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「四住期」を考える(2)

前回は、「四住期」をテーマにしました。人生を25年ごとに「学生期」「家住期」「林住期」「遊行期」の4つに区切って、特に家住期までは、目の前にあることに集中することが大切なのではないかと考えました。

2つ目は、誰のために生きるのかという視点です。

学生期は、自分の生命維持を可能にするための術を身につける時期ですので、自分のためだと言えます。しかし、家住期には変わってきます。

家住期は、社会人としての力を備え、お役目を担う時期です。お役目を担うということは、自分以外の誰かの役に立つということになります。よって、命を運びながら、林住期を迎えるまでに、自分は誰のために生きるのかを考えていく必要があります。

「社会のために生きる」とすれば間違いはないのですが、それでは対象範囲が広すぎます。「自分の」人生としてはピンとこないかもしれません。

「誰のため」の最も身近な対象となる存在はおそらく家族ですが、家族なのか、家族だけなのか、仕事を通して貢献したい相手はどういうところにいるどんな人たちなのか。家住期にこれらを明確にして、目の前にあることに集中しお役目をひとつずつ果たしていくことで、林住期に使命が見えやすくなりそうです。

3つ目は、相手とコミュニケーションをとるうえで、相手が位置している期を想定することです。

例えば学生期の相手に向かって、「自分は何のために生きるのか(自分の使命)を考えろ」と言っても、すんなりとは受け入れられにくいかもしれません。

もちろん、自分の使命を考えるよう相手に促すことは意味があり、それ自体に害もなく、推奨される行動です。しかし、自分のことを集中して考えることが相応しい時期に、「自分以外の他者や社会の大義に目を向けろ」といっても、相手の状況にかみ合わないというわけです。

この場合、そのような話が相手にすぐさま理解されることを期待するのではなく、「今意味が分からなくてもいい。いつかその時期が来た時に、「そういえばこういう話を何回も聞いたことがあったな」と思い出して、その時に意味が分かってくれればいい」ぐらいの感覚で伝えておいたほうがよいのではないか。そのように思います。

家住期をある程度深めた人や林住期にいる人が、新入社員に対する時も同様です。相手は、まだ学生期にいるかもしれませんし、家住期に入ったばかりの時期かもしれません。あまり大きなことを掲げて振りかざすより、「この仕事をすれば、自分が生きるための術のひとつになる」として本人の武器になる仕事術を身につけることに焦点を当てるほうが、理解されやすいかもしれません。

そのことによって、実務を担当できる能力が少しずつ増えていけば、まわりに貢献できることも増えていき、結果として誰かのためになります。その蓄積によって、見えてくる自分の使命もあるのではないかと思います。

以上、「四住期」に沿って考えてみました。
人生の流れを俯瞰して見るうえで、ひとつの有効な視点だと思います。

<まとめ>
家住期以降は、自分が誰のために生きるのか明確にする。

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