新日本プロレスの沼にハマる、夏。②

前回の記事の続き。
親日沼の扉を開けた先に見たものを、今の言葉で書きとどめておきます。

今この瞬間を生きる選手が与えてくれる非日常感

プロレスは普段の自分の日常とかけ離れた世界だと思った。試合を観ている間はちょっとした現実逃避をしているような感じがする。

私の周りには、プロレスラーのような体格をした人も、あんなふうに振り切った言動をする人もいない。もちろん自分にもできない。みんな豪快で、見ていて気持ちがいい。大口をたたいて、相手を投げ飛ばして、俺が最強だと言いながら花道を引き上げていく。

まるでショーのような、観ている間は少しだけ現実を忘れさせてくれる、最高のエンターテインメントだなと思った。

でもその感覚も、大会が後半に進むにつれて「いや、待てよ」と違う気がしてくる。
8.9広島大会のメイン、内藤対KENTA戦を観ていたときのこと。いつの間にか内藤選手の大ファンになっていた私は、この二人の因縁もなんとなく予備知識を入れていて、ひたすら内藤選手を応援していた。どうやってKENTA選手を負かしてくれるかを楽しみにしていた。

試合は一瞬も気が抜けない状態が続き、終盤になってお互いもうヘロヘロになってきたところで、エルボーの打ち合いになるシーンがあった。二人ともそれまでに大技をいくつも繰り出していて、そろそろフィニッシュかという時間帯だった。
そこへきて、正対してエルボーの応酬。意地の張り合いにしか見えない打ち合いを見て、私は涙が止まらなくなった。

もちろん、心は内藤選手を応援している。でもKENTA選手だって負けるわけにはいかないのだ。二人の「絶対に退けない」という気持ちが伝わってきて、なんて人間臭いんだろうと思った。ただ目の前の相手に勝つために殴り合う姿に、胸を打たれてしまった。
試合は内藤選手が勝ったが、終わったころにはKENTA選手のことも大好きになっていた。

8.9の試合をきっかけに気が付いた。選手たちは皆、今この瞬間「自分が一番輝くため」、そして「観ているお客さんたちを最高に楽しませるため」に全力でパフォーマンスしていることに。
私が「最高のエンターテインメント」として受け取っていたものは、なんて尊い時間なのだろう。

第一プロレスは、一歩間違えれば大怪我や命の危険と隣り合わせのスポーツで、そんなリスクを抱えながら1か月間毎週末、ほぼすべての出場選手が試合を魅せてくれたなんてすごすぎる。
応援する選手がリング上で思いっきり動いている姿を見られる時間はとても貴重で、大切にしなければいけないと思った。他のスポーツでも同じだとは思うが、とりわけプロレスはその要素が強いだろう。

G1ロスの勢いでチケット購入、初観戦へ!

G1が終わって、私は見事にロスに陥った。一つの興行を最後まで通して観たのは初めてだったし、特に武道館での3日間は毎晩叫んで泣いて、胸がいっぱいだった。(近隣からクレームがこないかとしばらくひやひやしていた)
そして熱が抑えきれず、気がつくとバーニングスピリット初日の横浜大会のチケットをポチっていた。記念すべき親日初観戦はそれはそれは最高だったので、また後日ゆっくり書くことにします。

まだまだ初心者なので、知らないことは山ほどある。プロレス自体もそうだし、新日のことも。50周年を迎える団体の歴史は深い。
もっと試合を観て、G1に出ていなかった選手のことも知りたい。というわけで今は毎日、5月のBEST OF THE SUPER Jr.を追っかけて観ています。

こんなに胸が熱くなるものだとは思っていなかった。
これからどんな尊い瞬間が観られるんだろうと、日に日にのめりこんでしまう自分を若干心配しつつ、ワクワクが止まらない。


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