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幸せのハードル

今日書きたいと思ったことを書いていくことにしている。「生活すること」というマガジンのタイトルもあってないようなもので、私たちの1分1秒は全て生活に繋がっているから、何を書いても生活の話になるというわけ。生活しているということを忘れてしまうと、生きている感覚がしなくなっていく。だから忘れないようにここへ書いている。

突然だけど、幸せって何だろうって思いませんか?これは怪しいセミナーではない(笑)もう何千回と擦られたであろうこのテーマを私が書く必要はないのだろうけど、最近自分なりの幸せの答えを見つけたからまとめてみようと思う。私は引っ越してから幸せだなあと思うことが増えた。この言い方だと以前は幸せではなかったみたいな語弊があるな。私は引っ越してから幸せだなあと感じられるようになったが正しい表現かもしれない。

東京では朝から晩まで音楽に没頭できる部屋で、食べる物にも困らず、好きなものだけ作って、それを応援してくれる人たちもいて、大きなプロジェクトへの参加も決まり、何不自由なくアーティストとしての生活をしていた。だけど私は不幸を感じすぎて何もできなくなってしまった。この時は不幸スイッチが入った脳みそで、音楽むいてないんだろうなとか、SNSでバズるような売れっ子になれればいいのかなみたいに、自分はまだまだ足りてないのだと考えていた。足りてないからもっと頑張る。結果が出てもこれじゃダメだと否定する。もっといい結果が出るように頑張る。まだまだダメだと否定する。以下無限ループ。これは後で分かったことだけど、脳みそは反復を繰り返すクセがあるらしい。お前はダメだという道を作ってしまうと、脳みそが勝手にその道を何度も辿るようになる。お前はダメだコースの出来上がり。

それから私は何もできなくなって、海に呼ばれて引っ越し先が決まり、引っ越すまでの間は他にやることもないからその家で使う家具や雑貨を探し始めた。まずは部屋の主役でもあるダイニングテーブルを探そう。木製がいい。なんちゃって木目調ではなく本物の木がいい。家と同じように血眼になって探し(躁が発動しやすい)、毎日メジャーで空中にテーブルをイメージしてそれを測りながらああでもないこうでもないとやっていたら、ある日オーダーメイドで作られた中古のアイアン木製テーブルがメルカリへ出品されているのを見つけた。お気に入りのテーブルで手入れしながらずっと使ってきたから、大切に使ってくれる人に買ってほしいとのことだった。誰かに買われてしまう前に即購入した。初めて自分で買うテーブルに、ドキドキしながら購入ボタンを押したのを覚えている。カーテンも部屋の雰囲気を決める重要アイテムだ。カフェみたいな部屋にしたかったからネットで「カフェ 部屋作り」を検索すると、ブラインドにするとカフェっぽくなるのを知り、テーブルに合わせて木製ブラインドをこれまた血眼になって探した。木製ブラインドは高い。しかもテーブルと違って、窓のサイズにぴったり合っていなければならない。ひよった私はアルミや布や木目調に妥協しようとした。でも諦めきれずにメルカリで張り付き続けたある日、窓のサイズにぴったりの中古の木製ブラインドを発見。しかもブラインドと言えばここ!なぐらい老舗のタチカワブラインドだった。見つけた時は本当に興奮した。羽が1枚子供に折られて接着されているようだったけど、そんなエピソードがあるのも逆にいいなと思えた。

私は幸せを感じた。それも継続する幸せ。テーブルを使うたび、ブラインドを見るたびにいいなあ、幸せだなあと感じる。これは私が家具に興味を持ち始めたからでも、購入するまでが大変だったがゆえに達成感を味わえているからでもないと思っている。私は家具1つで幸せを感じられるところまでハードルが下がっていた。以前のままテーブルやブラインドを買っても、きっとこれほど幸せを感じられなかっただろう。お酒も飲みすぎると酔っ払えなくなっていくように、幸せも求めすぎると感じなくなっていく。いわば幸せ中毒。初めてライブハウスに立てた時は嬉しかったのに、ライブハウスでワンマンライブができた時は嬉しかったのに、色んな場所でワンマンライブができた時は嬉しかったのに、満足できなくなって、もっとすごい成功を、もっとすごい達成感を求めるようになる。幸せのハードルが高くなっていく。ハードルは高ければ高いほど獲得するのが難しい。時間も体力も使う。それではやっぱり疲れてしまう。人は慣れてしまう生き物だし、ハードルが高くなっていくのは自然の摂理で、人である以上抗えないのだろう。

だから私は幸せを分散させればいいのだと気がついた。1つの物事だけに集中すると脳みそは反復を始めてだんだん慣れていき、ハードルもどんどん高くなっていく。3つあると1日は24時間しかないから反復回数がそれぞれ3分の1に減り、ハードルの上がるスピードも遅くなる。私の場合は音楽とイラストと文章で3分割されている。10個もあると反復する暇もなく明日がやってくる。海を見ることや、インテリアにこだわることや、観葉植物のお世話や、料理の新メニューを試すことや、温泉へ入りに行くことみたいにどんどん増やして、音楽だけに幸せを求めるのではなく、音楽も幸せを感じられるものの1つぐらいなポジショニングにしておくと、四六時中、毎日幸せな気持ちになれるものに囲まれる。生活を充実させていくと、脳みそは鬱への反復をする暇がなくなる。

それではかける時間が少なくて上達しないし、売れるためにはもっと貪欲な向上心が必要だと思われるかもしれない。それはそうかもしれない。売れるためには、24時間全エネルギーを注ぐ必要があるかもしれない。これはあくまで私の幸せの方程式であって、私は死ぬまで作りたいものを作り続けるのが人生のテーマだから、作ることで幸せを感じられる自分でいるのが最も重要なのだ。今日もこのあてのない文章を書いて幸せを感じているし、書き終えたら新曲の続きを作ってきっとまた幸せを感じるのだと思う。

今日は上手くまとめられるか分からなかったけど、一応着地できたかな?長くなってしまった。でも楽しかった。満足。

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