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為替予約というリスクヘッジ

12月24日の日経新聞で、「ニトリ純利益12%減 3~11月、初の2年連続減益」というタイトルの記事が掲載されました。円安が痛手となって、海外生産の費用が膨らんだことによる影響だということです。

同記事の一部を抜粋してみます。

ニトリホールディングス(HD)が23日発表した2022年3~11月期の連結決算は、純利益が前年同期比12%減の665億円だった。四半期決算を開示した03年以降、同期間として2年連続の減益は初めて。円安や物流費の上昇などが、海外で商品を生産し輸入するSPA(製造小売り)モデルの逆風となった。23年3月分まで足元より円安水準となる1ドル=147円80銭で為替予約をしており、今後も輸入コストが膨らむ。

売上高は6317億円だった。今期から新たな収益認識基準を適用しており、前年同期と単純比較すると4%増だった。国内外で積極出店したほか、7月から一部店舗で開店時間を1時間早めたことや、11月から約2000アイテムを対象に実施しているセールなどが寄与した。

営業利益は12%減の950億円、経常利益は12%減の975億円だった。同社は商品の約9割を人件費の安いアジアなど海外で生産して輸入し、低価格で販売するSPAモデルを展開する。対ドルで1円の円安が年約20億円の減益要因となる。

22年3~11月期は円安の影響額が経常利益ベースで184億円だった。9月分までは1ドル=114円90銭で為替予約をしていたが、10月前半はスポットで対応していた。10月後半から23年3月分までは147円80銭で為替予約をしていることを明らかにした。

似鳥昭雄会長は23日の決算説明会で為替予約について「結果的に失敗した。為替の予想が得意なほうだったが見誤った」と述べた。日銀は20日に大規模な金融緩和を修正し、事実上の利上げを決めた。一時151円台をつけた為替相場は足元では132円台で推移している。

似鳥会長はかねて米国が利上げによって景気が減速すれば円高に反転すると予想していた。「日銀による為替介入の効果も少なく、なかなか円高にならなかった。かなり迷ったが予約してしまった」と語った。

物流費も重荷となる。世界的に海上輸送コンテナの需給が逼迫して運賃が上昇し、貿易費用なども経常利益を118億円押し下げた。一方、売り上げ増に伴う粗利益の増加が237億円の増益要因となり、円安や物流費上昇など外部要因による減益影響の約8割を打ち返した。

原材料高を受けて一部の商品は10~20%程度値上げした。ニトリ事業の既存店の客単価は9月以降、前年同月を約1割上回っており、客数の落ち込みを補っている。ただ、24年3月期以降について、武田政則取締役は「売価を上げたものは為替の変動に伴って下げていく方向で調整している」と説明した。

一般的に、円安は輸出企業にとってプラスの効果があり、輸入企業にとってはマイナスの効果があると言われます。同記事を見ると、そのことが改めて見てとれます。

1円の円安で年約20億円の減益要因ということは、10円円安で約200億円の減益となります。海上輸送の運賃上昇の影響も、年間で100億円以上減益要因になっているとあります。急激に円安が進んでいた環境下では、為替予約をするのは利益確保のための経営判断だったと言えると思います。

冒頭の段落からはネガティブな印象を受けますが、決してそんなことはないと思います。売上高6317億円に対して営業利益は950億円です。営業利益率は15%を超えていて、減益後でも超優良企業であることは変わりません。売上高は、コロナ禍の数年間も含め対前年比で伸び続けています。商品への価格転嫁もコントロールできていて、グローバルな視点からもトータルで適切にマネジメントされている状態と言えるのではないかと想定されます。

同日付の記事に、次のようにありました。(一部抜粋)

基本給を一律で底上げするベースアップと定期昇給(定昇)を合わせた賃上げ率は「最低でも4%を確保したい」と述べた。ベア実施は20年連続となる。22年の賃上げ率は2.37%だった。また転勤のない人事制度や土日に休める勤務体系を導入し、多様な働き方に対応する考えも示した。

20年も連続でベアを実施できている企業は、他になかなかないと思います。4%というのは、最低でも消費者物価上昇分を上回る規模という意味合いでしょう。従業員対応もかなりしっかりなされている印象です。

そして、転勤のない人事制度や休み方の選択肢を広げるなど、多様な働き方を可能にする仕組み化を目指していることが注目されます。(詳細な制度内容は存じ上げませんが)同社と言えば、拠点異動を含む配置転換を通して行う「配転教育」を人材育成のテーマのひとつとして掲げてきています。上記記事内容からは、従来の良い部分も残しつつ、より多様な人材の活躍の場を広げる新たな段階に入ったのかもしれないと思われます。

前回、企業側の人材獲得、働く側の能動的な能力開発・仕事選びの動きが、ますます盛んになっていくであろうことを考えました。そのことも彷彿させる記事内容だと感じます。

<まとめ>
環境変化を想定し、自社の取り組み施策に落とし込む。

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