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「自主性と協調性を結びつける環境を」~町工場の夫は准教授

町工場の娘も「社員が育たない」「社員の自主性がない」「人を育てることができていない」といったことを口にしています。そして、私はその言葉を聞くと、「まぁ、そうだよね」と感じながら聞いています。

そもそもの前提が、「私ができることは、みんなもできる」「普通は考えて仕事をするでしょ」という言葉もでてくると、「まぁ、そうだろうね(あんたが、その考えだったら自主性なんて発揮できないね)」となります。そして、なぜ、「まぁそうだろうね」と思うのか?ということについての雑感です。

教育理念・教育目標~はじまりは

自分が卒業した学校には、高校、大学共に教育目標と教育理念があります。「do for others」「自学自習」「自主自制」「和中協同」――これらの言葉は、私の人生や進むべき方向に大きな影響を与えています。そして、社員教育においても、これらの目標や理念が重要であると考えています。

今回は、経営者の皆さんが抱える社員の自主性に関する悩みに対して、どのような理念を基に社員教育を展開すべきかについて考えてみました。

自己啓発や自主性の育成を重視するだけでなく、他者のために貢献する心構えや自己制御の重要性、そして協力と協調の精神も忘れずに取り入れること。自主性というものを引き出すために・・・

自主性が必要なのか?を確認する

教育目標の中に、「自主自制」「自学自習」と自主性に関わることが2つ出てきています。その結果、「和中協同」という視点がでてきています。
そうすると、そもそも「自主性」をなぜ必要とするのか?そして、和中協同という観念にどうしてつながっていくのか?ということを確認してみたいと思います。

自発性と自己責任感

 自主性のある社員は、自ら進んで行動し、自己責任を持つ傾向があり、経営者は、それを期待したいですね。自主性があれば、目標達成に対して、他の社員との協力に対して積極的な姿勢を示し、自ら動くことができますね。

また、自己責任感の高さから、チームの一員としての責任を自覚し、共同の目標達成に向けて積極的に行動することが期待できます。

主体性とリーダーシップ

自主性のある社員は、自らの意見やアイデアを積極的に提案するでしょう。そうすると、さきの自己責任感とあいまってリーダーシップの資質を持ちメンバーを引っ張る存在となります。そうすると、チーム内での意見の交換や協力関係の形成を促進することができます。

協調性と柔軟性

 自主性を持った社員は、他の社員の意見やニーズを尊重し、協力関係を築くことに意識を向けます。また、新たな状況や問題に対しても柔軟に対応し、必要な変化や調整を行うことができます。このような協調性と柔軟性は、チーム内のコミュニケーションや調和を促進し、協力的な社風作りということにつながるでしょう。

役割の適応と補完

自主性のある社員は、自分の役割や責任を適切に理解し、他のメンバーとの役割分担を協力的に行います。それぞれの強みやスキルを活かしつつ、他のメンバーの強みを認め、補完することもできます。このような社風となればチーム全体のパフォーマンスが向上し、より効果的なチームワークが実現します。

学ぶことから始まる

学ぶということは、自主性を育むことになります。学ぶということは完結せず、常に考えるということになるからです。そうすると「学ぶ環境」をどのように作っていくか?という視点がポイントになりそうです。

そして、「何を学ぶか?」というときに、「自主性を学ぶ」ということではありません。技術スキルを学ぶ、教養を学ぶなど様々な学びの中で、常に「自主性を育む」ということができる環境作りが重要です。

つまり、学校の教育目標である「自学自習」「自主自制」ということも、「世界史」「数学」「物理」といった各科目を学びながら「自主性」ということを重視する環境作りということと同じですね。

「よりよく生きる」という大きな視座を

社員研修で何を学ぶにしても、「自主性を伸ばすための基盤」となります。その際に、ゴールの設定と明確な指針の提供に加えて、オープンなコミュニケーションとフィードバックの促進が重要とされます。

さらに、「do for others」と「和中協同」の考え方を取り入れることで、社員の自主性を促進することができます。do for othersは、他者の成功を支援する心構えであり、和中協同は、協力と協調の精神を指します。これらの要素を組み込みながら、社員研修プログラムを企画することで、自主性を育む環境を作り上げることができます。

例えば、小学校の頃の「道徳」の授業を思い出してみてください。ここでは「よりよく生きる」ために、みんなどうする?ということを考えましたよね。これを、各研修に組み込んでいくということです。

※do for othes にしても、和中協同にしても「よりよく生きる」の指標ですよね。

プロジェクトを自主性を育む場に

社員が問題解決能力や意思決定力を発揮していき、向上させるという環境作りが重要ではないでしょうか。そして、実践による問題解決と意思決定の訓練に加えて、プロジェクトベースの学習の導入が効果的です。プロジェクトベースということは、日々のミーティングをいかに効果的に行っていくか?ということです。ただ、理念を唱和するようなミーティングや事実の報告を行うだけになっていないでしょうか?

※プロジェクトベースについては、また別途、雑感をまとめてい見たいと思います。

加えて、プロジェクトベースでの育成に加えて、自学自習の推奨とサポーもしていくことです。プロジェクトベースで自主性が育まれれば、自主的に学習する意欲も出てくるはずです。そして、学ぶことで社員は自己成長し、新たなスキルや知識を獲得することができます。これが、また社風となれば、全体として自主性のある社員が増えてくるでしょう。

企業は、学習の機会を提供し、学習のプロセスをサポートすることで、自主性を促進する環境を整えるということが求められれます。

学校ならば、図書館であったり、その他施設の充実や楽手に関する情報の提供ということを行っていましたよね。

モチベーションとインセンティブ

モチベーションとインセンティブも、自主性を育む重要な要素となります。

よく言われるのが、優れた業績の公表や社内表彰制度の活用によって、社員のモチベーションと自主性を高めるということです。

ただ社員同士の無用な競争にさせない、自主自制の養成と促進を重視することも大切です。自主自制とは、自己管理や自己統制の意識を育むことであり、社員が自主的に適切な行動をとる能力を養っていくことです。しかし、ここで、むずかしく考える必要はありません。自主性を育む過程の中に、do for othersや和中協同という理念を盛り込んでおけば、自然と自主自制となるでしょう。

そして、インセンティブは、その人のキャリアイメージということも大切です。どのようなキャリアをイメージしているのか?つまり、その人自身の人生での目標設定です。ここで多くが「会社の目標設定」だけにしてしまっています。特に、ワークアンドライフバランスということが浸透しています。また、介護や共働きでの子育てという社会状況の中で、会社の目標設定ばかりを共有してもインセンティブにはつながりにくいものです。

定期的な評価とフィードバック

定期的な評価とフィードバックは、実施している企業も多いかもしれませんね。定期的な面談などにより、社員の成長や課題を把握し、彼らの自主性をサポートするということです。そして、ここで得た意見などを踏まえてプログラムの改善などにも取り組んでいくということができますね。

しかし、このフィードバックも前述した自主性を育む視点での取り組みや社風作りをしているという前提でなければ、「相互に、なんで面談しているのだろう?」や「トップが一方的に演説を個別に行う」という状態になりかねません。

おわりに

町工場の娘の社員の自主性についての嘆き。そして、私の「まぁそうだろうねぇ」という呟き。

なぜ、その嘆きが生まれるのか?なぜ、自主性が育まれないのか?ということを、「学校」というものを思い出しながら考えてみました。

「まぁ、そうだろうねぇ」というのは、町工場の娘が、自主性を育むという前提を欠いているということ。日々の労働、目の前の納期に追われている中で、どう自主性を育む環境を作るか?という視点がないのです。自主性というものが、自然に生まれるか?というとそうではない。

学校のように環境を作ることで「自主性」が生まれてくるというものです。そして、その自主性が育まれる環境の中で、リーダーシップや協調性、課題解決能力といったことも共に育っていくものです。

さて、いかがでしょうか。今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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