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ひっそりと運ばれていくものたち
家の周りでやたら蜂が飛んでいる。元々よく見かけるのだけど、最近は特にだ。ふと窓の外を見ると、たくさんの蜂がへばりついていてうわあとなる。蜂の巣でもあるのかと外へ出て探しているとご近所さんが出てきて、今朝は家の中に入ってきてびっくりしたと話す。その後専門家を呼んでくれて、蜂の駆除をしてくれることになった。蜂たちは越冬をするために場所を探して飛び回っているらしい。今年の春にもあった蜂事件を思い出す。
越冬をするためにこの家の屋根裏に潜んでいた蜂たちが、昨年の冬に行われた外壁工事によって真空パックされてしまい、冬眠から目覚めた蜂たちは出口を求めて部屋の中へ出てきていたのだ。外ならともかく、部屋の中に突然現れる大量の蜂に対して私はトラウマを持ってしまい、しばらく蜂を見かけるだけでギャーギャー逃げていた。でもこの辺りでは本当に蜂が多く、ミツバチのワークショップのフライヤーを作るお仕事をもらったりなど、何かと蜂には縁がある。ミツバチは今、世界中で激減していて、作物の1/3の受粉を担っているため大きな問題になっているらしい。人間の暮らしに都合が悪いからといってむやみに殺生していると、結局自分たちに返ってくるのだ。
しかし、家の窓にへばりつく大量の蜂をそのままにしておくわけにもいかないため、駆除してもらった。人間に殺されないような、もっといい越冬場所はなかったのだろうか。家の屋根裏はもうやめてほしいけど…。悶え苦しむ蜂を見て複雑な気持ちになる。私はこの街へ来てから虫の殺生をしなくなった。蚊は刺してくるからはたき倒すけど、外へ逃がせるものは逃がすようにしている。それは自然からの恩恵を日々感じているからだろう。都会で暮らしていると途端に見えづらくなる。人間の暮らしを支えているのは、コンクリートやプラスチックだけではない。もっと色んな命によって支えられているのだと、この街での暮らしから教わっている。
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最近知り合った、肉のつくばやで買った豚こまで炒め物を作った。お肉屋さんでお肉を買えるのは嬉しい。久保田商店で買ったかつお節をかけて食べるのがまたおいしい。夜はふじいちの干物を焼いた。お金はなるべく個人店へ落としたい。そう思うのは私が個人事業主で、一人一人からの支援がどれだけ大きいものなのかを知っているからかもしれない。
この先は超大企業か、個人商店しか生き残れないと思っている。余裕があるから長期戦のハイリスクハイリターンに挑戦できる超大企業と、維持費が少ないからたくさん売らなくても生きていける個人商店。強みはどちらも体力があること。人口減少でどんどん傾いていくであろう日本で今後、自転車操業をしていくのは難しい。私はいかに自分を小さくしておくかしか考えていない。どんな作品を作るにも人件費は自分だけで、べらぼうに安い家賃と、1日1干物を食べるための資金さえあれば死ぬまで作り続けられる。それは私が成功することよりも、作り続けていくことにフォーカスしているのもあるだろう。だから続けていくためにも、小さいもの同士で助け合っていきたいと思っている。私ができるのはそのお店へ通い続けることぐらいだけど、今日もどこかで花粉を運んでくれているミツバチくらいの、普段は気づけないけど実はサイクルの一つになっているくらいの存在でいられたらなあなんて。
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