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「そもそも論」と「たらいの水論」

先日、私が参加している「知心会」の5月の定例講に出席しました。「知心会」では、ありのままの己の心を観ながら仲間と共に研鑽する機会の一環として定例講があります。

定例講では、知心会の「20則」がテーマのひとつとして取りあげられます。「20則」は、「これに従って生きていけばよい」という、目印のようなものとされています。

この日の「20則」で印象に残ったものについて、ここでは2つ振り返ってみます。

<そもそも論>
「物ごとの本質を観るときには「そもそも」と考えればよい。然すれば「枝葉末節」に走らずに済む。」

この「そもそも論」を聞いて、「チャンクアップ」の質問を思い起こしました。

質問のしかたについて、「チャンクダウン」と「チャンクアップ」という切り口でとらえることができます。

チャンクダウンは、相手から得た情報をさらに掘り下げる質問です。「それは、いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように なのか?」などのような問いを繰り返していくことで、回答をより具体化させていきます。問題を引き起こしている原因の所在を明確にしたいときなどに有効だとされます。

チャンクアップは、個別的・具体的な事象から抽象化された答えを導き出し、「要するに何なのか」意味づけを促す質問です。「そもそもこの会議はなんのために行っているのでしたかね?」などのような問いによって、視野を広げたり本来の目的に立ち返ったりする効果があるとされます。話が行き詰った場合や、視野が狭くなっている場合などに有効です。

その場面で実現したいことによって、適した問いを使うことが重要であること。目的からずれた枝葉末節な掘り下げに走ると、本質的な問題は解決しないということは、「問題解決」などのテーマでよく言われていることです。しかしながら、日常の中では、うっかりチャンクダウンを連発し、意図しない枝葉末節の深掘りになってしまっていることが多いのを、改めて振り返った次第です。

<たらいの水論>
「手元に水を引き寄せようと思えば、先に相手に渡すことによっていずれ己に返ってくる。菩薩業。布施。」

まずは相手を儲けさせること。そうすれば、必ず自分に返ってくるというわけです。「情けは人の為ならず」ということわざに近しいものがあります。

逆に、自分が先に儲けようとすると、たらいの反対側に水が逃げていくかのように、最終的に儲けが逃げていくというわけです。


仕事の本質が、「相手が困ってくることを助けること」にあると認識し、上記の「そもそも論」と「たらいの水論」を重ね合わせると、次のように考えることができます。

・「そもそも、相手の困りごとは何なのか」を考える。「困りごと」には、相手がそれを認識して求めていること(顕在的なニーズ)と、相手本人すら気づいていないこと(潜在的なニーズ)がある。

・見えてきた「困りごと」に対して、こちらができることをすべて行う。「こちらが売りたいものを売る」ではなく、「そもそも相手が困っていることに対して、それを解決できるものを勧める」。

・そうすれば、「この人に相談するとよい」となって信頼を勝ち得ることにつながり、オーダーが来る。たらいの水のごとく、いつかの時点で自分に返ってくる。

・今すぐ儲けるのを直接の目的にするのではなく、結果として儲かる。


「そもそも」と「たらいの水」。意識しながら行動に反映させていきたいと思います。

<まとめ>
相手の「そもそも」が何かを考えてみる。

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