よどみをとって水を流す
先日、私が参加している「知心会」の12月の定例講に出席しました。「知心会」では、ありのままの己の心を観ながら仲間と共に研鑽する機会の一環として定例講があります。
今回の定例講は、「水」がテーマでした。
「水」に関する言葉の一部です。
水は流れている限り腐らないが、滞ると腐る。恨み、妬み、怒り、悔やみなどで自分がよどむと流れが止まり、腐っていってしまう。そして周りも腐ってしまうというわけです。
この水に関する話で思い出したのは、「ストローク」という考え方です。
ストロークとは,精神科医であるエリック・バーン氏によって提唱された「交流分析」の中で出てくる用語です。ストロークとは、相手を認める様々な言動を意味します。このストロークの出し方や受け取り方によって,人間関係も変わってくるというわけです。
ストロークは、「条件なし/条件付き」「ポジティブ/ネガティブ」のかけ合わせで、4つのカテゴリーに分けることができます。4つのカテゴリーと例は、以下のイメージです。
条件なし×ポジティブ:「あなたは私にとって必要な人なんです」
条件付き×ポジティブ:「テストで100点取ったんだ。それはすごいね」
条件なし×ネガティブ:「あなたのことが嫌いなんです」
条件付き×ネガティブ:「こんなミスをするようでは、あなたはダメだね」
条件付きポジティブストロークは、相手の中でその条件となる行動をしようと促す効果があるとされます。ただ、ほめ続けないとその行動をとる頻度が減ったり、「100点でなければ自分は価値がない人間になってしまう」と認識させてしまったりすることもあるため、使い方には注意が必要とされます。
そして、無条件のポジティブストローク/ネガティブストロークは、相手からも同じストロークが返ってくることを増やすとされます。
無条件のポジティブストロークを発すれば、ポジティブが伝播しコミュニケーションが円滑になる。逆に、無条件のネガティブストロークを発すれば、ネガティブが伝播しお互いが後ろ向きになってコミュニケーションが滞る。よどんだ水の状態だと言えそうです。
特にネガティブストロークの影響力には注意が必要でしょう。「悪党」という言葉は一般的ですが、「善党」という言葉は一般的に聞きません。悪はすぐに徒党を組めるが、善はそうはなりにくい。おそらく、ネガティブや負の気は、ポジティブや正の気に比べて伝播しやすいからなのでしょう。
自分の身の回りにある物事や関係性で、不具合さを感じながらもそのまま放置してしまい、そのことから感じる不快感を他者にぶつけたり、あるいは自問自答で自分にぶつけたりすると、そのネガティブなよどみから腐りを生んでしまう。
自我・自欲に端を発するよどみは水の流れを止める障害になるが、岩などの障害物は水の流れを止める障害にはならない、それらを巻き込んでかえって勢い盛んに乗り越えて流れていくということも示唆的だと感じます。水のように身を処していれば、必ず流れていく。
もうすぐ今年も終わりです。
とはいえ、あと数日間あります。
私たちは日常のかかわりや関係性の中で、なんとなく不満や引っかかりを感じながらもそのままにし、今に至っているよどみをもっているものです。可能であれば残り数日間のうちに機会をつくって、当事者との間でよどみを消す取り組みをし、水の流れをよくして新年を迎えるというのもよいと思います。
<まとめ>
無条件のポジティブストロークを意識する。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?