井上不二子

大阪・西田辺の獣肉屋、山肉デリの店主です。

井上不二子

大阪・西田辺の獣肉屋、山肉デリの店主です。

最近の記事

「コロナ禍の日本で700キロの猪肉を撒く」

今年一月に出た劇団「態変」の会報「イマージュ 異文化の交差点」に寄稿しています。編集部の許可を得てウェブ上でも読めるように、この場で公開します。(会報の申し込みはこち→http://taihen.o.oo7.jp/imaju/imaju.htm) 書いたのは2021年9月末です。 *******  2020年4月初頭、未曽有のパンデミックによる不安が社会を覆い始めた中、駆除される野生動物を専門に扱う肉屋の私は「猪肉100キロ大放出!」という企画をスタートさせた。これは、

    • 河瀬直美氏による蔵王堂の木材の解釈について

      映画監督・河瀬直美氏が東大入学式で述べた祝辞が話題になっています。 https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message2022_03.html ロシアとウクライナの戦争に関しての言及が猛批判されています。https://www.huffingtonpost.jp/entry/shukuji_jp_625625c7e4b0be72bfefec0d 私もこれらの批判に賛同しますが、ここでは他の部分について書きます。金峯

      • 猟師の炎上と「差別」2

        ひとつ前の記事の続編です。 児玉千明の炎上についてご存じない方は、こちらのニュース記事といくつかのまとめサイトをご覧ください。 4.本当の炎上の理由は?私はこの炎上を、児玉一人の問題に還元するべきではないと思う。 既にみた通り、猟師の炎上の理由は燃やす側にしかない。では私のような肉屋も含めて、情報発信する狩猟関係者はロシアンルーレットの弾が自分にあたるかどうか、運にまかせるしかないのだろうか。そんな理不尽な状態を解消するにはまず、燃やされる側の理由ではなく、燃やす側の動

        • 猟師の炎上と「差別」

          児玉千明という福井県・高浜町議で狩猟をする女性のSNSでの投稿がツイッター上で炎上した。この件についてはすでに何人もの人がブログ記事を上げており、ツイッター上での論争でもほとんどの論点は既に出ている。猟師でもない私が付け加えることはほぼないのだが、動物愛護の人々による狩猟批判を10年見てきた者として、歴史を知っていなければ言えないことと、おそらく猟師ではないからこそ見えていたことが今回露わになったので、それらの点について私見を書いておくことにする。 最初にはっきり言っておく

        「コロナ禍の日本で700キロの猪肉を撒く」

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          「群像」2019年1月号に掲載された作家・笙野頼子の小説「返信を、待っていた」について、2018年12月22日の私の投稿をきっかけにツイッターで議論が起きた。火付け役であり、作中で「最も私にきついアカウント」と表現された者として、見解をまとめておく。 0.何を問うのかまず、文学を読まない私がこの文芸誌の小説に気づいた経緯について。 2018年9~10月の「ベルク騒動」(後述)のときに、私は「アホフェミ」という言葉を積極的に使うように呼び掛けていた。このとき「アホフェミ」と

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