見出し画像

社員教育についての雑感

「社員教育」と「社員研修」。私はこれを区別しています。教育は、長期的、継続的に社員の成長を促すこと。研修は、一定期間に集中して社員の成長のきっかけをつくること。今回は、前者の社員教育についての雑感を、実例を元に。

社員研修の狙い

まず、社員研修について、少しだけ。例年、某企業様の社員さん200名程度を対象にした研修を行っています。この企業さんの研修のねらいは、「きっかけ」をつくることです。研修の内容としては「私生活と法律」が毎年決まったテーマです。

このテーマで、何のきっかけを作ろうとしているのか?というと、「相談するきっかけ」です。研修内容について、理解して、実践してということが一義的な狙いではありません。あくまでも、相談するきっかけつくりです。

相談せず、1人で悩み、メンタル面に支障をきたさないように、相談できる場所を会社側が用意しているよということを伝えているのです。

このように、「研修」については、「きっかけつくり」を目的とするという使い方もあります。

社員教育と社員研修の関係について

「社員教育=社員研修」ということに陥っていませんか?社員研修は、社員教育の一部でしかないのです。なぜなら、教育は長期的な視点にたって、成長を促していくものであり、その成長のきっかけを研修という手段を用いるという関係だからです。

したがって、何十万と研修講師にお金を払っているけれども、成長しているのかどうか・・・という感覚を持つことはおかしなことではありません。

例えると、映画を観て、その映画の主人公に感化されても、その主人公のまねや影響というものは、どんどん薄れていくものです(主人公のように歩いていても、自然と元に戻ってしまうような)。

これと同じで、何十万の講師料の研修を社員に受講してもらい、アンケートの結果も上々だったとしても、それは映画のアンケートと同じにしかすぎないのではいでしょうか?

会社の家庭教師

ある企業さんの例をお話します。

ある企業さんで、研修を行った後も、継続的にその企業さんのお話を伺っています。そうすると、研修直後は効果がありそうだったけれども・・・ということがでてきます。

例えば、チームワークをテーマにした研修を行ったけれども、派閥的なものができ始め、社員間に不協和音が生じているようだといったことが出てきたり、社員同士の言い争いは減ったけれども、作業効率はあまり変わっていないかもなど、様々なお話が出てきます。

このようなお話を伺うと、「なぜ、派閥が生まれると思いますか?」「なぜ、作業効率があまり変わらないと感じていますか?」といった質問をぶつけて、その問題点を探っていきます。

そうすると、「派閥が生まれる原因が組織体制や人事評価の問題ではないか?」という仮説が立てられたり、「作業効率については、職場環境の問題もあるのではないか?」「そもそも、採用段階での面接手法に問題があるのでは?」という仮説を立てて検証していきます。

「チームワークということは知ったはずだ、しかし、浸透しない原因がどこかにあるはず。」ということを探り、提案していきます。

これは、ある特定のテーマに強い講師ではなく、法律という一つの専門性に加えて、経営、人事といったことにも対応可能にしていることからできることです。私の場合は、研修講師というより、企業の家庭教師なのかもしれません。

もちろん、実践の場面においては、弁護士であったり、社会保険労務士であったり私以外の専門家の協力の下、「家庭教師チーム」を作って対応していくということもしています。

社員教育は継続的に

顧問税理士、顧問弁護士、顧問社労士といった専門家を雇っている企業さんも多いでしょう。お金、法律、人事という面での専門家のアドバイスを定期的に受けていくために顧問契約を結び、企業の成長やリスクマネジメント対応をしていると思います。

お金や法律と同程度に「教育」について重要だと考えているけれども、家庭教師を雇ってという発想はないでしょう。というより、企業の家庭教師などというものはあまりいませんね。

また、教育=研修となると、顧問弁護士とか顧問税理士のような継続的な契約を結んでという発想より、「講習してもらう」という発想になるでしょう。

しかし、教育=教えて育つは、長期的・継続的なものだということは、ふと立ち止まって考えると、当たり前じゃんなのです。

教育を「社員に良い話を聴かせる」で終わっていませんか?総合的、継続的に見てくれる家庭教師のような存在がいますか?

少し気になったら、私に相談してみてください、少しはきっかけつくりにはなるかと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?