感を求めることは価値観の一致を求めることであり、本来は相当ハードルが高いことを求めているのではないかと思えます。ここも今回のnoteでは扱いきれないので、次回以降のnoteをお待ちください。

ここまでが第1部でした。いかがでしたでしょうか。人を頼ることがどんなことなのか、そしてその醍醐味を感じていただき、もっと人を頼ってみたい、頼ろう、頼られてみようと感じられたのであれば幸いです。

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