入社時オリエンテーションの大幅な見直し
先日、ある中小企業の経営者様のお話を聞く機会がありました。ご自身のフィロソフィーでもある会社のフィロソフィーが従業員に浸透していないことを以前から問題視されていた方です。会社のフィロソフィー浸透という課題達成を目指して、今期の採用から入社時のオリエンテーションを見直したという内容です。
具体的な取り組みとそれに関連する経過の概要は、次の通りです。
これまでは、社員が自社で仕事をすることに対して働きがいを十分にもてていないということが役員間でも話題になっていました。しかし、上記によって少し改善の兆しも見えてきたということです。
上記のポイントだと感じたことを3つ挙げてみます。ひとつは、トップが自ら直接語りかけることです。
トップが語っている動画を視聴したり、代理の人材が語りかけたりするのも有効です。そのうえで、トップが自ら直接語りかけるのは、やはり聞き手にとってインパクトが違います。トップが(1日中ではないとしても)5日間も拘束されるのはたいへんなことだと想像しますが、内容があるものなら相応の効果はあると思われます。
2つめは、まとまった機会をつくるということです。
5日間も連日で取り組めるかどうかは別として、ある程度まとまった時間を確保するからこそ、伝わり、理解ができることもあると思います。細切れではなく、連続してまとまった時間をとることは、テーマによってはやはり必要と感じます。
3つめは、直接的な効果を求めない、ということです。言葉を換えると、短期ではなく中長期の時間軸で効果を考えるということです。
こうした取り組みをしようとすると、よく「これだけ時間をとることの、費用対効果が果たしてどれだけあるのか」という話になります。確かに費用対効果の視点は大切です。
そのうえで、フィロソフィーの浸透というテーマは、短期間で目に見える効果が出てくるようなものでもありません。長期的に、継続的にやり続けることで、少しずつ成果に結びつくものです。結びつきも、直接的ではなく間接的に、ですし、効果の大きさを数量的に表す(例:フィロソフィーが浸透したから売上がいくら伸びたなど)ことも困難なものです。
今回のテーマや取り組みであれば、離職率の低下などを、数量的な成果として関連付けてとらえることもできそうですが、それでも離職率の低下に同取り組みがどれだけ寄与したのか、確実に効果測定できるものではないでしょう。
文化や風土づくりといった、緊急度は低いが重要度が高いテーマは、同じく緊急度低×重要度高の健康的な食事や運動といったイメージと同じです。1度の食事や運動で直接的、短期的な効果を求めるのではなく、長期間やり続けることによりじわじわとよくなっていくことを期待する、という視点が大切だと思います。
<まとめ>
トップの語りかけはやはり大切。
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